月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい3月のトピックス

2018-02-26 10:20

2018.March

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾

●知財金融の普及

 昨今話題となっている「知財金融」は、知的財産を切り口としたコミュニケーションによって、金融機関が取引先の事業の理解を深め、適切な支援を実施するための手法です。
 2015年度に、特許庁は「金融機関職員のための知的財産活用のススメ」を公表しており、金融機関に対して知財ビジネス評価書も作成・提供しています。これにより、金融機関が取引先の強みの源泉である技術・ノウハウを把握の上、経営者とコミュニケーションを取り、事業評価に基づいたリスクマネーの供給・コンサルティング支援を行うことができるのです。このような知財金融の普及は、金融庁が進める「事業性評価」に基づく取引先への融資や支援に合致します。また、知財ビジネス評価の在り方は、「金融機関職員のための知的財産活用のススメ[応用編]」にて「知財ビジネス評価とは、知的財産権の金銭価値評価ではなく、あくまで定性的な事業評価であり、知財を切り口として中小企業等における事業の実態や将来の成長可能性等について理解を深めるために行われるものである。取引先特有の技術やノウハウ等の特徴や強みを把握でき、それらが効果的に活用されているかなどについて理解することが可能であり、金融機関が取引先の成長に向けた支援を提案することができる」と明言されています。
 今後、金融機関による知財金融の普及が注目されるところです。
 

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久

●4月1日、労災保険率が改定予定

 労働政策審議会は、「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について「妥当」とする答申を行いました。この改正案は、2018年4月1日から変更される労災保険料を算出するための料率等を定めたものです。労災保険率は、業種ごとに定められており、各業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮し、原則3年ごとに改定されています。54業種あるうち、3業種で引き上げられますが、20業種で引き下げを予定していますので、全体としては引き下げの方向と考えてよいでしょう。なお、多くのオフィスが該当すると思われる「その他の各種事業」は「1000分の3」のまま変更されない予定です。

●パートの組合組織率、過去最高

 厚生労働省は、「平成29年労働組合基礎調査」の結果を公表しました。これによると、パートタイム労働者の労働組合員数は前年より7万7000人増加、推定組織率は前年より0.4ポイント上昇し7.9%となった結果、過去最高を更新しました。一方、全体としての推定組織率は前年より0.2ポイント低下し17.1%となり、過去最低を更新しました。36協定などの労使協定を締結する場合、事業場の過半数を代表する労働組合等との合意が必要になることからも、パートタイム労働者の存在感が高まっていることがうかがわれます。
 

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ

●遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の患者の手術費用に対する医療費控除

 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)と診断された者が受けた乳房切除手術または両側卵巣卵管切除手術の費用は、医師による診療または治療の対価として、医療費控除の対象になるとされました。これは当該手術が、HBOC患者の乳がん等の発症リスクを低減するために行われ、HBOC治療の一環として行われるものであると認められたためです。
 また、当該手術前の遺伝子検査等は、その患者がHBOCであるか否かを診断するために行われるものであるため、その費用は原則として医療費控除の対象とはなりませんが、その検査の結果、HBOCであることが判明し、手術が行われる場合には、医療費控除の対象として差し支えないものとされました。

●寺社の祭礼等に際して寄贈する金品の費用処理

 事業に直接関係のない寺社に金銭で贈与した場合、その支出は反対給付を期待するものではないため、原則、寄付金に該当しますが、今後の取り引きを円滑に行うために寄贈した場合は、事業関連者に対する贈与に該当し、交際費等として取り扱うことが相当と考えられます。また、祭礼の際、境内に社名入り提灯がつり下げられるなど宣伝効果がある場合は、広告宣伝費として処理することとなり、費用処理の方法は寄贈の目的や理由によって判断されます。
 
『月刊総務』2018年3月号P7より転載