コラム

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楽しく働き、明日に希望をもつ

■好評だった高原のセミナー
 毎年、信州の奥志賀高原で、「高原のセミナー"倉重英樹塾"」を開催しています。
今年も7月最初の土曜日に、90名もの人が奥志賀のホテルに集まりました。講師は日本IBM副社長から転進され、"企業革新にはオフィス改革が重要"とFMの必要性を日本でいちばん理解している経営者でもある倉重さん、ゲストはリッツカールトンの日本支社長を務められ、"サービスを超える瞬間"のベストセラーで著名な高野登さん。

 今年で3回目となるセミナーのテーマは「楽しく働き、明日に希望をもつ」で、約3時間半の講義、討議のあと、パーティ、二次会と夜遅くまで講師と一緒に団欒(だんらん)が続き、翌日はゴルフやハイキングのオプションもありした。東京では決して味わえない合宿形式のセミナーとなりました。


■高野さんのお話にて...
メッカの方角はどっち?
 ホテルにはいろいろな国の方が泊られる。イスラム系のお客にとって重要なのは、「メッカの方角はどちらか」です。リッツカールトンのどの国のホテルでも、客室の机の中に"⇒"の紙が貼られているのです。その方向に向かって礼拝が欠かせないからです。日本系のホテルにはありません。
 「いろいろな体験をして、いろいろな景色を見て、世界にはいろいろな価値観があることを理解する」ことがとても重要であり、グローバル化が進んでいる今、それはさらに大切になるでしょう。


"足元が動く"サーフィン
 サーフィンが他のスポーツとの決定的な違いは「足元が動く」ことです。自分の意志ではどうにもならない状態で体をコントロールすることが求められます。波に呑み込まれることも頻繁に起こります。
それをビジネスに当てはめると、リーマンショックで大量にキャンセルが出たり、毎日予想だにしなかった危機が訪れたりすることです。

そこで大切なのは船のイカリに相当する企業経営の理念です。
"ぶれず、ひるまず"サーフィン状態で社会の波を乗り越えていかねばなりません。
そして今までとは違った視点から、進むべき景色を変えていく発想が必要です。パラダイムシフトを簡単に定義すると「目の前の景色を変える」ということではないでしょうか。


会社が人生の品質を決めてしまう
 日本人は"会社での仕事のQuality=人生のQuality" になってしまいがちです。
会社がすべてという発想から、「自分は何をするために存在しているか」、「あなたのひと言で助かった」など、"人のために何ができるか"という立ち位置で人生を考える方向に、会社で働くとしても、変えていくことが重要です。

 これはホスピタリティにもつながるものであり、リッツカールトンの社員は持ち場が違っていても、クレド(信条)で感性のトレーニングを欠かしません。ですから、自立し、誇りを持って、"お客様にベストなサービス"を、どんな場面でも提供できるのです。


サービスを超える瞬間
 ホテルでも他の企業でも、チームワークで仕事をすることが求められます。
チームワークとは「お互いの価値観がひとつで、みんなの心が共鳴して行動する」ということではないでしょうか。

 「理念に共鳴する人を感性のトレーニングで磨き上げ、仲間を信頼し、価値観を共有して、チームワークで人のために行動する」ことによって、新たな価値が生まれ、"サービスを超える瞬間"につながるのではないでしょうか。


■倉重さんのお話にて...
モチベーション3.0
"モチベーション3.0"という言葉があります。
モチベーション1.0
(食べる、眠るなどの生存維持のために働く)

モチベーション2.0
(与えられた目標達成のために働き、金銭や名誉を獲得する)

モチベーション3.0
(自発的な動機で理念、専門性を磨き、自己実現を達成する)

のステップで自分のレベルアップが必要です。知識社会の時代にはモチベーション3.0の人材が必要です。

 「楽」という字は、「らく」とも「たのしい」とも読めます。仕事の上では"らく"を選んだら、楽しくありません。"楽しい"を選んだら、らくではありません。
自己実現を図るということは、"能力をパフォーマンス(成果)に変える"ことですから、決してらくではないでしょう。


自己実現への投資
 モチベーション3.0とは、「やるべきこと」から「やりたいこと」に変えていくことです。つまり「できること」の領域を広げていくことです。

 そのためには、コラボレーションによって共鳴を起こし、目標を共有したり活動を同軌したりのチームワークも大切です。いろいろな仲間とネットワークを構築することは、自己実現には効果があるでしょう。自分への投資の時間を「学習」、「ネットワーク構築」、「趣味」にバランスよく使うことが、これからの人には求められます。


ビジネスはデジタル、ライフはアナログ
 ビジネスは情報化が進みさらにスピードを求められています。
反対にライフは、もう少しゆったりしたい、のんびりしたいと逆の方向です。
人間の心の問題はデジタルでは解決しません。そのためには、人や自然、文化とのかかわりあいの時間がより有効となるでしょう。

 まずライフがあって、次にワークがあると私は考えています。その視点に立って、「空いた時間で仕事をする」、「仕事の仕方を変える」方向にチャレンジし、週末が楽しくなるような生き方に変えていく必要があります。


生き方を変える3つの要素と勇気
 しかし生き方を変えるということは簡単ではありません。「何をなすべきか」は分かっていても、実行するには強い決意が必要です。

 そして成功するには、「情熱(成し遂げたいという欲求、勢い、決意)」、「人への関心(相手への気遣い)」、「原則(自ら信ずることにぶれず行動することが人からの信頼原点)」の3つの要素が必要です。

 同時に3つの勇気も持ち合わせることが求められます。
 「人を信じる勇気」、「リスクを取る勇気」、「自分をオープンにする勇気」。
信頼することによって相互理解、チームワークで得るものが多くなるでしょうし、失敗を恐れず何事にも挑戦し、批判も受け入れ、自分を理解してもらうことによって、モチベーション3.0の自分に成長するのです。


21世紀は「人財」の時代
倉重さんがおわりにまとめられた5つのキーワードは、高野さんの話と共通性が多いのです。
左のワードが倉重さんのまとめ、右が高野さんの言葉です。

1.リーダーシップ = "ぶれず、ひるまず" 企業経営の理念
2.イノベーション ="パラダイムシフトは「目の前の景色を変える」こと"
3.ダイバーシティ ="いろいろな価値観があることを理解する"
4.コラボレーション ="お互いの価値観がひとつで、みんなの心が共鳴して行動する"
5.ライフワークバランス ="会社での仕事のQuality=人生のQuality" になってしまいがち

 今の日本の閉塞感を打破し「楽しく働き、明日に希望をもつ」ためには、働く環境を自ら積極的に変えていくことが求められ、この5つの要素が大切であることを、視点と表現がちがうもののお2人は強調されていました。

 ぶれず、ひるまず、信念を持って、自己革新に務めれば、21世紀に欠かせない「人財」に
なることでしょう。

 これはFMの仕事に携わるわれわれにも共通していることではないでしょうか?

小田 毘古
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