施設・機器管理:OA機器管理

最終更新日:2010年03月04日

施設・機器管理:目次

●コピー、FAX

コピーやFAXといったOA機器の場合、それぞれ単体で考えるのではなく、同一フロア、或いは全社を通じてOA体制というものを考えるべきである。移転・レイアウト変更の場合は特に、現状調査をしっかり行い、体制を考えるローデータとする。これらOA機器については、身近な機器でもあり、とかく使用者からの要望が多く寄せられる。個別に対応するのではなく、全社の体制として明確な論理づけをして配備していく。選定基準にしても営業面も考慮に入れて検討していく。導入する場合は、設置場所や、導入後のランニングコストについてのコスト管理も重要なポイントである。コピーの使用は目に見えない経費となって発生するため、コスト意識を徹底するのが難しい。また、大型機になると、解体が必要となる。OA機器特有の移動のポイントも押さえておく。

(1) OA体制

使用人数と使用頻度から考える。同一フロアに20人程度で、コピー、FAXの使用頻度があまりの高くないのであれば、1台の複合機(コピーとFAXが合体したもの)で間に合うが、コピーの使用頻度が高いのであれば「コピーと複合機」、FAXの使用頻度が高ければ「複合機×2」で考える。これを基本とし20人を超える場合は考えていく。応用編としては、大型アナログ・デジタルコピーをセンターコピーとし、サブコピー兼FAX機として複合機を数台配置する体制。送受信が頻繁に発生するのであれば、1台の複合機に電話回線を2回線収容する体制。同一のものを大量にコピーする場合があるのであれば、印刷機を中心において中型のコピー、複合機をその周りに設置する体制。使用状況を十分に把握して体制を検討する。但し、コピーがあると、安易にコピーをしてしまうので、運用コストが増大する。台数を増やすことについては慎重な検討が必要である。

(2) 選定基準

導入後の修理や保守を考えると連絡先の一元化という意味で、メーカーを統一しておくと便利である。また、追加で購入する場合も、同一メーカーの方が操作方法(操作パネル)が似ているので、利用者にとっては便利である。コピーの場合、購入費用の他に使用ごとにカウンター料金が発生するのはご承知のことと思うが、それも、台数を増やすことでその料金体系が下がる場合がある。一つの考えだが、統一窓口にすると便利である。但し、1社独占での弊害もあるので注意を要する。導入する段階で是非、ランニングコストの削減方法も検討しておく方が良い。特に台数が増加する場合は重要である。新規導入で台数が増加する場合は、カウンター料金の交渉も必ず行ってみるべきである。結局、ランニングコストが何年にも渡って響いてくることになるので、購入価格もさることながら、ランニングコスト(カウンター料金)については、厳しく価格交渉をすべきである。

(3) コスト管理

使用枚数削減方法の一つとして、コピーカードで管理するものがある。各部署毎に専用のカードを配付し、そのカードを差込まないとコピーが使用できないものである。カード毎に使用枚数がカウントされるので、一定期間で集計して使用状況を把握することが可能である。集計結果により使用状況を公表し、削減を目に見える形で推進していくのである。或いは、各部門ごとに可能使用枚数を設定しておき(コピー枚数の予算制度)、それ以上は使用できず、不足する場合は申請させ、それ以降の期間より前借させるという方法もある。コピーの使用は、経費が目に見えない分、安易に使用してしまう。また、積極的に2イン1(A4を2枚コピーする場合、縮小してA4の1枚にしてしまう方法)や4イン1をすること、両面コピーを使用する等で削減は可能である。その他、機器ごとに様々な応用編があり、メーカーに説明してもらい、十分に把握し広報する必要がある。

(4) 設置場所

設置場所は当然レイアウトとの整合性が必要となる。フロア内の各部門での利便性の問題や、コピーを使用する際発生する騒音の問題を考慮し、設置場所としては、共通サービスコーナー部分で、なるべく各部門から等距離の位置に設置することになるかと思われる。必要な備品として、FAXで受信された書類を仕分する各部署ごとの仕分棚や、ミスコピーを裏紙として再利用するための保管場所としての棚みたいなもの、補充用のトナーや使用済みのトナーを置いておくスペースも必要である。

