総務辞典

株主総会運営

検討事項

商法で厳格に規定されている、総会の開催日時、総会に上程する議案、招集通知などの法定文書のほか、全ての実務を統括する運営事務局のメンバー構成、法定スケジュールも含めた実務のスケジュール管理、総会当日に議長の後ろで議事進行のサポートを行う事務局メンバーの構成などを決定しなければならない。株主総会当日必要となるものとして、議事進行のシナリオ、株主からの質問に対応するための想定問答集の作成、実際に質問に対する回答を行う当日回答者の確定。事前質問が寄せられた場合の質問状への対応をシミュレーションしておくことも必要。最後に、当日参加して頂いた株主への土産も用意しておく。

●開催日時
株主総会の開催日は、継続会や延会になる場合を想定するのと、総会で確定した決算に基づく有価証券報告書の提出(決算期日から3ヶ月以内)を考慮に入れ、決算期日から3ヶ月目の月末の1営業日前までとすべきである。営業日でなくても、土曜日或いは日曜祝日に開催することも可能。その他に考慮すべき点としては、兼務役員がいる場合は、兼務している会社の株主総会に出席できるように調整することが必要である。開催時間については、サラリーマンが多数出席できるように、夕方に開催するところもあるが、午前10時とする場合が大半であろう。

●運営事務局
株主総会運営に必要な諸業務を行う全社横断組織として「運営事務局」設置する。具体的な業務としては、想定問答集の取りまとめや法定必要文書の作成、当日運営スタッフや議場セッティングの統括、それに当日社員株主として出席すること等がある。人選に関しては、想定問答集の作成があることから、全部門から最低1名の参加が必要となる。「運営事務局」の事務局は総務部となる。

●想定問答集
想定問答集については、実際に株主総会で使用することはほとんどないが、作成することにより、自社を見つめなおすいい機会となる。作成の段取りとしては、雛壇の上の取締役が直ぐに応えられるものは除き、各部署で質問されると困るような問題について、統一フォーマットにその質問と解答について記す。一通り作成できたら、運営事務局で取りまとめ、自社の企業情報を開示している部署に監修してもらうこと。今までに発信した情報との整合性はとっておく。翌年も、この想定問答集をベースとして、数値を入れ替えたり、新たな問題を付け加えていくことで改定して、使用する。

●スケジュール管理
管理すべきスケジュールとしては、計算書類の承認や監査役会等への提出、決算取締役会の開催や決算発表、招集通知発送等の法律上の日程。証券代行部との書類のやり取りや招集通知作成に関する印刷会社との事務日程。リハーサルや運営スタッフの勉強会の開催、想定問答集や資料作成に係る社内日程がある。法律上の日程は絶対にはずすことは出来ない。総会の存在自体の瑕疵に繋がる。事務日程については余裕を持ってスケジューリングしておくべきである。特に、法定文書の作成については数人による校正が必要となり、短時間で行うことは避けるべきである。社内日程については、「当日運営スタッフ」での「実務スケジュール」を参照のこと。

●事務局メンバー
通常、事務局には弁護士と総務部、人事部、経理部、経営企画室等のスタッフ及び営業や生産、事業企画等のラインの実務に精通した担当者が臨席する。総務部の担当者は商法に精通しており、不測の事態に対応できる機転の利く人物が適している。その他の部署の担当者は、課長クラスで、その部門の数値から業務内容、経営データに関する項目につき、概略から詳細まで、どのような質問が発せられたとしても、回答内容を即座にイメージできるような人物が必要である。どの部署もエース級を配するべきである。

●シナリオ
シナリオは株主総会において、議長が行う議事進行を円滑に進めるために必要である。総会当日は、そのシナリオに基づき議長が議事を進行させていく。よって、開会の宣言から閉会の宣言までの、全ての議事につきシナリオが組まれていく。株主総会に上程する議題が確定してから作成に入り、リハーサルでまず使用する。作成するシナリオは、通常パターン(何も発生しない状態)と手続的動議発生パターン、修正動議発生パターンを作成して、リハーサル時に使用して、流れを把握する。

●質問状への対応
株主総会当日までに、株主より質問状が到着した場合を想定して、その場合の対応方法につきシミュレーションしておく。必要な役割を以下のように明確にしておく。
(1) 株主より寄せられた質問を理解し整理して、担当の部署に割り振る係り
(2) 担当部署でその回答を作成する係り
(3) 各担当により作成された回答を集めて株主総会のシナリオに反映させる係り
それぞれの担当を明確にしておき、質問状が到着後、直ぐに作業にかかれる体制をとっておくことが必要である。"

●当日回答者
株主総会当日、株主から質問があった場合の回答者を明確にしておく。議長が事務局の協力のもとに全ての質問に答えるのか、株主からの質問を整理し、その内容に関して担当する担当取締役へ振るのか、そして、その場合の分野ごとの担当を取締役間で重複しないように明確にしておく。特に、役付取締役と平取締役で担当が重なる場合(管理部門担当常務取締役と取締役経理部長のような場合)は、事前に分野ごとに回答者を明確にしておき、混乱を避ける。また、各取締役が回答する場合は、議長との受け答えにつき、統一した言いまわしで応えられるように「リハーサル」で訓練しておく。言い回しは以下の通り。「取締役の○○です。議長の氏名により、...に対する質問につき、私からご説明申し上げます。...以上ご説明申し上げました。」

●株主への土産
当日総会に参加頂いた株主への土産を検討する。検討事項としては、
(1) 土産を何にするか・・・自社製品、或いは自社のサービスが利用できる権利とするか。全く関係のない飲食物や物品とするか。
(2) 個数をいくつにするか・・・前年の社外の出席株主数とほぼ確定している出席予定の社員株主、社員株主で運営スタッフとして当日役割を担う者、それに、弁護士と臨場してもらう警察官、別室待機の公認会計士を含んで考える。
(3) 発注先をどこにするか・・・自社の株主となっている企業や個人からの購入はなるべく避ける。直接の利益供与ではないが、会社としての姿勢が問われる。
以上の点を検討し、決定したら、納品までのスケジュール管理を徹底していく。
(執筆:『月刊総務』)

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