コラム

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日本のFM市場は外資にとって魅力的?

■外資が考えるFMとは?
 調査会社から「外資系企業が日本のFM市場に入り込むには何が必要か?また、どんな分野が可能性が高いか」という相談を、この2、3ヶ月のうちに何回か受けました。
日本はそんなにFM市場として魅力的なのでしょうか?
ここで言うFM市場には、いくつかの分野があります。


(1)不動産(計画と分析、取得と処分、リース管理)
(2)エネルギー・管理(環境施策、需要管理と自己金融)
(3)施設管理(建築物メンテナンス、文書処理、食堂、総務、清掃、セキュリティ、受付業務)
(4)プロジェクト管理(建設管理、プログラム管理、価値工学、資金計画管理)


■日本のFM市場は閉鎖的
 欧米では、このようなFM業務を自社でやることはほとんどなく、FM専門のアウトソーシング企業に任せることが通常です。ですから、専門の会社は数多く、その専門性やサービスの質を競っています。
欧米ではFMが専門職として認められ、マーケットもきちんと確立されているのです。


 グローバル化した今日、日本も欧米と同じ市場になっている、または将来性があるのではないかと期待している外資のFM企業があるということが、今回の調査依頼につながっているのでしょう。


 ですが、日本企業の仕組みから見ると、FM市場はまだ閉鎖的と言ってもよいでしょう。
なぜなら日本では、従来から清掃や設備管理、警備などという仕事は、ビルメンテナンス会社に任せるという習慣があり、ひとつの市場として成熟しているといえるからです。


 独立系のビルメンテナンス会社も多い中、大手企業には子会社としてビルメンテナンスの会社を持っているところも結構あります。


■リストラや天下りの受け皿となる"子会社"が曲者
 この子会社というのが、曲者です。「専門的な仕事をまとめて、技術、サービスレベルの向上を目指す」と建前はあるのですが、実態は本体企業のリストラの受け皿になっていることが多く、また民間の天下りとも言えます。
 終身雇用を前提とする日本企業では、ある程度の年齢層になると管理職にしなければなりませんが、全員管理職とはいかないので、その受け皿として子会社が必要なのです。
 FM関連業務は、事業のコアではなく幅広い分野にまたがっているため、子会社としてはうってつけの領域であり、数多くの天下りを受け入れる規模としても魅力的です。
日本のFM市場は、こうして日本企業の子会社の守備範囲になっているのです。


■FMにも"タテ型"、"ヨコ型"のちがいが...
 そんな市場に外資のFM会社が入りこもうとするのは、容易なことではありません。
結局は日本にいる外資系企業のFM業務を引き受けることが関の山で、なかなか日本企業に食い込めません。


 なぜなら、欧米の企業には子会社という発想や終身雇用という概念がなく、また、会社を選ぶのではなく、仕事を選ぶ、つまり個人主体の会社のカタチだからです。これはここ何回か紹介した「タテ型(日本)」、「ヨコ型(欧米)」の違いから来ています。


 ですので、外資の企業が日本のFM市場に食い込める可能性が高いのは、専門性の高く、また日本企業やその子会社が弱い分野ということになります。


■専門性が突破口に
 先にあげた四つの領域では、
(1)不動産などは、今流行のCRE(企業不動産戦略)であり、専門的知識や分析技術が必要なので、マーケットとして魅力的であり、コンサルティングとしてはアウトソーシングに向いているでしょう。


(2)の環境・エネルギー管理も、ボトムアップで管理してきた日本でのやり方の歴史から見ると、戦略的に施策を考えているとは言えません。環境が企業のブランディングとして重要になってきた現在、アウトソーシングとしても専門性を発揮できる分野です。


■従来型分野でも"専門性"は切り口になりえる
(3)施設管理や(4)プロジェクトマネジメントは従来からの分野なので、どの子会社もやっていることです。しかし、ほんとうに専門的な仕事になっているかというと、本体からの天下りの経営では疑問符がつくところが多いのです。


 業務としての専門性を磨くという意味での、外資FM企業方式の教育や研修システムなどは有効であり、その切り口から入っていけるかもしれないと、私は相談を受けた人には言っています。


 このようなFMや総務の分野をひとつの職務として専門性を高める仕組みを作り、普及させている機関にFOSCがあります。ここのやり方を採り入れるのも、日本のFM企業にとっては手っ取り早いかもしれません。


 日本にはFM市場はあるものの、日本特有の企業形態からその市場は閉鎖的です。
しかし閉鎖的であるゆえ未成熟な分野でもあり、"専門性"という視点から考えていけば、魅力的な市場にも見えてくるものではないでしょうか。

小田 毘古
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