月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】
選べるインターンシップを導入し、主体的に動ける人材の確保を目指す

2017-11-17 10:20

売買仲介事業を核に、さまざまな不動産ニーズに対応している総合不動産流通企業の東急リバブル株式会社。同社では、学生に満足いただける採用活動を目標に、学生主導の選考フローを導入。2018年度新卒採用からは、「選べるインターンシップ」を開始し、入社後のギャップを軽減しつつ、主体的に動ける人材の確保をはかっている。

取材・文◎石田ゆう子

学生に響く現場体験など多彩なプログラムを用意

 売買仲介事業を基盤に、投資用・事業用不動産にかかわる不動産ソリューション事業、新築販売受託事業、マンション・土地・戸建ての開発・分譲を行う不動産販売事業、賃貸仲介事業の5つの事業を展開する同社。優秀な人材を確保するためのさまざまな取り組みを行っているが、その一つが、2018年度新卒学生向けに始めた「選べるインターンシップ」だ。
 

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 これは十数種ものプログラムから、学生が自由に選んで参加できるもの。実務に即した座学やロールプレイング、さらに、営業現場での就業体験があるのが特徴だ。
 「以前からインターンシップは、数種類から選べる形にしていたのですが、学生さんから、もっと弊社のことを知りたい、といった要望もあり、さらに多種多様なプログラムを用意。選んでもらえる仕組みにしました」と、人材開発部長兼ダイバーシティ推進課長の野中絵理子さんは話す。
 基本的にはまず、業務の入門的プログラムから入り、そこから興味のあるものがあれば、それを受けていく。たとえば「ビジネスカレッジ」は、同社の幅広い事業を知り、その強みを体感できる内容。
 「現場体験」は、参加にエントリーシートの提出と審査が必要だが、学生からもっとも入社の決め手になったといわれている。
 「昨年は残金決済の立ち会いを経験し、感動したとの声もありました。もちろん、そんなことばかりがあるわけではないのですが、現場体験は学生さんに響く場面が多いようです」
 

選べるインターンシップで採用活動も順調に

 ほかに、内定者との座談会や女性社員と話をする女子会などもある。実際に活躍している女性社員と話ができ、「私もこうなりたい」と気持ちを高める女子学生もいる。このように選べるインターンシップは、学生がよりリアルに働くイメージを持つことができ、入社後のギャップを軽減することができる。会社としても、インターンシップに参加した学生の方が、内定承諾率が高くなるとの実績があり、これまで以上に会社のことを知ってもらい、内定承諾率を上げていきたいとのねらいがある。
 今年、選べるインターンシップにしたことで、その参加者は、昨年の約1,500人から、2,700人に増えた。延べ人数では4,300人。想定していた通り、採用面接時に、インターンシップを10回受けているとなれば、志望度の高い人だと顕著にわかるようになった。
 
 
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 「10回という人はまれですが、複数回参加する人が多く、そういう人は会社への理解が深まり、“リバブル愛”も高まっている。言葉だけでははかり切れなかった、志望度の高さがわかります。選べるインターンシップを行うのはとてもたいへんですが、今年の内定承諾者のうち、インターンシップに参加した人は、昨年の28.1パーセントから、51.8パーセントにアップした。採用活動自体は、かなり早期に決着しています」
 

学生が選べる選考ルートで多様な人材の確保も

 ほかにも学生が選べる仕組みがある。2018年度新卒採用より、3つの選考ルート(1.通常、2.宅建有資格者、3.ナンバーワン経験者)から、学生が、自身の経験や意欲、強みなどを最大限にアピールできるルートを選択し、エントリーできるようにした。2と3を選択した学生は、一次面接が免除となる。「自分で選んで決めて、意欲的に動ける人かどうかは、人材を見極めるポイントともなるところ。学生さんが自ら“選ぶ”といった機会を多くすることで、主体的に動ける人を選んでいきたいとの思いがあります」。
 また、選考ルートが選べると、素養の違いが明らかになる。同社の場合、通常ルートを選ぶ学生には、「成長」という言葉に心揺さぶられる人が多かった。有資格者には、「責任」という言葉が、ナンバーワン経験者には、「チャレンジ」という言葉が響く傾向にあった。「ナンバーワンルートを選ぶ人は、たとえば、学生時代にテニスの県大会で優勝したというような人。トップを取るための努力をしてきたり、そのチャレンジができる人。ルートごとに素養が違う。すると何が起きるか。多様な資質や能力のある人が採用できます」。
 
 

学生の志望度を高めるリクルーター制度も好評

 志望度は、社員との接点が多くなればなるほど高まる。「選べるリクルーター制度」も好評だ。「こちらも、営業所、社歴、出身大学、自己紹介などを見て、学生さんが会いたい人を選べる仕組み。利用者が多く、今年の予約数は400人を超えました」。リクルーターには、基本的に5年目以内の社員を選抜。協力要請を受けたリクルーターも、「自分も通ってきた道。今度は自分が」と意気に感じてやってくれている。リクルーターから、日々の仕事のやりがいや、たいへんなときの周囲の支えなどの話が聞けたことで、入社を決めた学生も多い。「弊社の採用計画の目的は、第一に、学生さんに満足していただくこと。選べる仕組みをたくさん作っているのもその一つ。満足いく就職活動をした結果“リバブル”があった、となってほしい。もちろん、縁がなくほかの会社にという人もいます。それでも、採用活動の過程において、リバブルはいい会社だな、と思ってもらいたい。満足していただきたいとの思いがあります」。
 今後の課題は、多様な人材の確保。また、意欲的にいろいろなことにチャレンジできる人に入ってきてほしい、との思いもある。「それには、インターンシッププログラムの質を高めることで、それをおもしろいと思ってくれる学生さんの質も高めていけるかな、と。たとえば、今年の新プログラムでは、リバブルの5事業をどう組み合わせたら、どんなサービスができるかといった、正解がないことを考えてもらう内容を主にする。そうして自律的に考え、行動し、責任が取れる人材が、採用できるようになるのが理想です」

【会社DATA】

東急リバブル株式会社
本社:東京都渋谷区道玄坂1-9-5
設立:1972年3月10日
代表者:代表取締役社長 榊 真二
資本金:13億9,630万円
従業員数:2,959人(2017年3月末現在)

 

東急リバブル株式会社
経営管理本部人材開発部長兼ダイバーシティ推進課長
野中絵理子さん
のなかえりこ●1986年入社。賃貸仲介営業、管理部門に携わったのち、ブロック長を経て、2014年にダイバーシティ推進課長へ。2016年より人材開発部長。最近、はまっているのは陶芸。「自分が焼いた食器で食べると、スーパーの安いお刺し身でも何か違う。豊かです。ぜひ試してみてください」。