月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい1月のトピックス

2018-12-26 10:53

2019.January

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●マリオカートの知的財産権侵害に関する判決

 2018年9月27日に東京地裁はマリオカートの知的財産権侵害に関する判決をいい渡しました。原告は、同社が知的財産権を保有するゲームキャラクター「マリオ」の衣装を貸与して公道でカートを走行させる被告の行為が同社の権利利益を侵害する不正競争行為に該当するとし、当該行為の差し止めと損害賠償を求めた事案です。裁判所も衣装の貸与が不正競争行為に該当するとし、被告に当該行為の差し止めと1,000万円の損害金の支払いを命じました。本件では、被告が原告の著作物である「マリオ」の衣装をカートの使用者に貸与することが、当該カート営業等をマリオや原告の営業と混同させる事象を惹起したと判断されたのでしょう。
 他方、原告は当該行為の著作権侵害を主張したようですが、裁判所は著作権に関する判断をしていません。キャラクターは著作権法上、「美術の著作物」として保護対象となると考える裁判例もありますが、通説判例は保護対象とはならないとしています。最高裁では「キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体思想または感情を創作的に表現したものということができないからである」と判断しています。本件において、裁判所が被告の行為を不正競争防止法違反にとどめたのは、著作権侵害の認定が困難だったからだと解されます。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●高度プロフェッショナル制度の導入フロー

 労働政策審議会労働条件分科会では、高度プロフェッショナル制度について審議が継続されています。10月31日、導入フローについて次の五つのステップが審議されました。まず、(1)「労使委員会」を設置し、(2)決議の上、(3)労働基準監督署へ届け出、(4)対象従業員の同意を得た上で、(5)実施することになります。
 また、その後6か月以内ごとに労働基準監督署へ報告すること、および一定時間を超える時間外労働をする従業員に対しては、医師による面接指導が予定されており、導入には厳しい要件が求められています。

●派遣社員の要望

 厚生労働省は、前回調査から5年を経て「平成二九年派遣労働者実態調査」の結果を公表しました。まず、派遣社員を年齢階級別に見ると「40-44歳」が16.5%ともっとも高くなっていることがわかります。
 この調査では、派遣社員が企業へ要望することも聞いています。派遣先企業への要望として「派遣契約期間を長くしてほしい」が29.9%ともっとも高くなっています。次いで「指揮命令系統を明確にしてほしい」が22.9%、「年次有給休暇を取りやすくしてほしい」が21.9%の順となっています。派遣社員を受け入れる企業は、適切な労務管理を実施できているかについて確認をする必要があるでしょう。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●年末調整の再調整

 2018年の年末調整より、給与所得者が配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受ける場合には、本年最後の給与等の支払いを受ける日の前日までに「配偶者控除等の申告書」を提出する手続きが必要となります。
 給与支払者は同申告書に基づき年末調整を行いますが、年末調整後に給与所得者またはその配偶者の所得に差額が生じた場合、従来の配偶者特別控除の適用を受けた配偶者の所得が変動した場合等と同様に、年末調整の再調整が可能です。この年末調整のやり直しは、「給与所得の源泉徴収票」を受給者に交付する翌年1月末までとなります。

●法定調書のe-Tax等による提出基準の変更

 2018年度税制改正により、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべき法定調書の枚数が100枚以上である法定調書は、2021年1月以後の提出は、e-Taxまたは光ディスク等による提出とされました。たとえば、2019年1月に提出した「給与所得の源泉徴収票」が100枚以上であった場合、2021年1月に提出する「給与所得の源泉徴収票」は、e-Tax等により提出する必要があります。
 また、e-Tax等による提出を義務付けられた支払者は、市区町村に提出する給与支払報告書についても、e-Taxまたは光ディスク等による提出が義務化されます。


『月刊総務』2019年1月号P7より転載