コラム

総務 / ファシリティマネジメント / ファシリティマネジメント

在宅勤務やテレワークが日本で定着するか?

■オフィスのカタチは変わるか?
これからの働き方のひとつの形として、在宅勤務やテレワークが主流になってくるのではないか、そうするとオフィスで仕事をする人や時間が減り、オフィス面積もそれほどいらなくなるのではないかという推測があります。


またオフィスも、仕事をする場所から顔合わせが必要な商談やプロジェクトといった、コミュニケーション/コラボレーションの場所に変わっていくのではないかという論もあります。


■ヨコ社会のアメリカ、タテ社会の日本
私は働く形としての在宅勤務やテレワークが日本で欧米並みに普及するかについては疑問を持っています。


アメリカでは役員がサンフランシスコ、その秘書がシアトルで働いている例など、顔を合わせず仕事が遂行されている例もあります。


また、1ヶ月もオフィスに顔出さず家で仕事をやっていたら、存在を忘れられ、組織表に名前が載らずメールも来なくなった、などという笑い話もあるほどです。
アメリカでこのような働き方ができるのは、ヨコ社会だからです。


ヨコ社会は個人が主体で上下関係はゆるやかです。タテ社会はピラミッド型で上下関係がきちんとしており、日本は典型的なタテ社会の世界です。


この考え方は1960年代に東大の中根千枝教授が述べた論理で、今でも十分に通用しています。


■タテ社会はウチ社会
また、日本人のタテ社会というのは「ウチ社会」でもあります。それは会社も同じで、"ウチの会社"は、"ウチの家族"も同義語です。終身雇用に守られ、人生の大半を家族同様の仲間ウチで過ごします。そこには、個人よりもチームワークや調和が重要視されます。


ウチ社会では、"○○一家"みんなでやろうぜといった意識が強く、会社でも一致団結、全員参加など、みんなで行動することが良しとされる風潮があります。


社内運動会や社員旅行など、仕事以外でも会社ぐるみのイベントが多いのも日本の会社の特徴です。
そこでは、いつも顔を合わせていないと上司、部下双方とも安心できず、評価にも影響します。


■「顔」を忘れられると不安になる
このような風土の中では、自分の意思で家でも外でも仕事ができると言っても、育児中の女性や出世を気にしない人、どこでもやれる仕事を持っている個人などの一部を除いて、在宅勤務やテレワークが主流となるとは思えません。


私が勤めていた会社で、10年以上前に在宅勤務トライアルをやったことがあります。
見積り作成の業務を育児をしながらやっていた女性が職場に電話をかけたら「どちらさまですか」と言われ、自分の存在に不安を感じ、それからはひんぱんにオフィスに顔を出すようにしたという話もありました。


■フレックスタイムの延長が関の山
日本のような「タテ社会」の中では、いつものようにオフィスへ集まり、みんなの顔を見て安心し、仕事を終えて一杯ひっかけて帰る働き方がこれからも主流であることに変わりないでしょう。
仮に在宅勤務やテレワークが採用されたとしても、一週間に一日程度、一日で何時間といった、フレックスタイムの応用のような形で使われるのが関の山でしょう。


個人中心の完全なヨコ社会にならない限り無理であり、タテ社会が続く限り、在宅勤務やテレワークの普及には限界があると思います。


何百年にわたって築き上げられた国民性が急に変わるとは考えられません。


ですからオフィスの形も、コミュニケーションのスペースが増えたり、フリーアドレスの座席が増えたりはするでしょうが、欧米並みの大胆なオフィスはそれほど増えないと私は思います。

小田 毘古
MENU