月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい6月のトピックス

2018-05-29 15:59

2018.June

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●コーポレートガバナンス・コードの改訂

 コーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」)の改訂案が、金融庁に設置されているスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議から2018年3月13日に公表され、東京証券取引所によってパブリックコメントに付されました。加えて「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」も公表されています。
 CGコード改訂案の主な内容は、(1)政策保有株式に関する原則の説明強化、(2)企業年金のアセットオーナーとしての機能の強化、(3)「CEOの後継者計画」につき、取締役会の具体的な関与方法等の明記、(4)取締役の報酬について取締役会の役割の具体的な明示、(5)最高経営責任者の選任と解任につき、取締役会の役割を明示、(6)取締役会の構成について「ジェンダーや国際性の面を含む」という、より具体的な記載が追加されています。
 特に(3)(5)(6)は、上場企業のガバナンスにとって重要であると思われます。(3)のCEOの後継者計画については、従来の日本企業では現役のCEOの独壇場でしたが、ガバナンスを高めるために、「取締役会が後継者計画の策定・運用に主体的に関与する」とされました。また、(5)のCEOの選解任は、取締役会による手続きが重視されています。さらに、(6)では前記の通り、女性および外国人の登用によって役員構成の多様性をはかることが望ましいとされています。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●労働時間改善指導・援助チーム発足

 2018年4月1日、全国すべての労働基準監督署に「労働時間改善指導・援助チーム」が編成されました。このチームは2班で構成されます。まず、「労働時間相談・支援班」は、労働基準監督署内に「労働時間相談・支援コーナー」を設置し、主に中小企業を対象として36協定をはじめとする労働時間制度全般に関する相談業務を担当します。次に、「調査・指導班」では、「労働時間改善特別対策監督官」として任命された労働基準監督官が監督指導を担当します。これらは今年度の「地方労働行政運営方針」にも明記されており、厚生労働省の重点ポイントになっていることがうかがわれます。


●パワーハラスメントの定義

 2018年3月30日、厚生労働省は「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が取りまとめた報告書を公表しました。定義の難しさから注目されていたパワハラの概念は、次の3つを満たすものとされています。
 (1)優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること、(2)業務の適正な範囲を超えて行われること、(3)身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること。併せて、この要素を満たすもの・満たさないものが例示されています。
 今後、労働政策審議会で議論が進むことが予想されます。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●中小企業者における所得拡大促進税制の改正

 2018年度税制改正により、所得拡大促進税制に係る適用要件の簡素化と控除率の拡大が
行われました。2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する事業年度においては、基準雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額の増加要件が廃止され、平均給与等支給額に関する増加要件のみ適用されます。
 さらに、改正前の税額控除額は雇用者給与等支給増加額(基準雇用者給与等支給額からの増加額)×10%(法人税額の20%を上限)でしたが、改正後は給与等支給増加額(前期からの雇用者給与等支給額の増加額)×15%(法人税額の20%を上限)になります。また、教育訓練費が一定割合増加した場合、税額控除割合が上乗せされる措置も講じられました。

●相続税の小規模宅地等の特例見直し

 2018年度税制改正により、持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例(家なき子特例)の対象者の範囲が見直しになります。改正後は、(1)相続開始前3年以内に「その者の三親等内の親族」又は「その者と特別の関係のある法人」が所有する国内にある家屋に居住したことがある者、?相続開始時に居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者が対象から除外され、2018年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

『月刊総務』2018年6月号P7より転載