コラム

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経営改革に必要なファシリティ・マネジメント
8.FMから見ても世代交代が必要な日本企業の経営者

■ふたつのセミナーの共通点
この11月末に私が司会をやったパネルディスカッション、その翌々日に私が聞いたセミナーで、奇しくも同じテーマが話題になり、共感を覚えたことを紹介します。


■パネルディスカッション「ワーク/ライフバランスとファシリティ」
パネルディスカッションは「ワーク/ライフバランスとファシリティ」がテーマでした。パネリストのアクセンチュアの小谷さんが「人事・経理などの間接部門を主体にそれまでの赤坂から横浜みなとみらいに200名もの人員を移し、同時に在宅勤務を本格的に導入することによって、通勤時間が長くなると懸念していた人もワーク/ライフバランスが進んだと評価が上がった。スペースコストもエネルギーコストも下がり、経営的にも環境的にも、働き方を変えたことは効果あった」と、話されました。


■「働くことは楽しい」が企業の原点
また、シグマクシスの太田さんは「働くことが楽しいとみんなが感じる働き方を追求すると、まずライフがあってワークが来る。それが実現できる仕組みや環境を整備するのが経営者の役目。ワークスタイルが変われば、オフィスの作りも変わるのが自然な流れ」と話されました。


■自然とひとつになり、自然とともに育つ企業
そして、小淵沢のアルソアの田沼さんは、渋谷から八ヶ岳の麓に会社を移した目的は経営者の理念実現のためだったと言います。「自然とひとつになり自然とともに育つ企業。この実現はまさにワーク/ライフバランスの実現で、農作業や森の保護、地域活動への参加などを通じて、働く意味は会社内だけでないことを自覚し、地域に貢献することが、社員のモチベーションにつながっている」と。


■「働く人」の視点に立つ企業理念
3社における共通点は、いずれも企業の理念がしっかりしていて、同時にそれが「働く人」の視点に立っていることです。そして、楽しく働くための環境を作っていくのが経営層の役割と認識していることです。


■経営者を代えない限り、日本に未来はない
ディスカッションのまとめとして、大半の企業がこのような働き方を実現できないのは、これまでの成功体験から抜けきれないからではないか、という意見がありました。


日本の製造業の成功、「定時勤務・階層型の管理体制・チームワーク重視」によって高品質の製品を安く、大量に世界に送り出すことで日本は繁栄した。その酔いからまだ覚めていない経営者が多く、工場やオフィスに定時に来て、課長・係長の指示と管理のもとにチームワークよく働く。この仕組みが、もっとも効率的、生産性が上がると今もって信じている。フレックスタイムやテレワーク、フリーアドレスなどもっての他、「誰がきちんと管理するの?」と。このような経営者を代えない限り、日本に未来はない、などと、かなり手厳しい話も出ました。


■「海外企業のオフィス事例」
その2日後、コクヨの海外オフィス紹介誌の編集長をされていた岸本章弘さんが話されている「海外企業のオフィス事例」を聞く機会を得ました。そのなかで、会場からの質問が出ました。
「どうして日本の会社は、今日紹介されたような先進的なオフィス作りに取り組まないのでしょうか?」と。


■世代交代しなければわからない
岸本さんは答えました。「欧米の企業の経営者の年齢は日本と比べるととても若い。大企業でも40代はふつう、30代もざらにいる。方や日本は、定年過ぎの60才台が大半だ。パソコンも自分でロクに使えないようなおじいちゃん経営者に"新時代のオフィス"と言ってもわかるはずがない。世代交代しなければわからないでしょうね」


この話は、先のパネルディスカッションの話と共通しているのです。


■先進的な経営者の発信機会を用意する
働き方、ワーク/ライフバランス、オフィス、いずれの改革も経営者の感覚と決断がないと進みません。ボトムアップには限界があります。その経営者が情報技術を正しく理解できないような、未だ右肩上がりの日本経済復活を夢見る年寄りではダメなのです。


産業構造転換が叫ばれている今、私たちが関係するFM分野から見るだけでも、経営の世代交代が急務であることがわかります。


しかし世代交代は時間がかかり、そう簡単なことではありません。
シグマクシスの社長・倉重英樹さんや同和ホールディングスCEO・吉川廣和さんなど、時代の変化を嗅ぎ取り、オフィスやワークスタイル変革に果敢に取り組んでおられるシニアの経営者も少数ですがいることも事実です。これらの経営者の方々の発言力は私たちが言うより影響が大きいのです。


先進的な経営者に積極的に発信してもらう機会を用意するのも私たちの役目であり、日本の将来のために必要なことではないでしょうか。

小田 毘古
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