月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】コミュニケーションが活性化し成長するストレスオフな組織作り

2018-04-17 15:21

オリジナルブランド化粧品「メディプラス」の企画、開発、販売を行っている株式会社メディプラス。"肌と心はつながっている"という概念から同社は「ストレスオフ組織」をテーマにさまざまな取り組みを実践。約40人で約80億円を売り上げる強い組織を作り上げている。

取材・文◎石田ゆう子

複数の居場所と視点が持てる「クラス制度」

 そもそもストレスオフ組織とは何か。同社では、ストレスに対して心のバランスが取れている状態を"ストレスオフ"と定義し、関連会社で現代女性のストレス状態を計測、数値化。専門家の意見も参考に、社内の組織作りでもストレスオフに取り組んでいる。
 「きっかけは、弊社のトップが、会社が急成長を遂げる中で無理をしすぎて体調を崩してしまったこと。大事なのは、がんばるときと、足を止めるときのバランス。ストレスを自分でコントロールでき、管理できるようにする。ブランドメッセージとも一貫性を持たせて、ストレスオフな組織作りを始めました」と、コーポレート企画部部長 社長室室長の渡辺大介さんは話す。
 ストレスオフの3大要素「主体性」「休息」「グルーミング」に基づいて、さまざまな施策を行っているが、中でも「グルーミング」は、交流を支援し、居場所を作ることが精神的ストレスを緩和させるというもの。その施策の一つが、「クラス制度」だ。部署以外にも社内に居場所が持てるよう、クラス長と呼ばれるリーダーのもとに、5、6人の社員が集まってグループを作る。
 メンバーはあみだくじで決まり、1年を3期に分けた学期ごとのクラス替えも行う。
 コーポレート企画部 経理・人事マネージャーの井草陽子さんは、「ようやくなじんできたところでクラスが替わってしまうのですが、新鮮さもあって、これくらいがちょうどいいんです」と話す。

クラスで集まる朝礼や「朝ゼミ」で組織が活性化

mediplus02.jpg

 毎朝の朝礼では、クラスごとに集まって、オリジナルの社員手帳「みんなのポラリス」を見せ合う。そこに書かれている「私はこれをがんばります」と決めたことが、前日、できたかどうかをチェックし合い、できていたらシールを貼る。「習慣を変えるというのは、一人でやっていてもなかなか難しいもの。誰かに『できているの?』と聞かれることで、やれるようになっていく。そうした習慣化支援の場になっています」(渡辺さん)。この社員手帳は、毎年、社内の制作委員会でコンテンツから練りに練って作っているオリジナル。人生の目標から日々の行動目標まで落とし込めるようになっている。まさに、みんなの指標、ポラリス(北極星)だ。「このようにクラスでは人生の目標についても話し合ったりするので、お互いのことをより深く知るようになります。だからこそ指摘などもしやすい。コミュニケーションは活発になります」(渡辺さん)。
 朝礼後には一時間、全社員で行う勉強会「朝ゼミ」もある。これは「主体性」のための取り組みで、情報の共有や、知識を深めることを目的に行われている。これにもクラスごとに参加し、部署に関係なく自由に意見を述べ合う。これもまた強い組織作りにつながっている。

「ニックネーム文化」で成長しても変わらぬ社風

 クラスで行く食事会には、会社から補助金を支給する制度もある。「コミュニケーションを取りながら仕事の話もしてもらう場ということで、定期的に運用し、すごく活用されています」(井草さん)。そうした場では、クラス長が1対1でメンバーの悩みを聞くことも。このように部署以外にも相談相手が持てるのは大きい。またクラスでは、一人ひとりに係がある。ランチ会の幹事役、会社への提出物プッシュ担当など。こうした役割が部署以外にもあると、より居場所感を持てる。これもクラス制度のメリットだ。
 ちなみに、同社は中途入社者がほとんど。「コミュニケーションにすごく時間をかける働き方になりますよ」との説明を受けて入ってくるが、それでも驚く人が多いというのが「ニックネーム文化」だ。これもコミュニケーション活性化のための仕掛けの一つで、取締役もアルバイトも全員がニックネームで呼び合う。元々、トップが友人たちと始めた会社ということもあり、ニックネームで呼び合う方が社内の雰囲気に合うという。また、人数が増えても変わらず絆が強い組織でありたいと、ニックネーム文化を守り続けている。

今後は「みんな一緒に」と多様性のバランスが課題

 ほかにも、家族や自分自身と向き合える時間を持てるための特別休暇、労働時間短縮週間、帰省費用に生かせるギフト券の支給など、さまざまな取り組みを行っている同社。今後の課題は、飽きさせないこと。「どの制度も絶対に続けていくということではなく、現状に合わせて残すものは残す。社員の反応が悪くて、1回でやめた施策もありました」(井草さん)。結果、今は良い制度だけが残っている。たとえば、会議で建設的な議論が交わされるようにと考えられた「ナイスJASAシール」。反論を述べるときは、「じゃあさ」と代案を一緒に述べるのをルールとし、ナイスな「じゃあさ」が出たらシールがもらえる。ゲーミフィケーションを取り入れたこの仕組みは、飽きずに継続されている。「弊社の取り組みは、みんなで一緒に、というのが多いのが特徴。集団としてのサイズ感が小さければそれも効果的だと思うのですが、事業の成長とともに組織も大きくなっていく。多様性とのバランスも求められるようになる。それが今の課題です」(渡辺さん)。
 現在は、評価でも、人としての立ち居振る舞いを、360度、お互いに評価するやり方を取っている。「落ちそうなボールを拾う人」が、みんなで助け合うところが、評価される仕組みになっている。
 こうしたさまざまな施策が機能しているかどうかは、いまだ40人弱の組織で、およそ80億円の売り上げ(2017年8月期)を残せていることが何よりの証し。同社の2017年度の事業テーマは、「雑(ざ)っ魚団(こ)結でみんなアクティブ」だ。スーパースター一人が引っ張っていく組織ではなく、小さい魚も集まれば、より大きな成果が生み出せると考えている。


【会社DATA】
株式会社メディプラス
本社:東京都渋谷区恵比寿4-6-1恵比寿MFビル2階
創業:2003年8月12日
代表者:代表取締役社長 恒吉明美
資本金:4,650万円
従業員数:39人(契約社員・アルバイトを含む)※2017年10月現在
https://mediplus.co.jp/


株式会社メディプラス
コーポレート企画部 部長 社長室 室長 渡辺大介さん
コーポレート企画部 経理・人事 マネージャー 井草陽子さん
わたなべだいすけ●2014年入社。CS部門のマネージャーなどを経て現職。冬はスキー、夏はキャンプとアウトドア派。最近、健康診断の結果を機に筋トレに励み、4か月で7キロも減量。「膝が楽になって、スキーもさっそうと滑れている感じです(笑)」。
いぐさようこ●2006年入社。「最後の転職先」との気持ちで巡り合ったのが同社。同社で2番目に古い社員だ。邦画と漫画を愛し、『キングダム』など歴史ものや藤子不二雄先生の作品が好き。「でも、休日には散策がてら、2万歩歩くことも」といった一面も。