月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい10月のトピックス

2019-09-27 10:38

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●改正不正競争防止法における限定提供データの保護

 2019年7月1日から改正不正競争防止法が施行されています。企業法務に影響のある改正点は、「限定提供データ」の民事的な保護です。
 技術革新により、道路形状計測や消費動向等のデータは、主に企業間で複数者に提供・共有されることで、新たな事業の創出の可能性やサービス・製品等の付加価値を高める利用が期待される価値あるものと考えられています。しかし、第三者と共有することを前提に一定の条件下で利用可能な情報は、改正前の不正競争防止法では保護対象とならず、著作権法の適用を受ける著作物や特許法によって保護される発明にも該当しませんでした。そこで、政府は不正競争防止法を改正し、「限定提供データ」という概念を用いて、これを保護することとしたのです。
 「限定提供データ」として保護される要件は、(1)限定提供性(業として特定の者に提供される)、(2)電磁的管理性(特定の者以外アクセスできないように制限されている)、(3)相当蓄積性(電磁的方法で蓄積され価値を有する)です。改正法は「限定提供データ」について、アクセス権のない者が不正に取得することや使用・開示することを禁止し、不正な取得と知って取得した者(使用・開示も含む)の使用・開示を禁止し、アクセス権のある者の図利(とり)加害目的による開示などを禁止しており、権利者には差し止め請求や損害賠償請求が認められることとなりました。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●最低賃金、東京・神奈川で1,000円台に

 2019年7月31日、中央最低賃金審議会は「令和元年度地域別最低賃金額改定の目安」について答申しました。答申された最低賃金は、手続きを経た上で都道府県労働局長の決定により、10月中旬までに順次発効される見込みです。目安通りに各都道府県の地域別最低賃金が引き上げられた場合、全国加重平均額は901円となり、1978年度に目安制度が始まって以来、もっとも高い引き上げ幅となります。地域別では、Aランクが28円(前年27円)、Dランクが26円(同23円)の引き上げとなっています。最低賃金の地域間格差が問題になっていることもあり、Dランクの引き上げ幅が注目されます。ちなみに、東京都は1,013円、神奈川県は1,011円となり、初めて1,000円の大台に乗る見込みです。


●女性の管理職比率

 厚生労働省は、2018年度「雇用均等基本調査(確報版)」を公表しました。これによると、係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は63.2%(前年度60.6%)となっており、女性管理職が多くの企業に存在することがわかります。ただし、管理職に占める女性の割合を詳細に見ると、部長相当職では6.7%、課長相当職では9.3%、係長相当職では16.7%であり、全体としてやや上昇してはいるものの伸び悩んでいる状況がわかります。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●外貨預金の期末残高の評価方法

 外国通貨で預金を保有している法人における期末時点での外貨預金残高の取り扱いは、「外貨建資産等の期末換算方法等の届出書」を提出することにより、通貨の種類ごとに、(1)「発生時換算法」(発生時の為替レート〔仲値〕で換算)、(2)「期末時換算法」(期末時の為替レートで換算)の2通りから選択できます。
 届出書を提出しなかった場合は、次の2区分により、それぞれの換算方法が適用されます。
(1)外貨普通預金および期末から1年以内に満期の到来する外貨定期預金→「期末時換算法」
(2)期末から1年を超えて満期の到来する外貨定期預金→「発生時換算法」
 なお、期末時換算法により発生した換算差額は、為替差損益として計上することになります。


●弁護士や税理士等の報酬等に対する源泉徴収の取り扱い

 弁護士や税理士等の報酬等の請求書に、受託業務遂行に係る立替旅費が記載されている場合があります。この場合、源泉徴収は立替旅費も含めて行う必要があります。
 受託業務遂行のための旅費等を、源泉徴収の対象としなくてもよいのは、業務の委託者が直接交通機関や宿泊施設へ、通常必要な範囲内の金額を支払った場合のみとなります。
 ただし、弁護士や税理士等が法人の場合は、源泉徴収をする必要はありません。


『月刊総務』2019年10月号P7より転載