小松流 ビジネス力を上昇させろ!
著者プロフィール
小松俊明 (こまつ・としあき)
小松俊明 (こまつ・としあき)
リクルーターズ(株)代表取締役
1967年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。総合商社で海外営業の後、キャリア情報誌の編集者、外資系ヘッドハンターを経て、採用戦略コンサルティング会社、リクルーターズ(株)を設立。近著『デキる上司は休暇が長い』(あさ出版・刊)など著書多数

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  「小松流 働き方の極意」は、身の周りにいる「デキる人、稼ぐ人、バランスのいい人」が日々考えていることや習慣をベースにした “意識改革のためのヒント集”です。これらを忠実に実践すれば、あなたも“デキるビジネスマン”と呼ばれるかも……。『月刊総務』に連載中の本編も、ぜひあわせてご覧ください!

40.リストラされない人、その傾向

2010-04-27

 嫌な時代になったものだ。こんなタイトルのコラムを書くことになるなんて。ただ、このようなタイトルに多くの人の目がとまることも、今の時代の特徴である。だから書かないわけにいかない。


 私は仕事柄、管理職の方々の転職を支援しているが、転職活動をする人の中には、リストラにあったばかりという人も、昨今は少なくない。
それがゆえに、そうした方々の退職理由(実際はリストラされた理由)について何度も聞かされてきたため、表向きの理由(建前)だけではない、本質的な原因(本音)の部分がわかるようになってきた気がしている。

 企業がリストラを断行するのは、たとえば不採算事業からの撤退に伴う部門閉鎖、もしくは単純に業績不振に伴い、人件費削減のために全体の従業員からカットをするような場合である。(もちろん、本人のパフォーマンスが解雇せざるを得ないほど悪い場合もある。)

 どちらにしても、経営を再建して企業を存続させるためにリストラが必要だという。
業績を悪化させた経営者の責任は問われず、まずはリストラありきであることが何とも納得がいかない話だろうが、ここではそれはいったんおいておき、どのような人がリストラされるのか(裏読みとしては、逆にどうすれば人はリストラされにくいのか)、その傾向について探ってみたい。

 なお、パフォーマンスが良い人はリストラされないかというと、そうでもない。だから、自分の能力や会社への貢献に自信がある人も、ぜひ、以下の話に思い当たるところがないかチェックしてみてほしい。
では早速、その傾向について紹介することにしよう。


■リストラされやすい人の特徴

身内に対して感謝の言葉を口にしていない
 「いつもシャツをクリーニングに出してくれてありがとう。のりのきいたシャツは気持ちいいね。」
家庭の会話のひとこまである。こんなひとことをかけてもらった奥さんは、明日も一生懸命、夫のシャツに念入りにアイロンをかけてくれるに違いない。

 あなたは部下や同僚、そして事務、派遣のスタッフにいたるまで、自分の周りにいる立場が下である人たちに対して、日頃感謝の気持ちをもっているだろうか。それとも相手をただの小間使いや兵隊と思っているか。

 身近にいる家族との接し方を見ていると、本人の本質的な性格・行動特性がわかるものである。
利害関係がある人にだけに対して感謝するという態度は感じが悪く、金の切れ目が縁の切れ目になる。

 一方、家族はいつも一緒にいる存在であるし、いることが当然という面もあり、自分の過去も知っている存在である。そんな身近にいる身内に対して、日頃から感謝の気持ちを伝えているビジネスマンなら、職場でもたぶんリストラされることもない。


恩を着せるような言動が目立つ
 「オレが働いているんだぞ。もっと感謝しろよ」、それが本音ではないだろうか。
仕事ができる人は、「自分がいるから、この会社もなんとかもっているんだ」、そう叫びたいのかもしれない。ただ家族の支えがあってこそ、あなたも仕事をつづけられているはずであるが、自分が1番苦労していると言わんばかりに家族に対して恩を着せるような発言を繰り返す人は、職場でも同じような言動が目立つはず。