(5) 現状調査

メーカーと機種名、台数、使用年数と購入形態(資産、リース、レンタル)、設置場所と機器自体の不具合等、ハード面のデータを把握。流用か廃棄かの判断材料となる。次に、一般的な使用方法から各部門の使用上の特性を把握する。FAXは使用時間帯に顕著な偏りがある場合もあり、通信レポートを分析し、時系列の受発信状況や一斉同報の使用状況を把握。OA体制に必要な情報である。現状調査と共に、各部門の不満を中心に、解決方法を考えながらヒアリングする。コピーの場合はコピー待ちの時間が長い(台数の増加、高速機の導入)、設置場所が不便(近くに設置)、コピー速度が遅い(新機種の導入)。FAXの場合は、排紙スピードが遅い(新機種の導入)、送信待ちや受信待ちが度々発生する(メモリーの追加、回線の追加)。設置場所で解決するのか、機器の変更或いは収容回線数やメモリーを増やすことで解決するのか、運用で解決するのかイメージしていく。

(6) 移動のポイント

移転・変更時の注意点として、ソーター付の大型コピーや、搬出する際に解体が必要なコピーを使用している場合は、搬出直前にメーカーに来てもらい、解体をしてもらうことが必要になる。搬出業者(引越業者)でも解体は可能であるが、移動後に不具合が生じてしまうと責任問題が発生して、何かと面倒になるので、是非、メーカーに解体をしてもらうべきである。さらに、移動後は設置してからの動作確認が必要になるので、搬入すると同時、若しくは、移動後の業務開始までには、必ずメーカーに動作確認をしてもらう。 全く新しい機種を導入する場合は、使用方法に関する説明会を開催してもらうことも必要である。

●自販機

自動販売機自体の種類として大きく分けると、缶ジュース系、ブリックパック系(紙パック)、紙コップ系の三つとなる。それを扱う業者も、ボトラー系(コカコーラや伊藤園等)と、ベンダー系(特定のメーカーに拘らず、様々なメーカーを取り扱え、主に紙コップの飲料物がメイン)2つに分けられる。設置に際しては、必要費用や必要設備を十分に確認しておくこと。缶なのか紙コップなのかというタイプの選定とともに、ベンダーの選定基準の確認と保守体制の確認も必ず行う。

(1) 必要費用

自動販売機の設置費用については業者持ちが一般的であり、費用負担は設置後の電気代と紙コップ式であれば水道代のみとなる。電気代は1台月間数千円程度である。自販機を社内に設置した場合、通常価格で販売し会社としてマージンを受け取るか、福利厚生の一環として販売価格を通常より割安にして、ノーマージンで販売するかの二通りがある。設置後の作業は、故障やクレームが発生した場合に、自販機業者に連絡するだけで、集金やメンテナンス、ごみの回収まで自販機業者で行う。マージンを受け取る場合は当然、その経理処理が発生する。

(2) 必要設備

自販機自体の違いでの注意点は、缶ジュース系とブリックパック系であれば、電源用のコンセントがあれば事足りるが、使用量が大きいので単独回路が必要。また、コンセントの位置についても天井近くに設置することが多いので確認が必要。紙コップ系だと電源(当然単独回路が必要。)とともに給水設備が必要になる。これも自販機により蛇口の立ち上げ場所が異なるので確認をした上で設置する。蛇口に直結するタイプと自販機の中にタンクがあり、そこに水を貯めて飲料物を作るタイプがあるが、後者は手間がかかるので給水設備を設置できるのであれば工事を入れることをお勧めする。自販機の違いとしては、その他に紙コップ系であれば、コップの種類が幾種類もあるとか、砂糖やミルクの微調整がきくとか、飲み物の種類が多くあるとかの違いがある。また、紙コップ系だと必要な時に飲み物を作るので味の劣化が無い。

(3) タイプの選定

どのタイプの自販機を入れるか判断する際のポイントは、どこでだれが利用するかに注意する。また、社内で飲む場合はごみの問題も考慮する。紙コップだと通常の可燃ごみとして捨てられるが、缶の場合は分別して廃棄しなければならない。業者がごみ回収をすると言っても、それは特定のごみ箱であり、他の場所のごみ箱に捨てられた場合は自社で処理しなければならない。社内のごみ廃棄ルールや飲食のルールにもよるが、社内に設置する自販機は紙コップかブリックパック式が良い。戸外にあり利用者がドライバーの場合は缶タイプの方が喜ばれる。

