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雇用関係助成金を確実に受給するための申請方法
厚生労働省が管轄するいわゆる雇用保険関連の助成金(以下「雇用助成金」)については、今年4月以降近年の好景気とそれに伴う失業率の改善を背景に、その規模や役割に大きな変化が見られた。従来、高くなった失業率の低下を目的とする人材の新規雇用や、厚生年金の支給年齢引き下げに伴い必要となる定年後の継続雇用が、主な助成金の支給事由であり多くの予算が振り向けられていたが、今後の助成金については、厚生労働省の取り扱う現在最も大きいトピックとも言える深刻な少子化を背景として、子育て関連の助成金が新たに助成金支給事由と追加された。
また、従来雇用助成金の中でも予算規模の大きかった、継続雇用関連の助成金については、支給金額が下がることなどによりややそのインパクトは小さくなったといえるだろう。ただし基本的には現在も「高齢者関係」「雇入れ関係」の助成金が中心となっており、「子育て関係」の助成金については申請事例が少なくその使い勝手はまだ未知数である。企業で全ての助成金を知っておくことは難しいが、高齢者が在籍していたり、人材の雇入れを予定していたり、育児休業を取得する従業員が出そうな場合などには、該当する助成金がないか調べてみるとよいだろう。
最近では助成金に関する情報も従来のように行政のみではなく、経営コンサルタントや社会保険労務士などで取り扱う所も多くなるなど、企業にとっても身近なものになりつつあるが、それでも実際に申請するとなれば、申請のコツや注意すべき点などはホームページやパンフレットで得られる情報だけではなかなか得られないのが実情だ。
実際に助成金を申請しようとする場合、助成金を得意とする社会保険労務士に依頼するケースが一般的と思われるが、費用の都合などにより自社で申請しようとする場合には、いくつか注意しなければならない点がある。
自社で助成金の申請をしようとする際に最も重要なのはなんといっても助成金担当官庁・窓口との綿密な相談であることは間違いない。助成金はその種類ごとに申請方法や窓口が違うことはもちろん、仮に同じ助成金であっても(本来はおかしな話だが)都道府県ごとに申請の手順や書類が異なっていることが多く、担当官によって言うことがまちまちであるということも珍しくない。 それぞれの窓口には、申請のためのパンフレットなどが常備されているのが通常だが、あまりそれだけを「うのみ」にすると申請の流れや必要書類を間違える結果にもなりかねず注意が必要だ。最悪の場合には、申請が不可能になる場合もあり、そうなってからでは取り返しがつかない。
雇用関係助成金は、申請窓口が厚生労働省の関係団体である社団法人や独立行政法人に分かれており、まずはそれぞれの助成金の窓口を調べた上で事前相談に行くことが必要となる。助成金の包括的な情報や窓口の情報については、インターネットや各ハローワークに置かれているパンフレット(「雇用の安定のために」平成18年度版)などを参考にするとよいだろう。
助成金申請窓口(特に地方など)によっては、助成金の担当者が1名しかおらず、アポなしで行くと担当者に会えないといったことも考えられるため、事前にアポイントを取った上で訪問すると良い。訪問する際には、事前に助成金パンフレットやホームページの情報だけでは不明な点や質問したい点などをまとめた上で、中小企業であれば社長や経営幹部あるいは総務の担当者など、ある程度会社の概要や書類について理解している人が訪問することが望ましいだろう。またその際には会社の登記簿謄本や従業員名簿(特に雇用保険加入者の人数が分かるもの)など会社の概要が分かる書類を訪問時にあらかじめ用意しておくと相談がスムーズに進む。
事前相談のポイントとしては、 ①受給要件をきちんと満たしているか、②助成金を受け取る際に会社がしなければならないことがあるか(例えば人材の雇い入れや就業規則の変更など)、また③申請の流れと申請の期限、④必要書類、申請書類の把握、⑤解雇など受給できなくなるケースの確認等 が挙げられる。
またこうした事前相談の際、担当官が「従業員」といった場合には「社員、アルバイト、嘱託」といった会社内での従業員区分にかかわらず、雇用保険加入者のことを指すケースが多いことは知っておくとよい。
また、実際に申請する場合には就業規則の一部変更が必要といった条件のある助成金も多く、これらについては、担当者の話をよく聞いた上で就業規則変更や雇入れなど助成金受給のために必要な手続きそれ自体が会社のリスクを増やすことはないか、受給できそうな金額とつりあっているか、きちんと認識しておかなくてはならない。
さらに、助成金によっては手続きが数回に分割されている場合や、手続きによって窓口が一箇所でなく複数である場合などもあり、「③申請の流れと申請期限」については、手続きの流れをきちんと失念せず管理できるよう、申請の流れと申請の期限を記したフローチャートを作成しておくとよいだろう。雇用保険の通常の手続きでは、多少期限をオーバーしていても受け付けてもらえるケースが多いが、助成金においては1日でも期限を過ぎれば受け付けてもらえることはないと思っておいたほうがよい。
④の申請書類、必要書類等に関しては、基本的にはパンフレットに記載のあるものということになるが、都道府県(や担当官)ごとにパンフレットに記載のない書類を求められることや、書類の形式が違うことも多く、基本的にはそれぞれの窓口で確認しておく必要がある。
一部書類の不備や紛失で提出できない場合については、経営者と従業員代表連名の「申立書」のような形で記載する場合や、同様の内容を証明できる他の書類を提出する場合などがあり、それぞれ担当官の指示に従う必要がある。申請様式(申請書類)については、記載間違いなどが多いと最初から新しい紙での書き直しを命じられる場合もあり、記載方法が分からない部分は空欄のままで持っていってその場で指示を仰いでも良いだろう。(なお、申請書や申立書の書き方等の相談については、一度事前相談をして担当官の名前を覚えておけばその後はFAXでも対応してくれるケースも多い。)
この他⑤の受給できなくなるケースも助成金ごとに異なるが、会社都合の解雇や、労働保険料の滞納等があると受給が出来なくなることが多く、確認が必要だ。
事前相談をきちんと行い、こまめに担当者と連絡を取り合った上で手続きを行えば、助成金の手続きは自社でも充分に可能だ。助成金は雇用保険料の一部を還元しているものであり、保険料を納めている企業にとってはある意味当然の権利とも言える。 確実に手続きを進めるため、担当者を決めて最後まで責任を持って申請に臨むことが重要といえるだろう。
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