コラム

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業績に効果が出る新しい組織風土改革の進め方
第1回 組織風土改革のジレンマ

■はじめに

今回から『組織風土改革』のコラムを担当する株式会社カレンコンサルティングの世古雅人です。私は10年以上、メーカーのエンジニアとして製品開発に従事し、その後経営企画部門に異動、全社の風土改革を立ち上げ率先してきました。それからさらに10年、この間、コンサルティング会社や事業系会社の経営企画や管理部門などの責任者を務めながら、内外企業の変革をお手伝いしてきました。

本コラムでは、「会社を変えたい」という思いのある経営者・本社部門の方、現場で悩んでいる方を対象に、「組織風土が変わることによって生じる効果」について、経営者と現場の両方の観点より、わかりやすくお伝えできればと考えています。
「現場の効率を上げながら、経営に効果を出していく」ことと、「他人事で無関心でない現場の当事者意識をどのように醸成するか」を、具体的な事例も含めてご紹介します。皆さんのご参考となれば幸いです。

■はびこる無関心・事なかれ主義

組織風土、企業体質は目に見えるものではありませんが、日常的にはちょっとしたところで垣間見ることができます。

例えば、皆さんの会社の中で新しい取り組みが始まろうとしているとしましょう。新しい情報システムの導入プロジェクトの開始、新制度の開始など何でも構いませんがイメージをしてみてください。その時に、下図のようなことを経験したことはありませんか?

                  【超受け身で無関心】
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•主体性がなく受け身
•無関心:自分には関係ない
•問題意識の無さ
•当事者ではなく傍観者 など
が目立ちます。うちの職場でも「あるある...」と感じたかたはいますか?
仮に皆さんが新しい取り組みを率先していく立場であったら、このような声が聞こえてきたらガッカリしたり、腹立たしく思うこともあるかもしれません。「あぁ......これがうちの会社なんだ。。」とため息を漏らすかもしれません。

この図は1つの例ですが、社内には無関心がはびこり、できれば余計なことには関わりたくないという空気が蔓延しています。それもそのはず、この不景気の最中、社員は時間短縮や給与カットなどで収入は減りながらも、上司や経営者からは「もっと効率的に仕事をするように!」と毎日、口やかましく言われる。目の前の仕事を片付けることに一生懸命で、部門の中にはコミュニケーションもほとんどない。ただでさえ、忙しいところに時間短縮のあおりを食らって、これ以上、余計な取り組みなどに巻き込まないでくれということが社員の本音でしょう。皆それぞれは一生懸命に仕事をしているわけです。

この状態がひどくなってくると、何か問題が発生しても、上司や経営トップに問題発生の情報が伝わるが遅くなります。下手をすると、問題が発生しても何もなかったと「事なかれ主義」になってしまうことも予想されます。いわゆる「マイナス情報が伝わらない」ことにもなりかねませんが、これについてはもう少し先でお話しましょう。

■流行の風土改革もどき

昨今、この目に見えないものの改革に取り組む組織(企業、自治体など)が増えてきています。"組織の活性化"、"コミュニケーション促進"、"セクショナリズムをなくそう"などというテーマのセミナーも目立ちます。組織・人事系の専門誌にも盛んに取り上げられ、コミュニケーションや意識改革系の研修もバラエティに富んできました。先行き不透明なこの時代だから、なおさらなのかなと感じるところもあります。
いっぽうで、取り組む組織が増えても、組織風土が良くなった、企業体質が改善されたという声はさほど聞こえてこないのはなぜでしょうか?

■決まり文句は"意識改革"

企業が起こす不祥事として、経営トップがマスメディアに対する謝罪会見も目立った昨年ですが、目に入る文字の中に"企業体質"という言葉がいくつかあったことも記憶に新しいかと思います。会見の中での決まり文句は「当社は昔からそういう体質があった」です。
これを聞いた側からすれば、「わかっているならサッサと直せ」と言いたいところでしょう。しかし、企業側としては「何を・どう直せば良いのか、直し方がわからない」ということもあります。なんだか雲をつかむような類の"風土"や"体質"に対しての決まり文句も決まっています。「経営者、社員一同、意識改革に取り組む」となります。また、"意識改革"という見えにくい、測りにくいものが出てきました。ますます言っている側もわからなくなり、意識改革をすれば、「不祥事の原因究明や再発防止」が実現できるような気になってしまいます。
意識改革についても、もう少し先に詳しくお話します。

■風土改革の具体的な青写真を描くこと

さて、「組織風土が良くなったという声がさほど聞こえてこない」、「"そういう体質"って何だろう」ということを考えてみましょう。
企業不祥事をなくせと要求するステークホルダー、そして経営者も「組織風土・企業体質が変わる」青写真が描けないことが1つの理由です。
仮に、経営者が「当社の体質が改善されました。改善前に比べて、コミュニケーションも良くなりました」と発表しても、業績が悪かったら、ステークホルダー(特に株主や投資家)は納得せず、体質改善がなされたと受け止めないでしょう。
企業が「体質が変わった、風土が変わった」と堂々と言えるのは、業績が改善された場合のみで、"業績との因果関係を示す"ことができないと、世の中は認めてくれません。昔から"そういう体質"云々は、世の中からすればどうでもよいことで、懸命なる社内改善の結果として「利益体質になった」というのであれば賞賛に値するわけです。

■風土改革の目的は「風土改革を行うことではない」

風土改革とは、風土改革を行うことが目的ではあってはなりません。
特に、風土改革を推進する部門(専任部門や本社、人事・総務部門が多い)は、風土改革を行うことが目的になりがちなので要注意です。
風土改革や組織活性化を行っているコンサルティング会社、教育研修会社も増えてきました。こういうところに支援を依頼することも考えられますが、"業績との因果関係"である「具体的に生産性や品質が向上した」「コストが20%下がった」などの"改革結果"まで責任を持ってくれる"風土改革を行うコンサルティング会社や、コミュニケーション・意識改革系の教育研修会社"は存在しません。風土や組織を専門としない戦略系・業務系のコンサルティング会社に依頼する羽目になるでしょう。

大事なことは、風土改革を行うことによって、自社・自部門の働く環境や人間関係が変わること。その結果として、業績との因果関係が明確になり、経営への効果が出ることを青写真として描くことが必要です。

■結果が大事な風土改革

私は風土改革により、コミュニケーションが良くなり、信頼関係もできるということは、とても重要なものだと考えています。しかし、それ以上に風土改革に取り組んだからこそ達成できた"結果"も大事であると考えています。
「風土改革のおかげで職場のコミュニケーションが良くなりました。しかし、会社の業績は回復せず、やむなく希望退職を実施することになりました」では意味がないからです。
事実、私のいたメーカーでは、景気の影響が支配的とは言え、風土改革を進めている最中にグループ全体で5,000人いた社員数は半分になり、お世話になった諸先輩や上司の多くが会社を去りました。
この時の衝撃があまりに大きく、二度のこういうことはあってはならないと願い、連載のテーマでもある『業績に効果が出る新しい組織風土改革の進め方』をその後10年近くをかけて作り上げてきました。これは当社が各企業で検証し、実績を出してきたものでもあります。

次回は、「風土改革に求められる新しい視点」についてお話しします。

世古 雅人
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