小松流 ビジネス力を上昇させろ!
著者プロフィール
小松俊明 (こまつ・としあき)
小松俊明 (こまつ・としあき)
リクルーターズ(株)代表取締役
1967年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。総合商社で海外営業の後、キャリア情報誌の編集者、外資系ヘッドハンターを経て、採用戦略コンサルティング会社、リクルーターズ(株)を設立。近著『デキる上司は休暇が長い』(あさ出版・刊)など著書多数

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  「小松流 働き方の極意」は、身の周りにいる「デキる人、稼ぐ人、バランスのいい人」が日々考えていることや習慣をベースにした “意識改革のためのヒント集”です。これらを忠実に実践すれば、あなたも“デキるビジネスマン”と呼ばれるかも……。『月刊総務』に連載中の本編も、ぜひあわせてご覧ください!

43.自分と会社を残業ゼロにできないか

2010-07-26

 以前、このコラムで「残業をやめられないか」について論じたことがある。

 慢性的な残業体質そのものが、ビジネスマンの成功を阻んでいるということを指摘した(詳細は2009年7月8日のコラムをご覧いただきたい)。そして残業を撲滅するための方法として、今日のうちにやらなければいけない仕事以外は、すべて明日以降に先延ばしする習慣をつけるように提言した。
帰宅目標時間を決め、朝型人間であるイメージつくりに励むことも効果があるが、果たしてその後、みなさんの残業は劇的に減っただろうか。

 「いやいや、誰も残業なんかしたくないでしょう。それでも残業しちゃうのは、自分の仕事が遅いからですかね」

 こんな心にもないことを言っていてはダメだ。本当に仕事が遅いのなら、そんな人は遅かれ早かれリストラの対象になるのではないかと思うが、ご当人は当然、そんなつもりはない。それどころか胸をはっているようで、表情は誇らしげだったりもする。

 つまり、「残業は会社にとっていいことだ」という気持ちが、まだどこかにあるのである。だから、建前では「残業は良くないこと」と言いながらも、心の中で全く逆のことを考えていたりする。

 最近では無理に残業させない会社もある。6時になると社員を全員オフィスから締め出すというのだ。具体的には、「電気を消す」「エアコンを消す」「警備員が見回りを始める」など、いわば強制退去である。
ここまでされれば、確かに残業している人はオフィスから消えるわけだが、本質的には何も変わらない。早朝から会社に来たり、週末に会社に顔を出したり、挙句の果てには仕事を家に持って帰るだけである。オフィスを退去させられた後に、コーヒーショップにノートブックをもっていき、そこで仕事をしているなんて人までいる。

 それでは残業している場所を変えただけではないか。オフィスで残業するより、かえって効率が悪くなり、コストもかかり悪循環だという声もある。結局、実質的に残業はなかなかなくならないものだ。

 では一体どうしたらいいのだろう。

 私は「残業に対する会社の価値観を変える」しかないと思っている。そうした意味では、会社から残業を本格的に撲滅するには社員一人の努力だけでは足らず、経営者や各部署の部長の継続的な啓蒙(けいもう)活動にかかっているともいえる。

 そしてこれは大変な戦いになる。というのも、これまでは体力勝負で残業することで、非効率で能力が足りない人も能力が高い人や効率的に仕事ができる人を打ち負かしてきた歴史があったわけだが、それができなくなるからだ。

 つまり、「同じ時間内でよりよい結果を出したものが勝ち」というように、ゲームのルールが変わるのである。社員が残業しなくなったらうちの会社の売り上げが下がるなんて心配をしているようでは、「残業に対する会社の価値観を変える」ことなど不可能である。自分だけ残業しなければいいという問題ではない。
自分と会社が「残業ゼロを善」、「長時間残業を悪」と決める必要があるのだ。

 実際、長時間残業が悪である根拠はある。その最大のポイントは、長時間の残業をすることにおとがめのない組織には、見えにくい問題が社内にたくさん存在していることだ。これは会社の経営にとって大きなマイナスになるようなことも含まれている。

 わかりやすい例でいえば、好きに残業してもいいとすれば、同じ仕事を終えるために残業代という人件費分だけ、会社は損をすることになる。仕事が終わるスピードも遅くなれば他者との競争にも負けてしまう。非効率な働き方をしていても、おとがめなしということにもなりかねない。
これだけの例を見ても、いかに残業体質のある会社には多くの問題が潜んでいるかわかるだろう。

 もうひとつ、残業が慢性化すると仕事が退屈になるという問題がある。同じことを長時間するわけだから、飴玉も長時間しゃぶってくれば飽きるように、残業ばかりしていたら毎日の仕事がつまらなくなってしまうのだ。社員がモチベーションを下げているようでは、会社としても大きな問題である。

 「残業は会社にとっていいことだ」という固定観念に縛られている人を相手に、その逆の価値観を植えつけていくことは、簡単なことではない。まさに根気比べのような様相になるだろう。
「残業は罪である」「残業は会社を損させる」「残業する社員のおかげで、ボーナスが出ない」くらいの刷り込みが実現すれば、もう社員は残業しようという気にすらならないだろう。
残業した人にはペナルティを課してもいいくらいである。

 残業したことに罪悪感をもつようになれば、「どうしたら今度は残業しなくて仕事を終えられるのか」という問いに対する秀逸な答えをみつけられるかもしれない。
自己啓発のセミナーに行ったり、勉強会に参加するのもいいが、まずは「自分と会社の残業ゼロを目指す」行動を今すぐ始めてみてはどうだろうか。それが仕事の能力アップへのいちばんの近道になるのだから。