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知らないと危険!著作権・肖像権(その16)

2013年10月17日

■無断公表のトラブルについて注意していますか?

 これまでの話では著作物の利用制限について、もっぱら著作権、つまり「財産的な保護」という視点から著作権法について説明してきましたが、このあたりで「人格的な保護」についても触れてみたいと思います。

 「人格的」という言葉の意味について少し考えていただくことになります。たとえばこんな場合。

 社内報で、ある作家さんのエッセイを掲載する予定なのですが、すでに締切り期限を過ぎていて、手元には未完成の原稿しかないという状況です。

 未完成原稿を見たところ、内容はよくできていて問題はないようでしたので、それを掲載して発行することになりました。ところが、それを知った作者から損害賠償を請求されてしまったという事例です。

 まず、その作家さんの立場として、どのように感じられたかを想像してみましょう。

 まだ未完成ということは、作家さんはその作品について納得できない状態だということであり、その納得できない部分を含んだまま世間の目に触れてしまうということです。
世間の目に触れれば評価をされます。

 他人の目から見て「よくできている」と思えても、作家本人にとっては「それは違う」と思うことがあります。つまり、作品が完成しているのかいないのか、公表してよいのか悪いのか、ということは最終的には作家に判断させてあげないと、作家は納得できなくなってしまいます。

 こういった意味での作家の保護は、「人格的な保護」ととらえることができます。

 自分の作品に対する作家としてのプライド、思い入れ。そういったものを保護しておかないと、文化の原点である創作意欲に悪影響を与えるかもしれないということにもなります。
ですので、著作権法では財産的な保護のほかに、作者の人格を保護するための権利も定めているのです。

 特に、自分の作品を公表させたり、させなかったりできる権利として「公表権」があります。この権利は、未公表の著作物の公表についての判断をする権利ですから、すでに公表されている著作物には適用されません。

日野 孝次朗
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