月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい7月のトピックス

2020-06-30 10:00

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●新型コロナウイルスと株主総会対応

 人が密集する集会などが禁止される中、株主総会の在り方が問われています。この問題について、金融庁が関与する「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応に係る連絡協議会」において、有価証券報告書等の提出期限が9月末日に延期されたことを前提に、次の選択肢を示しています。
 定時株主総会の開催時期は、会社法では明確に定められていないため、延期は可能です。ただし、上場会社は決算期末日を会社法の基準日と定め、その日の株主に配当をすることとしています。そのため、3月末日の基準日の株主に配当をするには、基準日から3か月以内に株主総会決議をしなければならず、3月決算の会社では6月末日までに株主総会の決議が必要です。
 また、会社法上、株主総会は続行でき、継続会も開催できます。したがって、会社は6月末日に定時株主総会を開催し、配当決議や役員改選決議などを行い、監査報告や計算書類の報告は継続会で行うことも可能です。ただし、この方法は手間や費用がかかりますし、新型コロナウイルス感染症防止の観点からすれば、相当性があるかという問題もあります。
 これに対し、取締役の任期が1年間である上場会社は、取締役会において株主への配当を決議することができます。この場合、株主総会を延期することが可能であり、上場会社で、この制度を採用している会社が増えています。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●派遣社員の休業手当

 2020年4月8日、厚生労働省から労働者派遣に関する2つのリーフレットが出されました。派遣先に対しては「契約の中途解除」の防止、派遣元に対しては「解雇」の防止について書かれています。新型コロナウイルスへの対応といえますが、いずれも派遣社員の休業手当について言及されています。
 派遣社員の休業手当は、派遣元が支払うものです。労働基準法における直接的な賃金支払い義務は、雇用関係のある派遣元にあります。なお、派遣元が休業手当を支給すれば「雇用調整助成金」を申請することが可能です。
 一方、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」では、派遣料金等の取り扱いは民事上のものなので、派遣元と派遣先で協議すべきケースがあることが書かれています。つまり、派遣社員の休業手当に伴うコストの負担者が判然としない部分があります。
 派遣先は、法律上の直接的な賃金支払い義務を負っていないとしても、契約上の責任の一端があるでしょう。ある程度の負担はやむを得ないとも考えられます。このケースでは、派遣元が派遣社員に支払う休業手当と派遣元が受給する雇用調整助成金との差額相当部分について、派遣先が協力するという考え方が取れないでしょうか。「大岡越前の三方一両損」ではありませんが、当事者が少しずつ負担するという考え方があるかもしれません。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ



●居住用物件貸し付けに係る消費税課税の見直し

 従来、家屋の貸し付けに係る消費税の課税区分の判定は、契約書などにおいて貸し付けの用途が居住用であることが明らかな場合には非課税取引、居住の用に供していることが明らかでない場合には課税取引とされていました。
 しかし、2020年4月1日以後に行われる貸し付けについては、居住用であることが契約書上明らかでない場合であっても、その貸し付け等の状況等から見て、居住用であることが明らかである場合には非課税取引とされることとなりますので留意する必要があります。

●交際費等の損金不算入制度の延長・見直し

 法人が支出する交際費等は、原則、その全額が損金不算入とされています。ただし、中小法人は、接待飲食費の50%相当額または定額控除限度額(年800万円)のうちいずれかの金額を選択し、その選択した金額を支出交際費等から控除した金額が損金不算入額とされます。
 一方、中小法人以外の法人は、支出交際費等から接待飲食費の50%相当の金額を控除した金額が損金不算入額とされます。2020年度税制改正において、この交際費に関する適用期間は、2022年3月31日までとなりました。
 しかし、中小法人以外の法人で資本金の額等が100億円を超える法人に関しては、接待飲食費に係る損金算入の特例が適用できなくなることに留意しなければなりません。


『月刊総務』2020年7月号P7より転載