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総務の知的財産戦略 第18回

2018年04月24日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 高松孝行です。
 今回は実用新案を活用した知的財産戦略、特にメリットについて解説いたします。

■権利取得期間が短い

 
 前回説明したように、実用新案権にはメリットがいくつかありますが、一番のメリットは、権利取得期間が短い(形式的な不備がない場合には、出願から2-3か月程度)という点です。

 このメリットは、近々に販売する予定の製品に関係する技術や、ライフサイクルが短い技術について早期に権利化をはかりたい場合には、非常に有効です。

 特に、玩具、生活用品、スポーツ用品、建築材料等のように、比較的早期に製品化されることが多い技術分野では、製品の形状等が権利侵害となるか否かを判断できることも多いことから、特許ではなく、実用新案を積極的に活用することが考えられます。

■費用が安い

 次に、特許と比較して費用が安いこともメリットになります。

 特許や実用新案を出願する際には、その技術を使った製品が売れるかどうか、不明な場合が多いです。そのような状況で、できるだけ費用を抑えながら、とりあえず他社をけん制できる権利を取得したいという場合にも、実用新案を活用することが考えられます。

そして、実際に製品を販売したところ非常に好評であり、模倣品が出回りそうだという状況になった場合には、その実用新案を特許出願に変更する変更出願(※)の手続きを行い、特許取得を目指すこともできます。

 すなわち、重要な技術(売れる製品に使われる技術)かどうか不明な場合には、とりあえず実用新案を取得しておき、重要な技術であることが判明した時点(実用新案の出願日から3年以内)で、特許出願に変更して、特許化を目指すという戦略を取ることができるのです。

 ただし、このような変更出願を行う場合には、最初から特許出願を行った場合と比較して、実用新案を取得した分だけ、費用がかかりますので注意してください。

※ 変更出願とは、原則として、実用新案の出願日から3年以内であれば、実用新案登録を特許出願に変更することができるという制度です。変更出願を行ったあとは、通常の特許出願と同様の取り扱いとなります。

■外国出願の基礎にすることができる

 また、実用新案は、特許と同様に、外国出願(特許・実用新案)の基礎にすることができるというメリットもあります。

 たとえば、中国の実用新案は、無審査で登録できますが、日本の実用新案とは異なり、権利行使する際に技術評価書等を提示する必要がなく、権利行使しやすい権利となっています。

 そこで、中国での実用新案を取得する方法として、まず日本で実用新案を出願し、その実用新案に基づいて中国で実用新案を取得することが考えられます。

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 このような戦略をとれば、日本とともに中国でも実用新案を早期に取得することができます。

 以上のように、実用新案には特許とは違ったメリットがあります。状況に合わせて、そのメリットを最大に生かした知財戦略を構築してみてはいかがでしょうか?

高松 孝行
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