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BTM徒然草 最終話:2017年度の総括

2018年05月08日

 BTM徒然草も今回で最終回。終えるにあたり、2017年度の総括に入る。私は某大手OTA(Online Travel Agency)とコンサル業務契約をしており、毎月の市場動向調査、BTMに関して直接アドバイスをしたり、報告書として提出している。今回の総括はそれらを基にまとめたものである。

 また、コーポレート・トラベルに関する統計・関連情報は、日本では未整備のため、海外統計と航空会社およびTMC(ビジネストラベル・マネジメントに特化した専門旅行会社)での実務経験を参考にした当事務所の推計になる。

■出張費のコスト削減


 日本企業が業務出張に支出するT&E(出張費)の総額は年間12兆円を超え、その内の7割、あるいは6割が航空運賃、鉄道運賃および宿泊費と推定される。したがって、コーポレート・トラベルを専門旅行会社に外部委託して、コスト削減をはかる必要性は十分あると考えられるだろう。特に、海外出張の多い企業で航空運賃支払額が5億円を超える場合は、コスト削減の余地が多いといえる。

 具体的な取り組みとしては、航空会社、ホテルなどとの年間契約への変更によってコスト削減ができる。ただし年間契約は、ある程度以上の見込める売り上げがないとサプライヤーは交渉に応じない。その場合は楽天トラベルなど、旅行予約会社との契約で同様なメリットを享受できる。特に、国内出張時の宿泊費のコスト削減をはかることが可能である。

 また、海外出張が少なく、かつ航空券購入支払総額が1億円を下回る企業については、金銭的には測定しづらいサービス面の改善をはかりたい。

■出張の危機安全管理


 業務出張の目的を考えるならば、海外への業務出張では、基本的にLCCの利用は避ける方が賢明である。その理由は遅延、キャンセル時の対応がレガシーと呼ばれるANA、JALなどフルサービス提供の航空会社と違い、大切な出張の予定が狂い、目的を達成できない懸念があるからである。具体的にいうと、代替航空便の提供面でレガシーとは大きく異なる。

 また、危機安全管理面においては、「TRM(Travel Risk Management)」と呼ばれる出張時の危機管理ができる体制が整った経験と実績のある旅行会社との業務委託契約がお薦めである。

 海外企業同様、日本企業も"Duty of Care (海外における企業安全配慮義務)"の企業責任を考えておくことも非常に重要である。これは社員が業務上の不慮の事故で死亡したり、大けがをした場合などに、本人、家族から企業がその責任を問われる場合の根拠となり得る。特に海外へのトラベルは、安全と見なされていた地域、国であっても、宗教、政治、民族間の紛争問題に端を発したテロ等の危険性があるため、危機管理対象とすべきである。

■ビジネス・プレジャーの扱い


 最後の問題定義は、T&E(出張経費)精算と危機管理観点を、どのように出張規程に取り込んでルール化しておくかということである。本来出張とは、商談、調査などの目的を果たすための旅行だが、出張先での前後の観光、観劇、観戦などを楽しむ出張者は「ビジネス・プレジャー」と呼ばれている。このビジネス・プレジャーのどこまでが経費精算可能で、プレジャーを楽しんでいるときに遭遇したアクシデント、トラブルは"Duty of Care"の範囲に入れるかどうかという判断根拠を出張規程で網羅しておくべきかと感じている。

 さらに、BTMについて知りたい方は、日本CFO協会のビジネストラベルに関するアンケート回答および解説や、T&E管理および経費精算のツールを提供しているコンカー社のホームページをご覧になることをお勧めする。

森 栄蔵
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