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在宅勤務やテレワークが日本で定着するか? その2
■日本のオフィスは情報化社会型?
前回のコラムに続いて、ヨコ社会とタテ社会の話です。
ヨコ社会は個人が主体で上下関係はゆるやかであり、タテ社会はピラミッド型で上下関係がきちんとしていると前回のコラムで言いました。そして日本はウチ社会でもあり、それは会社も同じで、"ウチの会社"は、"ウチの家族"も同義語とも言いました。
日本のオフィスは、個人よりもチームワークや調和が重要視される社会ですあり、出る杭は打たれる世界でもあります。
■日本は対向島型、欧米はブース型
オフィスの形もヨコ社会とタテ社会では大きな違いがあります。
日本のオフィスは対向島型と呼ばれる、社員が向かいあって座り、いつも顔を合わせて話しやすく、指示もしやすい形がほとんどです。課長や係長が何を問題にしているのか、聞き耳を立ててればわかり、以心伝心が通いやすい形です。
一方、欧米のオフィスは個々が仕切られたブースにいて、個人のプライバシーが守られています。
ブースの壁や机には家族の写真が置かれていて、そこに座れば家の中と同じような安らぎがあります。仕切られていなくても、直接、目を合わせるような対向型はほとんどありません。個人の自主性、独立性を尊重する姿勢がオフィスの形にも表れています。
■欧米で普及した、ホテリング方式
情報化の進展で、席を特定しないフリーアドレスを導入しようとしたとき、最初にぶつかった問題は「家族の写真はどこに置けばよいのか」という、日本のオフィスにはない悩みでした。
最初は、専用の棚を作り、そこに並べたらとのアイデアが出ましたが、味気なく、亡くなった人の写真のようでさすがにそれは却下されました。そのため、机を必要とするとき事前に連絡しておけば、総務の人が書類や写真を予約された机にセットするというホテリング方式が考えられ、それが普及しました。
今でもホテリングは欧米の会社では人気があります。これらを準備し、利用する人の世話をする仕事を「ベルボーイ」と言います。まさにオフィスで働く人はホテルのゲストに相当するのです。
ところが、日本でホテリングを導入している会社はほとんどありません。個人的なものを机の回りに置くことは周りとの調和からみて憚(はばか)られ、またそんなスペースもないからです。
ことほど左様に、タテ社会とヨコ社会のオフィスには大きな違いが"ありました"。
と、あえて過去形で書いたのにはわけがあります。
■オフィスに来る目的の変化がオフィスの形を変える
というのは、欧米のオフィスが日本の対向島型に近づいてきたからです。
実はテレワークや在宅勤務が発達している欧米では、オフィスに来る目的が変わってきました。自分ひとりでできる仕事は、わざわざ会社に来る必要はありません。
オフィスに来るのは、プロジェクトチームのメンバーとして顔合わせをしたり、お客様と商談したりと、誰かと話す必要があるからです。インターネットや電話を使っての会議システムでも可能ではありますが、肝心なところは、やはりFace to Faceのコミュニケーションが効果的です。
となると、ブースの壁は邪魔となり、オープンなテーブルが並ぶような、顔合わせしやすい形がよいのです。そこに花や緑の植物を置けば、さらに潤いも醸し出させます。個人社会と言っても、やはりチームワークはお互い集まって語り合うのがいちばん良いと欧米でも考えられているからです。
ヨコ社会の個人主体の働き方が進めば進むほど、オフィスはタテ社会の見本のような対向島型に近づいてくるとは、なんとも皮肉ではありませんか。
■おお化けするかも?
でもそれは欧米がタテ社会化してきたということではありません。
日本のタテ社会の具現化にふさわしかったオフィスの形が、「コミュニケーション」という観点では、情報化時代の働き方にたまたま適合していたのです。
日本は情報化時代の働き方にもっともふさわしいオフィスの形を昔から持っていたとも言えます。
タテ社会が続く限り、在宅勤務・テレワークの普及には限界があると先月、言いましたが、日本人の換骨奪胎、和魂洋才かつ融通無碍な民族性からすると、対向島型のオフィスを土台に、意外な変化を遂げる可能性も秘めているような気もします。
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