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第6回:夜10時以降に営業する飲食店の構造設備基準

2012年09月19日

前回では、普通の飲食店の営業方法にも風営法の規制が及んでいることを解説してきましたが、飲食店内の構造設備についても規制されているという話の冒頭で終わりました。

店内の構造設備の規制を受けるのは、特に夜0時以降から日の出までの時間帯に営業している飲食店であり、次のような設備上の基準を満たす必要があります。


(1)客室が複数ある場合に各室の床面積を9.5m2以上にしなければならない。
(2)客室の内部に見通しを妨げる設備(高さ100cmを越える仕切りなど)を設けてはならない。
(3)風俗環境や青少年の健全育成に悪影響を及ぼすおそれのあるものを設けてはならない。
(4)営業所外へ直接通じていない客室の出入り口にカギを設けてはならない。
(5)営業所内の照度を20ルクス以下にしてはならない。
(6)騒音及び振動が一定の数値を超えてはならない。
(7)ダンスのための構造又は設備を設けてはならない。


これらのうち問題となりやすいのは、(1)と(2)です。

(1)と(2)の規制によると、飲食店に客室数が2室以上ある場合には、それぞれの床面積が9.5m2以上でなければなりませんし、大きな客室であっても、高さ100cmを越える仕切りなどによって9.5m2より狭い区画を作ることができません。

これに抵触している飲食店は夜10以降に営業できませんが、ネットカフェ営業では、これらをクリアできる店舗が果たしてあるのだろうかと思うくらいです。これを守るのであれば、9.5m2以上で見通しの確保された客室に複数の客を収容するか、夜10時以降の飲食提供をやめることになるでしょう。

カラオケボックス等についても、一般的には飲食店営業の許可を持って営業されている以上は飲食店として扱われますが、夜10時以降に営業していれば、この構造設備基準の適用を受けます。ボックス部分の床面積が9.5m2以下の場合は風営法違反の恐れがあるということです。

このような風営法違反について警察行政が指導や取締りに乗り出しているという話は今のところほとんど聞きませんが、ある有名飲食チェーンにおいて未成年者に酒類を提供していたことが発覚し、風営法違反で摘発された事例がありました。
例え取締りがなくとも風営法違反であることには変わりなく、コンプライアンス上の問題とはなりえます。

私は何も、企業のコンプライアンス違反を指摘する「あら探し」をしているつもりではありません。ただ、世間ではいかにも簡単に法令遵守が実現できるような雰囲気でコンプライアンスや法令遵守が語られている現実があります。

今どきはどこの企業のホームページでも、「我が社は法令を遵守します」と宣言していますが、完璧な法令遵守は現実にはかなり難しく、ほとんど無理に近いことなのではないかと思ってもいます。
そういった現実を直視するのが私の仕事でありますし、企業としては、こういった「あら探し」的な知識も法的リスクとして把握はしておかなければなりませんから、このような解説もご理解いただきたいと思うのです。

日野 孝次朗
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