著作権を考える前に 法律と法と道徳:平成15年改正の概要(平成16年1月1日施行)

最終更新日:2010年03月01日

著作権を考える前に 法律と法と道徳:目次

(1) 教科用拡大図書等の作成のための複製

・弱視の児童又は生徒の学習に使う目的で、教科用図書に掲載された文字、図形等を拡大して複製することができるようになった。

・教科用拡大図書(教科用図書における文字、図形等を拡大して作成した教科用図書のこと)を作成する者は、あらかじめ当該教科用図書を発行する者にその通知をし、もし営利を目的として頒布するときは、一定の補償金を当該著作物の著作権者に支払うこととなった。

・第35条の「教育機関における複製」の場合について、「教育を担任する者」だけでなく、「授業を受ける者」も複製することができるようになった。

・インターネットやLANを利用した授業及び試験の実施に対応するため、授業の過程における著作物の公衆送信等を可能とした。

(2) 映画の著作物の保護期間延長

映画の著作物に限り、著作権の保護期間を公表後50年から70年に改めた。

(3) 損害額の推定等について

侵害に対し損害賠償を請求がなされた場合に、侵害物品がすでに譲渡されたり公衆送信されていたときは、その譲渡または受信された数量に、侵害された側が販売していれば得られた単位数量あたりの利益を乗じた額を損害の額と推定できる。ただし、この数量は権利者の実施能力を限度とする。

(4) 具体的態様の明示義務

訴訟において侵害された側が侵害行為の具体的態様を立証することが困難な場合が多いことを考え、著作権者等が侵害行為等の具体的態様を主張したときに、侵害者とされる者がこれを否認するときは、原則として自己の行為の具体的態様を明示しなければならないとされた。ただし、営業の秘密など、明示できない相当の理由があるときはこの限りではないとされる。

(執筆:のぞみ合同事務所 行政書士日野孝次朗)

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