年上部下とのコミュニケーション

年上部下とのコミュニケーション 序章:「年上部下」に悩む「年下上司」が急増!?

株式会社 自分楽  代表取締役 崎山 みゆき
最終更新日:
2013年11月11日

「やっぱり言いにくいんだよね。今まで散々、原稿を直されたり、企画が悪いなんて言われていた上司に向かって『このゲラなおして、企画練り直し...』なんて。立場的には、年下の僕が上司なのだけれどさぁ。なんたって、部長まで行った人だしね」

真剣に悩んでいるのは、大手マスコミ会社に勤務している40代半ばの男性管理職の友人です。彼はこの秋から、前職の上司が定年再雇用となり、自部署に配属される予定とのこと。つまり、上司と部下が逆転するのです。その背景には、2013年4月1日の「65歳雇用延長制度」があります。  

(1)定年年齢の引き上げ

(2)継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときはその高年齢者を定年後も引き続き雇用する制度)

(3)定年制の廃止  

この3つのうちのいずれかを選択することが義務付けられたことは、ご存じの方も多いと思います。

同年の5月中旬から下旬にかけて、四国新聞・京都新聞・河北新報など全国の22を超える地方紙に、「どうする?年下上司との付き合い方」「65歳雇用延長への取り組み」と、大きな見出しの記事が取り上げられていることからも、社会的注目度の高さがうかがえます。

この中には、私が2005年から取り組んできた「年下上司」「年上部下」とのコミュニケーション研修のことも取り上げていただきました。

当初は、

「こんな逆転現象は、新卒がすぐに辞めるから中途採用せざるを得ないような会社の話だよ。弊社は離職率が低いから関係ない」

「パート・アルバイト採用で主婦を使うスーパーや飲食店くらいしかニーズはない」

と、経営者・人事部門管理職の方からは全く相手にされませんでした。半月で30社訪問したものの、1社も耳を傾けて下さらなかった残念な記憶があります。しかし時代は変わるものです。

みなさんの職場は、いかがですか?  

定年延長だけが原因ではありません。勤続年数を重ねさえすれば昇進できる時代から能力評価に移行しているため、後輩が先に昇進した、上司が降格したなど勤続年数・年齢=役職という方程式が成立しなくなり始めています。

ここで出て来たのが、「年上部下」「年下上司」という、今までにないコミュニケーションの問題です。年功序列の文化で育ってきたミドル層以上の方たちにとっては、年下に指導を受けるというのは、制度とはいうものの受け入れがたい現実です。

また、年下上司としても、ホウレンソウしろと言われていた上司・先輩に指示・命令はしにくいものです。

このコラムでは、定年延長制度のために生み出された「年下の上司」「年上の部下」という観点から「コミュニケーションの取り方」をお話しすることにします。

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著者プロフィール

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株式会社 自分楽  代表取締役
崎山 みゆき

一般社団法人 日本産業ジェロントロジー協会代表理事。両立支援コーディネーター。2021年より内部障がいのため、障害等級1級。2000年より大学院にてジェロントロジーを学び、中高年のキャリア開発に取り組む。産業ジェロントロジーの第一人者。内閣官房、東京都などで講師、研修企画に従事。日本放送協会、テレビ東京、産経新聞など取材多数。著者に『シニア人材マネジメントの教科書』(日本経済新聞出版社)、『60歳新入社員の伸ばし方、活かし方』(労働調査会)、『ジェロントロジーで学ぶ 40代、50代からの働き方』(日経BP)などがある。

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