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第3回:ネットカフェと風俗営業(後半)

2012年05月09日

 ネットカフェの多くが区画席飲食店に該当してしまうのではないか、という懸念から、ここ数年の間、警察から業界に対して様々に指導が行われてきましたが、「自分たちは風俗営業に関係しない」という業界全般の思いこみが強かったためか、風営法違反のリスクに対して本気で取り組む姿勢について、私などからすると、「少々甘い」と感じられることがしばしばありました。

 風営法に関係しない業界の人ほど、「少々法律違反をしても監督官庁が行政指導をしてくれるから、いきなり処分されることはないだろう。」といった甘い観測を持たれる傾向があるようですが、風営法は主務官庁が警察(形式上は国家公安委員会)であり、警察の判断(または都合)次第で無警告の逮捕となる可能性は低くはないのです。

 それでも、「まさかその程度のことで、そんなに厳しいはずがない。」といった思いこみで受け止められていることが多いので、もともと風俗営業に属している企業よりも、そのような自覚がない(自社は一般的だと信じている)企業ほど、気軽に風営法違反状態を放置してしまいやすいという側面もあるのです。

 さて、このような状況の中で、ネットカフェ業界がとれる対策としては次のようなものがあります。

 ひとつには、この際風俗営業許可を取得してしまうという方法です。
しかし、風俗営業許可を取得するためには風営法が定める一定の基準を満たす必要があるうえ、もし許可を得られたとしても、18歳未満の客は立入り禁止であり、夜12時(一部地域では例外もありますが)以降の営業も禁止されています。
これでもまだネットカフェ営業が成り立つのであればまだしも、現状ではこのような方法を採用する経営者はほとんどいないでしょう。

 むしろ、風俗営業にならないような工夫をして営業する方が現実的であると考えられているようです。

 その具体的な方法としては、見通しが悪い客席を作らない。つまり、通路と客席を区画する仕切り等を撤去したり、それらの仕切りの高さを100?以下に抑えるなどの措置を執ることがひとつ。

 もうひとつは、客席で飲食を提供しないことにして、飲食店ではない営業形態を採用する方法です。

 区画席飲食店は「区画席」を備えた「飲食店」であることが要件なので、それらいずれかの要件をはずしてしまえば該当しなくなるからです。

 こういった工夫や配慮ができない店舗では、常に風営法違反のリスクがつきまといます。
そもそも、風俗営業に該当しようがしまいが、飲食店営業は風営法の規制を受けていて、ネットカフェ営業も夜10時以降に営業している飲食店として、もともと(風俗営業ではないうちに)風営法の規制を受けているのですが、この話をすると、飲食店営業をしている方から驚かれます。

 「ウチはフーゾクに関係ないから大丈夫...」と思うのはやむをえない、むしろ自然なことだと思いますが、現実に風営法は一般の飲食店に対して様々の義務を課しているのです。詳しくは次回で解説します。

日野 孝次朗
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