 自分が1番貢献している、それは自分のアイディアだ、うまくいったのは自分のおかげだ、というように、自分ひとりで手柄を一人占めする傾向が目立つ。

 こうした人物が上司である場合、部下のモチベーションは下がり、周りからも信頼されていない可能性が大である。また、アピールが強すぎる部下も残念ながら評価は落ちる可能性が高い。

 本人の能力が高いことは、周りはわかっているものだ。ただ上司の多くは、特定の部下一人を貢献度に比例した扱いをできずにいる。能力の高いものは、多少割に合わないが、「能ある鷹は爪を隠す」くらいのアプローチがちょうどいい。


単純作業や繰り返しの仕事をバカにしている
 家事は繰り返しの作業で地味な仕事が多いが、それがゆえに手伝ってもらえると主婦としてはとてもうれしいものだという。

 自分の仕事ではなくても、手があいたら家事を手伝う姿勢がみられる人は、職場でも同じような心がけで部下や同僚の仕事を手伝える人である。
自分の仕事じゃないからと言って体が動かない人は、職場でも自分のやるべきではない仕事だと言って、フットワークが悪い印象を人に与えている可能性が高い。

 自分の能力を過信するようになり、戦略的な役割のみが自分の仕事だと思い始めた管理職は、リストラされる日が近いようだ。


世代を超えた集まりや、会社以外のコミュニティに参加していない
 多くのビジネスマンは会社や仕事関係の交友関係はあるけれど、子供たちの学校や近所の町内会の人たちとの付き合いに関しては、あまり関心を持っていない人が多い。時間がある時でも、自分は極力表に出たくないと言って、すべて奥さんに押しつけている人も多い。

 こういう夫は、会社でも自分が苦手なことは部下におしつけがちで、自ら新しい販路や顧客を開拓するなど、表立ってリーダーシップを発揮することは少ない。
異質なものを理解し、活用する能力が低下したビジネスマンは会社の未来を作ることはできず、やはり本人の思いとは裏腹に、リストラの対象として名前があがるようになってしまうのだ。


子供や若者や異性から好かれない
 子供や若者、そして異性との会話が苦手という人は意外に多い。表向きは社交的に見える人でも、内心はそう思っている人は少なくない。
家庭では子供たちにも疎んじられているし、親戚からの評判もいまひとつであり、同窓会に出ても、一部の同性ばかりでかたまってしまう始末である。

 一方、あなたの身近には、とても気がよくきくタイプで異性からの評判も上々な人がいるはずだ。ルックスは自分のほうがはるかにいいと思うが、マメでサービス精神のあるその他人のほうが、はるかに異性にもモテているし、職場でも世代の違う社員、顧客や業者との付き合いがよく、順調に出世もしている。

 そんなあなたは、仕事も停滞気味であり、取り残されている感がぬぐえないのではないだろうか。日頃から積極的に、異性や異世代、そして利害のない人たちとも積極的に交流することが、将来、会社からリストラされないためのトレーニングになる。


 以上であるが、どのような感想をお持ちになっただろうか。
 もしかしたら、一定の年代以上(もっとズバリ言えば、特に40代後半以降の男性)の方の多くは、結構上のような話を聞くと耳が痛いはずである。

 ただ、そういえば世間的には会社からリストラされるのは、40代以降のビジネスマンが圧倒的に多いのも事実。これは偶然の一致ではない。

 つまり、リストラされる原因は、個々のビジネスマンの言動や行動特性に原因があるのだ。世の中誰しも年をとるものだが、年をとったから自動的にリストラの対象にされるというわけではない。
若い人も油断してはいけない。若くても、将来のポテンシャルがないと判断されれば、今の時代、いずれはリストラされてしまう。


 今日から、自分の言動にはもっと気をつけるようにしよう。私もこのコラムを書き終えて、その思いをもう一度、自分に言い聞かせた次第である。