経営 / 経理 / 退職給付会計
初めての退職給付会計(4)
今回は前回に引き続き、簡便法の企業年金制度の場合についてご説明をしたいと思います。
●企業年金制度の場合
これも、計算方法は3種類の方法がありますが、そのなかで最も簡単な方法をご説明します。実務上もこの方法を採用している企業は多いと思われます。
各期末の退職給付債務(引当金と考えて下さい)=責任準備金
※責任準備金
将来の退職給付のために会社の責任の下、準備しておくことが求められる金額。
<設例2>
■問題 ※社外準備型、すなわち、社外で退職金の支払いの積み立てを行うケース
①期首時点(1年4月1日 会計基準適用年度)←退職給付会計が始まったのは平成12年4月
責任準備金 500 年金資産 350 ←「年金資産」とは、年金の支払いに備えて積み立てている資産(掛金)
②期中取引
掛金拠出 70 年金支給額 50 年金資産の運用益 9
③期末時点(2年3月31日)
責任準備金 600 年金資産 429
■回答 社外準備型の場合、下記計算するにあたって、「年金支給額50」を考慮しなくて良い。年金支給額50は、「責任準備金(負債)」「年金資産(資産)」の両方に積み立てされており、支給によって両方が同額減少する。つまり、プラスマイナスゼロなので、計算上、ゼロとして計算され、影響がない。
①期首の退職給付引当金 残高ゼロ
引当金は500-350=150。この150が新基準適用により、引当が必要となるものだが、これを一度に引当金としては認識しない。新基準適用による引当不足150のことを「会計基準変更時差異」と呼ぶ。この引当不足を一度に負債として認識すると、会社の財務状況が悪化する。そのため、これを一度に負債としないで15年にわたって償却することにより、負債の増加として認識する。
②期末の退職給付引当金 31
・①(期首)の引当不足150は 期末には150-(150÷15)=140へ減少
・600-429=171
・171-140=31
③退職給付費用 21+10=31 ←損益計算書の(一般的に)「販売管理費及び一般管理費」
・(600-429)-(500-350)=21 ←純粋な引当金増減
・①で説明した「引当不足」150の償却。償却により費用処理することにより、
引当金が増加して不足額が解消される
150÷15=10
(仕訳)
期首 仕訳なし
期中 仕訳なし
期末 (借) 退職給付費用 31 (貸) 退職給付引当金 31

(参考資料)
・「退職給付会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第13号)」
日本公認会計士協会 34項~41項、62項~64項、設例8
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