人事 / 労務管理 / 雇用
業務命令違反について
7年前にある業務内容で採用したパート従業員に能力低下と就業態度の問題で部署異動を命じましたが拒否されました。平行線状態が続き解雇の話が出ました。会社都合での解雇にしてと言われましたが、今では解雇理由を書面で請求されています。そもそも会社の労働契約書には「事業若しくは業務の都合により、仕事の内容、勤務場所または始業・終業時刻を変更することがある」と記載されており更新の際には署名捺印している。入社時にも同様の内容の誓約書に署名捺印をしているので業務命令に従わないのは契約違反ではないのか?
先生からの回答
- 回答者:
- 矢萩 大輔先生
業務命令には、ご相談内容の部署移動(配転命令)の他にも残業命令、業務指示命令などがこれに該当します。雇用契約書などで「事業若しくは業務の都合により、仕事の内容、勤務場所または始業・終業時刻を変更することがある」「従業員は正当な理由がなければ、拒否できない」などと記載されており署名捺印しているのであればその範囲において労働契約が成立しているので、それに違反した場合には契約違反といえるでしょう。
しかし、契約違反があったことと、解雇が有効かは別問題です。
解雇に関することは就業規則の絶対的記載事項となっているので、解雇をする場合にはまず、就業規則にどんな時に解雇になるかを記載しておかなければなりません。パート従業員の就業規則がないなどの場合には雇用契約書に記載しておく必要があります。
そのうえで、今回の解雇が有効か無効かを判断することになります。その判断は監督署ではなく、最終的には裁判になります。
会社には従業員を解雇する権利はありますが、その権利を濫用してはなりません。労働契約法16条に「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と定めています。
就業規則や雇用契約書に記載されている解雇理由がこの要件に合致するかどうかを結局は裁判で争うことになります。
配置転換についての判例として最高裁は,「転勤,特に転居を伴う転勤は,一般に,労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから,使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく,これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ,当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても,当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等,特段の事情の存する場合でない限りは,当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。」(東亜ペイント事件 最二小判昭61.7.14)としています。今回のご相談は転勤ではありませんが、社内の部署異動においても同様に「業務上の必要性」「不当な動機、目的があるか」「通常甘受すべき程度を著しく越える不利益があるか」により解雇の有効性が判断されるものと思われます。
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