総務辞典

震災対策

企業における震災対策

企業の震災対策(防災対策)の管理責任者は、防火管理責任者が兼任する。その基本職務は、地震や風水害の発生が予測され、実際に災害が発生した場合は、被害損失を最小限にとどめ、人命安全のために次の職務を遂行することである。

(1) 防災組織の編成と運営
(2) 避難誘導体制の整備と防災訓練の実施
(3) 予防点検業務
(4) 非常用具の点検
(5) 消防機関等関係者との連絡

防災組織は、自衛消防隊組織を運用する。避難場所は、1次避難場所(近隣の小中学校)及び広域避難場所(消防署にて確認)を周知する。非常用具は、防火用の非常用具を使用する。そして、地震の震度を段階に分け、それぞれの段階における地震発生時対応及び地震後の救護と点検項目を整理しておく。

●防災訓練 防災訓練は、通常の消防訓練に以下の訓練を追加して行う。
(1) 出火防止訓練...火気の使用を中止し、ガスの元栓を閉鎖
(2) 初期消火訓練...防火訓練と同様。地震時は同時に数カ所からの出火を想定
(3) 避難誘導訓練...地震被害が大きく、業務を中止し従業員を避難場所へ誘導
(4) 救護訓練...負傷者を救護する訓練

事務所内の整理は、良好な就労環境の維持のためにも定期的に実施する。
(1) 保存書類の地下倉庫保存
(2) キャビネット上の物品除去
(3) 廊下、通路、階段の物品除去
(4) ロッカー、キャビネット、自販機転倒防止措置
(5) 窓ガラスの飛散防止措置
(6) 掲示物の落下防止措置
(7) 火気器具からの出火防止措置

地震時の非常用物品は下記の通り。
(1) 飲料水、非常食、医薬品、懐中電灯、ラジオ、拡声器、救出用機材を備置
(2) 保管場所を定め定期点検を実施する

●地震発生時対応 対応の基本方針は下記の通り
(1) 社員とその家族をはじめ、近隣住民を含めた人命の尊重を最優先とする
(2) 顧客優先を基本とし、顧客を通じて企業の社会的責任を遂行する
(3) 会社の資産・情報を保全・管理し、企業の存続基盤を確保する

地震発生時における従業員のとるべき行動は、パターン別に整理する

【Aパターン(震度1or2)】人体に感じる以外特に影響がない
⇒ 地震発生後、暫く様子を見て、揺れがその程度でおさまれば、特に避難はせず。 火気の使用は直ちに中止する

【Bパターン(震度3or4)】建物が大きく揺れ、不安定なものが落下 ⇒ 屋外に飛び出さないよう制止。火気の使用は直ちに中止、エレベーターの使用制限

【Cパターン(震度5or6)】建物が激しく揺れ、歩行が困難

【揺れが続いている場合】火気の使用は直ちに中止、エレベーターの使用制限。建物外への飛び出しは安全が確認されるまで制止  
【緊急避難時】組織的な誘導指揮は無理で、近くの社員と協力し合い避難を行う

【揺れが静まった場合】事務所内の負傷者の救護、エレベーターに人が閉じ込められている場合は、保守会社に連絡

●地震後の救護と点検
地震発生時の対応は、自衛消防隊組織を運用し、従業員の初動措置は全員が組織的な行動をすることが大切である。突然の地震の場合はその場の対応が重要であり、だれでもリーダーとしてリーダーシップの発揮が重要となる。パニックを防止するため、自衛消防隊を主体として冷静に組織的な行動をとり、憶測で情報を流さないこと。
地震後の救護と点検は下記の通り。

(1) 負傷者の救出、救護 ・各室内を点検し、負傷者や閉じ込められた人の救出にあたる ・負傷者の救護をすると共に救急車の手配、必要な場合は公共機関に救護を要請 (2) 設備の点検 ・電気配線器具及び配管器具の異常、停電個所、ガス漏れ等の被害状況を確認し、被害状況は必ず写真に収める
(3) オンラインの点検 ・システム機器は、作動確認し開通しない場合はシステム担当に報告
(4) その他 ・その他業務を実施するにあたっての問題個所の点検
(執筆:『月刊総務』)

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