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改正民法で変わる債権法【その1】改正民法の具体的な変更内容と影響

2019年04月18日

 2017年の国会で、改正民法が衆議院でも参議院でもついに可決されました。民法の改正は実に200年ぶりといわれ、改正により企業の実務をはじめ、民間の取り引きにも大きな影響があるといわれています。
 では具体的に、新しい民法はいつ施行され、何が変わるのでしょうか?本稿では、そのポイントを絞って概要をご説明します。

■改正民法が施行されるのはいつ?

 改正民法は2017年5月26日に成立し、翌月2日に交付されています。具体的な施行日は、この公布の日から3年以内に定められました。そのため、2020年の6月1日までには、実際に施行されることになります。

■今回の改正の範囲

 1896年(明治29年)に制定された民法は、親族法・相続法などの家族法と債権法や物権法などの財産法を含む膨大な条文数を有する法典です。今回見直しの対象になる範囲は、この一部である財産法となります。財産法の内容に踏み込んだ大改正は、立法以来初めてのことです。

 具体的に条文で見ていくと、第1編「総則」の第5章「法律行為」第7章「時効」と、第3編「債権」の第1章「総則」・第2章「契約」が改正の対象となります。

■改正の理由

 なぜ今回民法が改正されることになったのでしょうか?その理由のポイントとしては、新しく考え方を変えるというよりも、これまで条文上では必ずしも明らかでなかったものについて、長い期間を経て学説や判例により確立されてきた解釈を、この機会に条文として明らかにしていこうというものです。

 明文化されていないことについて解釈に委ねると、どうしてもグレーの部分が残ることが拭い去れません。ですから、誰が見ても同じ理解となるように条文として定めようというわけです。

■企業への影響

 改正民法により、企業には具体的にどのような影響があるのでしょうか?特に企業に影響があるといわれているものとしては、以下のようなものが挙げられます。

(1)消滅時効
 一定期間債権を行使しないと、債権が消滅してしまうことを「消滅時効」といいます。これまでの消滅時効は、職業ごとに短期に消滅する時効や、企業間に適用される商事消滅時効がありましたが、これらが廃止され、一律のものとなりました。また、時効の概念については、「停止や中断」から「時効の完成の猶予や更新」に再編整理されました。

(2)詐害行為取消権
 債権者を意図的に害する目的で行われる詐害行為を、契約外である債権者が債務者の代わりに取り消すことができる権利を「詐害行為取消権」といいます。これについて、詐害行為を類型ごとに行使するための手続きや権利関係が、具体的に明確化されました。

(3)保証
 お金を返すことが主な債務である場合、個人が連帯保証人となるためには、公正証書による意思確認が必要となり、保証人に対して一定の情報提供が義務付けられました。

(4)債権譲渡
 譲渡制限特約があっても債権譲渡自体は有効とした上で、債務者の抗弁事由として譲渡制限特約が利用できるようになりました。

(5)法定利率
 支払い期日までに返済がなかった場合の遅延利息について、商事法定利息である6%を廃止し、一律年率3%プラス変動制としました。

(6)定型約款
 定型約款により、相手方の署名などの同意取得行為を要さない「みなし合意」としている場合、契約条件を変更するためには、一定の要件や手続を満たすようにしなければならなくなりました。

(7)債務不履行
 債務不履行により解除するにあたっては、債務者の帰責事由を要件としない旨定められました。

(8)売買
 商品に隠れた瑕疵(かし)があった場合の瑕疵担保責任の法的性質は、契約責任と位置付けられました。


 いかがでしたでしょうか。民法改正により、少なからず企業法務や取り引き、債権管理は影響を受けます。実際の施行までまだ時間がありますのでポイントを押さえて社内で勉強会を開くなど、なるべく早めに対応の準備を始めておきましょう。

白石 哲也
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