小松流 ビジネス力を上昇させろ!
著者プロフィール
小松俊明 (こまつ・としあき)
小松俊明 (こまつ・としあき)
リクルーターズ(株)代表取締役
グローバル・キャリアコンサルタント/東京海洋大学特任教授

グローバル企業で働くビジネスパーソンの転職事情に詳しい。大学ではポスドク・博士人材のキャリア開発に取り組む。元商社マンで、国内と海外における起業経験を持つ異色の経歴。代表作「デキる上司は定時に帰る」ほか、著書多数。講演、大学の講義のほかに、管理職の採用支援会社、リクルーターズ株式会社/代表取締役を務める。慶應義塾大学法学部卒業。

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極意の一覧
  「小松流 働き方の極意」は、身の周りにいる「デキる人、稼ぐ人、バランスのいい人」が日々考えていることや習慣をベースにした “意識改革のためのヒント集”です。これらを忠実に実践すれば、あなたも“デキるビジネスマン”と呼ばれるかも……。『月刊総務』に連載中の本編も、ぜひあわせてご覧ください!

49.「リストラ」と「残業」の相関関係

2011-02-14

 リストラされる人は、残業が多い。
「なぜだ、そんなわけがないだろう。」 
 これがあなたの反応だろうか。
 それとも、「意外にそうかもしれない」と、あなたはすでに何か気づき始めているだろうか。

「残業しているとリストラされやすい」と言っているわけではない。(安心してほしい。)  
 ただリストラされた人に数多く会っていると、その多くの人が慢性的に長時間、働く習慣がある人たちであることに気づくことになる。
 怠け者だったからリストラされたのではない。
 むしろ働き者すぎて、リストラされたような人も少なくない。つまり、働き者であるというだけでは、ビジネスマンとしてサバイバルできない世の中である。
 「働き方」、そして「成果」が問われるのだ。

 私は以前、デキるビジネスマンの働き方について、拙書『デキる上司は定時に帰る』(あさ出版)の中で指摘したことがある。本のタイトルの通り、本当にデキるビジネスマンというのは、長時間労働をしないものである。(少なくても、必死にそうしようと心がけている。) 
 そして、自分の働き方が効率的で生産性が高いというだけではなく、一緒に仕事をしているビジネスマンの仕事の効率や生産性まで高めることに成功しているのだ。

 特に管理職であるビジネスマンを見たとき、この傾向は顕著である。本当にデキる上司(リーダー)が指揮をとる部署のスタッフは、皆、仕事の効率が良く、生産性も高いため、早い時間に明かりが消える。リーダーが率先して部署全体の生産性を管理しており、模範を示しているというわけだ。(一方、成果を出すことにはことさら厳しかったりもするが、仕事とは本来、そういうものかもしれない。)

 残業が慢性化し、上司が部下の長時間労働を是正できない職場環境の場合、社員のモチベーションが低く、仕事の効率も生産性も低い傾向がある。そのような部署で働く社員は、上司をはじめ、中間管理職、そして若手さえも、リストラの対象になりやすい。短い時間で最大の成果を得ることが、最も企業価値が高まる活動であることは明白である。それを達成できていないグループは、厳しいようであるが、決して会社にとってプラスにはならない。上司はこのことにもっと責任を感じる必要があるだろう。

 もちろん、残業が多い部署は「人手が足りない」という悩みを抱えていることも多い。「ノルマも高い」のかもしれない。
 しかし、どんな事情であろうとも、企業の経営者は、生産性の悪い組織や個人をリストラしたいのである。
 もう一度言うが、効率的に利益を追求する企業の視点で見ると、慢性的に長時間労働をすることは、ただ残業代がかかることによる人件費の高さが問題なのではなく、業務効率の悪さ、創造性や生産性の低さが目立ち、会社のお荷物になっているケースが多いのである。

 残業している人がリストラされやすいというわけではないと冒頭に書いたが、もし流されて毎日残業の山を築いていたとしたら、もしかしたらある日突然、リストラの憂き目にあうかもしれない。仕事量が多いことは誇るべきことではないからだ。逆に仕事量が多いことに安心してしまい、業務改革や、自らの働き方を改善して生産性を高める努力を怠ると、取り返しのつかない結末を迎えることになってしまう。

 このように、リストラと残業の相関関係は強いと言わざるを得ない。今、全国のどの職場でも、残業時間が増えている傾向にある。それと比例してリストラを実行する会社も飛躍的に増えている。

 企業からみれば、中高年はコストが高いため、一番最初にリストラのターゲットになりやすいが、若手ももちろん注意しておく必要がある。なぜなら、若手に不足しているのは、パワー(権限)であるからだ。権限の高い上司が、常にリストラする対象を決めることを忘れてはならない。上司が自分のクビを切る前に、まずは部下のクビを切ろうとしても不思議なことではないのだ。
 また、外資系企業では、給料が高くなりすぎた優秀な社員たちが、業績悪化したときに、真っ先に企業から切られていることも多い。
 何とも不条理な話であるが、それが現実であるのだ。
 
 つまり、誰にとってもリストラされない保証はどこにもないということである。

 では、どうしたらいいのだろうか。
 まずは業務内容の見直し、そしてオペレーションの改善などが早急に求められているだろう。
 競争に勝てない商品やサービスを、無理に提供していないだろうか。
 不要な業務であると知っていながら、それを続けていないだろうか。
 無駄な出費とわかっていても、会社の出費だからといって、見逃しているようなことはないだろうか。
 業務の振り分けに偏りがあるとわかっていても、それを是正しないままにしてはいないだろうか。
 極端に能力や経験が足りない社員、またはあまり仕事をしない管理職が職場にいるようなことはないだろうか。

 こうしたことが企業の事業活動の足を引っ張っていることは確かなのに、多くの職場では、本質的な改善や改革に取り組むよりは、その場しのぎな解決方法に終始していることが多い。
 働かない管理職の下で、若手社員が激務に耐えている場合も多いし、やる気のない部下を持った上司が、部下の仕事を肩代わりして、何とか仕事を回していることも多い。こうしたひずみが多い職場で長く働いていると、自分自身がその職場のやり方に自然と慣れてしまって、あまり疑問に思わず、毎日その状況に流されてしまうのだ。
 
 この時代の中、企業の生き残りに必要なことは、檄(げき)を飛ばして社員の残業を増やすことではないのだ。むしろ、どうしたら職場の残業を劇的に減らし、業務を効率化できるかについて、早急に取り組むことではないか。
 もちろん、生産性を高める業務改革なくして、残業時間を減らすことだけを訴える人事や総務になってもいけない。業務改革が目的ではなく、成果を上げることが目的であることを常に念頭に置きたい。
 
 上司の立場にいる方々は 少ない時間で、より大きな成果を上げることこそが、企業を窮状から救うことになる。すべてはまずは管理職の立場にいる方々の肩にかかっている。
 そして、モチベーションが高く、優秀な若手社員の存在も必要である。

 リストラなどしなくてすむ、そんな会社を今、社員みんなの力で目指そうではないか。