小松流 ビジネス力を上昇させろ!
著者プロフィール
小松俊明 (こまつ・としあき)
小松俊明 (こまつ・としあき)
リクルーターズ(株)代表取締役
グローバル・キャリアコンサルタント/東京海洋大学特任教授

グローバル企業で働くビジネスパーソンの転職事情に詳しい。大学ではポスドク・博士人材のキャリア開発に取り組む。元商社マンで、国内と海外における起業経験を持つ異色の経歴。代表作「デキる上司は定時に帰る」ほか、著書多数。講演、大学の講義のほかに、管理職の採用支援会社、リクルーターズ株式会社/代表取締役を務める。慶應義塾大学法学部卒業。

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極意の一覧
  「小松流 働き方の極意」は、身の周りにいる「デキる人、稼ぐ人、バランスのいい人」が日々考えていることや習慣をベースにした “意識改革のためのヒント集”です。これらを忠実に実践すれば、あなたも“デキるビジネスマン”と呼ばれるかも……。『月刊総務』に連載中の本編も、ぜひあわせてご覧ください!

54.求む。モチベーションが上がるニュース!

2011-05-10

 日本は今、全国的に自粛ムード。その陰で多くのビジネスパーソンは、ひそかに涙を流しているのではないだろうか。震災による特需が起きている業界も一部にはあるようだが、トータルで見た場合、どの業界もどんな仕事であっても積極的な事業環境にはあらず、得体のしれない将来不安の中で、ビジネスパーソンは押し潰されそうになってはいないだろうか。
 仕掛かりのプロジェクトが頓挫したままという人も多いだろうし、せっかく内定をもらったという学生や再就職先が決まったという失業中の中高年も、その話がなくなってしまったり、まだ保留の状態が続いているという人も少なくない。

 私は仕事柄、ビジネスパーソンのキャリアの相談に乗ることが多いが、最近増えてきた傾向は、これまで得意として大切にしてきた自分の仕事で、どうも以前のような成果を出せず行き詰まりを感じているという相談である。モチベーションが上がらないというのだ。このままではまさに負のスパイラルだ。だから今、求む。モチベーションが上がるニュースはもっとないだろうか。

 あれだけの大震災があった後である。確かに日本は混乱の渦中にあるし、被災地には今も大変な苦労をしている人たちが残されている。そして毎日、全国隅々まで何度も何度も被災地に関するニュースが繰り返し報道されている。
 何か新しいことをやれと言われても、気持ちが晴れず行動しにくいというのはわかる。余震が続いていることで、いろいろな風評被害がさらに増長されていくことも、なんとなくわかる。混乱をまねくようなチェーンメールを知り合いに流してしまった人たちも、悪意があったわけではないこともわかる。

 しかし、そうしたさまざまな言動が積もりに積もって、今のこの停滞感を作っていることは間違いない。だからこそ、この悪い流れをどこかで断ち切らなければならず、一人ひとりが行動を起こさなければいけない。涙があふれ出たとしても、僕らは強くならなければならないのである。
 そのためには、社員のモチベーションを上げることが今、企業にとって何よりも最優先課題である。

 マスコミもいけない。人々の不安を飯の種にしているといえば言い過ぎだろうが、彼らの営利主義はこんな非常時にも容赦がない。だから、僕らは自らの手で、時にテレビやラジオ、そしてインターネットから自らを遮断する時間を増やさなければいけないのではないだろうか。震災時の通信手段として一定の評価をされたはやりのソーシャルメディアでさえも、あまりそれに入り浸るのは避けたほうがいいと思う。モチベーションが下がるような情報ばかり目についてしまうからだ。そう。オフラインにすればモチベーションはあがるかもしれない!
 もしマスコミのニュースの波を遮断できていない職場や家庭、そして個人の方がいたら、僕らはそっとアドバイスをするべきではないだろうか。
「情報津波」の被害は思いのほかダメージが大きいから、注意である。

 また、動ける人がたくさん動いて経済を回していかなければならないことは、経済評論家でなくとも多くのビジネスパーソンが実感しているところである。旅行を控えたり、買い物を控えたり、外食までも控える風潮が一部にあるようだが、それじゃだめだ。確かに被災地を思えば気持ちも萎え、体も委縮してしまうかもしれない。しかし、もうそろそろ経済活動を積極化させるべき時が来ているのではないだろうか。

 企業もまだまだ震災のショックから抜け出すのに時間がかかっているところが多い。どこもBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画・災害危機管理対策のこと)を再検討しているという。確かに、それが必要なことは疑いないし、これまで十分に準備してなかったことを反省するのもいい。しかし、本屋に行けば災害対策本ばかりが目立ち、自分の働く会社でも毎日のようにBCPの議論に熱中していたら、社員も浮足立ってしまい、事業の正常化の遅れにもつながるのではないだろうか。

 最近、人事、総務パーソンの集まりに参加したが、その場にはかなりナーバスで、ヒステリックとも思える発言を繰り返す人が目立った。それだけ対応に悩み、対策がとれていないことへのジレンマが深いのだと思う。人事、総務パーソンのご苦労は大変なものがある。一方、早期に事業環境を正常化し、新規の採用や人材育成などの積極的な施策にももっと時間と労力を傾けるべきではないかという意見もあった

 すでに最大の努力を続けている人事、総務パーソンに対して恐縮であるが、完璧なBCPを作るための議論を重ねることも良いが、この停滞感から脱却するためには、少しでも社員の給料を上げ、昇進や研修の機会を作ることではないだろうか。何度でも言うが、モチベーションアップのニュ―スが今、一番必要なのである。
 たとえば経費の利用基準を緩めるなど、委縮している現場のビジネスパーソンの自由度を高めるようなアイディアもいいかもしれない。経営者は、この状況に便乗して給料カットをするようなセコい真似はやめて、今こそ社員を励まし、彼らのモチベーションを高めることで経済活動を積極化してはどうか。

 求む。モチベーションが上がるニュース!