コラム

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経営改革に必要なファシリティ・マネジメント
6.パンデミック対策と"PC持ち出し禁止"が招く危機
~パンデミックに備えた新しい業務形態が会社を救う~

パンデミック対策にBCPは必要
「前回のコラムで私は、日本の右ならえ主義を批判し、このままではグローバル競争で負けてしまうと警告しましたが、企業の危機管理でも問題になる現象が出現してきました。
新型インフルエンザに代表されるパンデミック対策です。


新学期に入って多くの学校や保育所が閉鎖されています。これが企業に飛び火しないとは限りません。メキシコで春先に大流行したときは、多くの会社で企業閉鎖をしたことは記憶に新しいところです。


BCP(事業継続計画)では、災害などで会社の建物が被災したときの対応、代替施設、情報システムなどについて綿密な対策を用意しておくことを求めています。これまで、日本のBCPは地震に重きを置いた対応が中心でした。しかし、新型インフルエンザは新たなBCPが必要なことを知らしめました。


企業閉鎖もありうるパンデミック
地震の場合は「如何に残った施設を使って事業を継続させるか、物理的な機能回復を最優先としていて、従業員がオフィスや工場に出てくること」を想定しています。


パンデミックでは、感染の広がりを防ぐためには、会社に来ない、通勤電車に乗らないことが求められます。隔離が必要なのです。従業員本人が感染していなくても、家族に感染者が出ると、予防ワクチンが間に合わない現状では、従業員にも出勤停止が要求されます。一定レベルの広がりとなれば、健常者も含めて、学校閉鎖と同じように企業閉鎖も起こり得ます。


USBキーひとつでPCがシンクライアント化
このとき、大半の人は、家でできる仕事なら働ける状況でしょうし、インフルエンザにかかった人でも回復途上なら、PCでの仕事は可能ではないでしょうか。
このようなとき、PC持ち出し禁止にしている企業としてない企業では、大きな差がつきます。急に持ち出しOKにしても間に合わないでしょう。


シンクライアントPC待ちの日本企業も多いということも先月記しましたが、パンデミック対策ツールとして、今、脚光を浴びているのが、何社かが市販している「USBキーを挿入するだけで自分のPCがシンクライアント化する」という製品です。


市販している大手企業の中には、売っているのに自社では"PC持ち出し禁止"という紺屋の白袴のような所もありますが、元々、社内用に仕事のやりやすさを追求して開発したという三技協の場合は、全社員が使いながら市販しているので、使い方のノウハウは豊富のようです。


会社のサーバーとの間に専用ゲートウェイ機器を設置し、ここを通すことにより、社外のPCにはデータが残らないので、ウイルス感染や盗難、紛失の際も情報漏洩の心配はないといいます。これなら新規にシンクライアントPCを購入しなくても、今使っているPCをシンクライアント化できるので、初期導入コストは安くあがります。


さっそく効果が出た企業も
このツールを導入したコスモ石油では、4000台のPCを対象にしています。同社では、USBキーを使わないソフトウェア方式を採用していますが、仕組みは同じです。
目的は在宅勤務システムの導入による
①事業継続計画(BCP)、②社外における業務執行、③情報セキュリティの強化だったそうです。


この春、新型インフルエンザの流行が世界的に拡大していき、ゴールデンウイークに対象国へ出かけていた社員は1週間の出勤停止になり、自宅のパソコンからこのツールを使って業務を滞りなく行うことができたといいます。

「他社も同じ」は身を滅ぼす
コスモ石油のように、新しい働き方に積極的な企業は、このようなツール導入にも前向きですが、まだ大半の日本企業は、調査もせず、はなから「PC持ち出し禁止」にする所が多く、特に情報システム部門が保守的と言えます。


「他社もやっているから」ウチだけ危ない橋は渡りたくないという、右ならえ、長いものには巻かれろという姿勢が見て取れます。こういう企業は在宅勤務やモバイルワークのような働き方改革にも、方針として掲げているものの、実は積極的ではないのです。その方針も「他社が掲げているから」でしょう。これではグローバル競争どころか、国内でも埋没していくのではないでしょうか。


新型インフルエンザ流行は奇しくも、日本企業のおざなり主義をあぶり出しました。
調査・分析を前向きに行い、勇気と決断をもって、新しいツールやシステムを取り入れ、情報機器を駆使して働き方を革新していく企業が勝ち組に入ることでしょう。

小田 毘古
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