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BTM徒然草 第3話:日本企業のグローバル化とビジネストラベル

2017年03月28日

 4月は新営業年度を迎える企業も多いことだろう。そこで今回は、第1話で挙げた要点のうちの一つ、「ビジネストラベルの外部委託内容の検討」についてあらためて取り上げる。

■ 外部委託のメリット・デメリットを考える

 ガバナンスの欠如、不足が企業消滅の淵に企業を追いやっているケース、政務費の管理不十分な点が元兵庫県会議員の異常な出張費請求で世間を驚かせたあとも性懲りもなく続き、昨年はほかの都道府県でも同様なことが露見されている。 逸脱した使用目的、領収書の不正使用など、これは管理体制にも問題ありと映るし、制度疲労が疑われる事象である。

 こうしたことは企業社員のビジネストラベルの世界でも"カラ出張"、"規定違反出張"などに散見されると聞きおよんでいる。そこまでに至らなくとも秩序なき出張が日々繰り返されていると考えられる。

 規則遵守を高めることは非常に重要な企業活動の目標だ。その目標を達成するには目的を全社的に理解、それを管理、支援する仕組みが不可欠となる。ことに企業がグローバル化し子会社の現地雇用者に対するガバナンス確立には、まずは具体的かつ明確な出張規定を策定し、その運用をはかることだ。その運用をサポートするのは旅行業務外部委託契約に則り、管理報告をする専門旅行会社である。

 ビジネストラベル(業務出張)の国際線予約方法・中身が変わり、複雑化すると、その支払い精算も同様に複雑化してしまい、その支払いデータを収集し、分析、報告するシステムを考える必要がある。企業によっては国際航空便の予約・発券を複数の旅行会社に分散依頼、経費データは各社からもらい、出張者の請求・精算報告との突き合わせを経理部で行っている。こうした作業を含めて、出張トラベル業務を包括的に外部委託することのメリット・デメリットを再考してみよう。

■ T&Eコスト削減以外のBTMの導入目的

 アバウトではあるが、海外での旅行業務包括外部委託費用は自社の出張経費総支出額の3.5%程度と考えてよい。出張費支出が削減でき、コンプライアンス遵守が改善され、国際航空券購入コスト、危機安全管理がはかられるならば外部委託費用は十分意味のある支出である。その妥当性を検証するには、契約旅行会社にコスト計算表を求める一方、自社のバックオフィス作業を加味したコスト計算をしてみるとよい。

 本稿を書くにあたり、ビジネストラベルプログラムを全社的に導入、その管理を通して目標を達成した成功事例がある、売上高2兆円を超える米国の専門旅行会社(TMC)のWebサイトをチェックした。

 その導入企業は、食品および農業製品取り扱い業種のグローバル企業で、年間の出張支出総額(T&E)は24億円。専門旅行会社と業務委託契約を締結、BTM(ビジネストラベル管理手法)を取り入れた結果、年間1.2億円(約5%)の削減を達成したとのこと。

 BTMの導入目的にはT&Eコスト削減のほか、"MISデータの提供によるグローバル営業活動の見える化"がある。たとえば以前の日本の製薬会社は典型的な内需型のビジネスであったが、今や人口減、薬価改正など諸般の事由で海外進出、現地法人を持つことが一般的だ。

 そうしたとき、この業種の営業活動はMRによる大学病院、大規模総合病院、開業医などへの訪問営業で成り立つ。そこで私がTMC在職中から提案しているのは、T&Eリポートを通して比較・検討することで、各現法の営業活動の問題点を可視化することだ。他業種の企業のみなさんもぜひ、考えてみてはいかがだろうか。

森 栄蔵
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