(4) 選定基準

業者を選定する際のポイントとしては、基本的に何を飲みたいかにつきるが、その他のポイントとして、対応窓口の問題がある。ベンダー系の場合、自社商品のみならず広く他のメーカーも扱える業者もある。その場合だと、そこを窓口として色々な自販機を導入することが出来る。紙コップもあれば、サントリーの缶ジュース、ヤクルトのブリックパックであっても窓口を一社で済ますことも可能である。クレームや故障が発生しても、1つの窓口に電話して連絡すれば事足りるのである。但し、ベンダー系の業者でもメーカーの系列があるので、取扱える商品に違いがあるので、よく確認しておくことが必要である。また、自販機業者の選定に当たっては、色々と営業関係でのバーター取引の対象にされるので、営業部門ともよく確認した上で業者やメーカーを選定していくことが重要である。

(5) 保守体制

保守やサービス体制については、どこに営業所や保守拠点があり、保守を担当する人が1人で何台の自販機を管理しているかで、対応の迅速性に差がつく。自販機についてトラブルが発生した場合に、すぐに対応できる体制の業者を優先すべきであろう。対応が遅れると、何かと主管部署にその対応の遅さがクレームとして入ってくるので、選定段階で保守体制は重要視しておいたほうが良い。

●家電製品

ここでの家電製品とは、食堂や給湯室に設置する、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機や乾燥機等。事務室や会議室に設置する、テレビ、ビデオ、プロジェクター等のことである。スペースの確保が必要であれば、移転・レイアウト変更時には、設置スペースの問題がある。また、電気使用量が多いものについては単独回路を用意したり、給排水設備などの必要設備の確認や確保が必要となる。特にAV機器本体やリモコンなどの付属品に関しては、使用方法の説明や、貸し出し台帳を含めた、貸し出す際の運用ルールなどを決めておく。ここがあいまいだと、どこかに放置されたり、紛失という事態が必ず発生してくる。会社の備品として、しっかりとした管理が必要である。

(1) スペース

家電製品であっても、スペースを確保する必要があるのなら、そのスペースの問題がある。レイアウト図面を作成する時に正確に実測して反映させる。レイアウト図面の場合は平面図なので高さは反映されないが、背が高いものはその分注意しておく必要がある。また、扉がある物であればその稼動部分を、また後部に配線が集中するのであれば、放熱の関係でその分もスペースを考慮すること(若干前に出る)が必要となる。あまりきっちりとスペース取りをするのではなく、ある程度余裕を持たせた方が良い。

(2) 必要設備

必要設備の確認として、電気容量とコンセントの問題がある。全ての機器について必ず使用電力を確認することが必要。電子レンジや乾燥機の場合は10A以上の電気を使用するので、単独回路をあてがう。他の機器と同一回路のコンセントでは使用しないこと。但し、同時に使用しないのであれば、同一回路にぶら下げても支障は無い。また、図面上からコンセントの位置を確認しておく。新築の場合であれば、各々の機器の使用場面をイメージして、使い勝手の良い場所にコンセントを設置してもらうように指示をする。洗濯機や乾燥機を設置するのであれば、給排水の設備も必要になる。現在は使用していないが、いずれ使用する可能性があるというのであれば、事前に配管設備だけでも用意しておく方がコスト的には安く済む。

(3) 運用ルール

新規の機器を移転・レイアウト変更を機に導入するのであれば、運用ルールや管理ルール及び使用方法について事務局或いは管理部署である総務部で、移転前にきっちりと設定或いは把握しておく事が必要である。特に会議室等に設置するAV機器については注意を要し、総務部での理解はもちろんのこと、頻繁に使用する部署にはある程度理解してもらわないと、その後の運用で総務部に非常に負荷がかかってしまう。移転後に使用頻度の高い部署向けに使用説明会を開くのが良い。また、貸出も含めた運用面についても必ず検討しておくことである。特に、機器に関する小物や備品の管理は主管部署で管理し、貸し出し台帳をもとに使用させることが必要である。あいまいな貸し出し方法であると、必ず紛失してしまう。

(執筆:『月刊総務』)

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