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メンタルヘルスケア実践講座 第6回
復職に関する注意点

 前回は、休職に入る時の注意点についてお伝えしました。
 今回は、復職についてです。

 うつ病で休職していた人が、職場復帰するときのルール、御社ではきちんと決めていますか?
 本当に病気が回復したのかどうか見極めが難しい、復帰しても、すぐ再発する人が多い、など、メンタルヘルスケアの中でも取り扱いが難しい業務ですね。


■復職の流れ
 厚労省が提唱する復職の流れは、おおむね下記の通りです。

主治医と本人の間で「そろそろ復帰できそうですね」という話になる
 ↓
本人から会社に、復帰の意思が伝えられる
 ↓
復職判定を行う
 ↓
復職プログラムの作成
 ↓
復職する職場への説明(再教育)
 ↓
復職
 ↓
復職後のフォロー

 いかがでしょうか?
 一言で復職といっても、そう簡単ではなさそうですね。主治医の診断書や、本人の意向だけで復職させるのは、ちょっと危険です。


■主治医と会社の役割
 主治医は、患者として本人の病状を認識してはいますが、その人の働く職場や業務内容を詳しく理解しているわけではなく、復帰後、どのくらいの負荷がかかるのかは、正確に把握できません。
 気をつけなくてはならないのは、「病気が快方に向かっている」ということと「職場で一定時間の就業に耐えうる」というのは別問題だということです。

 最終的な判断を下すのは、会社です。
 そして、その意思決定を、医療者の視点で支援してくれるのが、産業医です。

 休職のときにも活躍する産業医ですが、復職のときには、それ以上に頼りになる存在です。主治医の診断書を、わかりやすく人事部に翻訳し、就労判定を行う手助けをしてくれます。病名などに惑わされるのはやめて、働けるかどうかに的を絞って検討しましょう。


■リハビリ出社について
 復職前の試し出社や、リハビリ出社など独自の制度を設けている企業もありますが、休業の身分のまま、慣らしのつもりで安易に『ちょっと会社に来て、机に座ってて』などと言えば、何かあったときに労災がきかないばかりか、無休で働かせたとも受け取られ、労働基準法に触れる可能性もあるので十分注意しましょう。
 そのような制度を取り入れる場合は、信用できる法律家のもとでルール化し、必ず本人の同意を取り付け、主治医や産業医との連携をとりつつ行います。
 また、一定の基準をクリアできない場合は、休職に戻るというルールも、規定として明確にしておくとトラブルになりません。


■オーダーメイドの復職を
 復職プログラム、というのは、どこかにそのような名前のプログラムが売っているかのような錯覚を起させるネーミングですが、それは違います。

 一人ひとり病状が違うのですから、復帰のさせ方も違います。
 これは医療の専門家の助けを借りて、オーダーメイドの段階的復帰をそのつど考える必要があります。具体的には、リワーク施設などでのリハビリ、時短勤務、そして通常勤務という流れになりますが、その期間をそれぞれどのくらい設けるかなどは、専門家の意見を尊重するといいでしょう。

 また、定期的に本人や上司と面談し、復帰状態の確認をします。また、家族とも連携をとり、産業医から日常面のケアのポイントを話してもらうなど、細かな対応が必要とされます。


■復帰のキーマンは「管理職」
 メンタル疾患の場合、一進一退の病状を呈することが多いと考えられますが、焦りは禁物です。上記のような実態を、復帰者を迎える部署のメンバーに理解してもらう必要があります。
 30分程度で構いませんので、メンタルヘルス研修の復習を行い、病気の特徴や、本人との接し方を確認し合います。
 また、その部署の管理職には、特に理解を深めてもらうよう努力しましょう。管理職は、復帰が成功するかどうかの重要なキーマンです。


■人事部門は判断を焦らずに
 復職に最も必要とされるのは、再発を防ぐ本人の努力です。周りがいかにサポートしたとしても、本人にやる気がなくては始まりません。復職は大事な目標ではありますが、人事部門としてそのあたりをよく見極め、まだその段階に至っていないと思われる場合は、復職は早すぎるという判断を下すべきです。

根岸 勢津子
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