月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい10月のトピックス

2018-09-26 10:49

2018.October

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●人材と競争政策に関する検討会報告の概要

 活発化が予想される人材獲得競争を制限する行為が行われる可能性が高いことから、公正取引委員会競争政策研究センターに設置された「人材と競争政策に関する検討会」が2018年2月15日に次の内容の報告書を公表しました。
 「発注者(使用者)の共同行為に対する独占禁止法の適用」では、(1)複数の発注者が共同して役務提供者に対して支払う対価を取り決めることや、(2)複数の発注者が共同して役務提供者の移籍・転職を制限する内容を取り決めることは独占禁止法上問題となる場合があるとされます。(3)移籍・転職を制限する内容を取り決める行為が役務提供者の育成に要した費用を回収する目的でも、当該目的を達成するための適切な手段があるため、違法性は否定できないとされます。
 「発注者の単独行為に対する独占禁止法の適用」は、役務提供者に対してなされる、(1)秘密保持義務、(2)競業避止義務、(3)専属義務、(4)役務提供に伴う成果物の利用等の制限、(5)事実と異なる取引条件を提示する行為について、従来の判断枠組みに基づき、自由競争減殺、競争手段の不公正さ、優越的地位の濫用の観点から整理されています。
 「競争政策上望ましくない行為」は(1)対象範囲が不明確な秘密保持義務や競業避止義務、(2)発注者が合理的理由なく対価等の取引条件についてほかの役務提供者への非開示を求めることとされています。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●期間制限に伴う労働契約申し込みみなし義務

 改正労働者派遣法により、派遣労働者を受け入れることができる期間は、3年に制限されています。ただし、事業所の過半数代表者等から意見聴取を実施した場合には、3年を限度に期間を延長することができます。もし、適正に意見聴取を実施しなかった場合には違法となり、2018年9月30日以降、労働契約申し込みみなし義務が発生します。すなわち、派遣労働者を受け入れる会社(派遣先)は、派遣労働者を直接雇用する義務を負うことになります。
 過半数代表者からの意見聴取は、同意を得ることまで求められてはいませんが、適正な代表者の選出に注意しなければなりません。民主的な選挙等による選出ではなく、会社からの一方的な指名等により代表者が選出された場合には、適正な意見聴取を実施しなかったことになり、労働契約申し込みみなし義務が発生します。

●東京オリンピック開催に伴う祝日移動

 2020年に開催される東京オリンピックの開催日前後に祝日を移動する法案が成立しました。この法案により、2020年だけの特例として、「海の日」を7月23日(木)に、「体育の日」を開会式当日の7月24日(金)に、「山の日」を閉会式翌日の8月10日(月)に移動することになります。10月に祝日がなくなってしまいますが、開会式・閉会式に伴う混雑を抑制する効果が見込まれています。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●消費税の軽減税率制度について

 2019年10月1日より、消費税率引き上げと消費税の軽減税率制度が実施されます。そのため、消費税等の税率は、標準税率10%および軽減税率8%の複数税率となります。軽減税率の対象品目は、(1)酒類・外食を除く飲食料品、(2)週2回以上発行される新聞です。(1)は、食品表示法が規定する食品(酒類を除く)が該当し、外食等は該当しません。(2)は、一定の題号を用い、政治・経済・社会・文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもの(定期契約に基づくもの)が該当します。なお、仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の帳簿および請求書等の保存が必要となります。

●国外居住親族に係る扶養控除等の適用について

 従業員等の年末調整で、国外に居住している親族の扶養控除等の適用を当該従業員等が受けようとするときは、親族関係書類および送金関係書類(外国語で作成されている場合は、和訳文の資料も含む)を源泉徴収義務者に提出、または提示する必要があります。親族関係書類は、戸籍の附票の写し、その他の国または地方公共団体が発行した書類および国外居住親族の旅券の写し、外国政府等が発行した一定の書類が該当します。送金関係書類は、従業員等がその年において国外居住親族の生活費等に充てるための支払いを必要の都度、当該親族に行ったことを明らかにする一定の書類が該当します。


『月刊総務』2018年10月号P7より転載