月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

平成終了まであと少し 改元対応のポイント

2019-04-22 11:38

2019年4月30日をもって、30年続いた「平成」が終わりを迎えます。
新元号「令和」の発表で盛り上がる昨今、改元に伴う混乱はまだまだ続きそうですが、企業活動においては具体的にどのような影響が出るのでしょうか。改元のタイミングがわかっているのが今までとは異なる点。残りの時間で何をすべきか、何に注意すべきか、業務を滞りなく行うためにも、対応のポイントを確認していきましょう。

改元に伴う労務管理対応

祝日法改正で「休日」日数が増える企業も!

 秋の臨時国会(2018年10月24日〜)において、祝日法改正案が提出されています(注:原稿作成段階では未成立)。その内容は、皇太子殿下が新天皇に即位される2019年5月1日(水)と、即位礼正殿の儀が行われる10月22日(火)を、同年に限り祝日とする法案です。

 国を挙げてお祝いムードが高まることではありますが、留意すべきは成立すると来年の労働日数・休日日数の変更が予想され、企業の労務管理(労働条件)に直接的影響が及ぶことがあるという点です。まずは祝日法第三条の確認をしてみましょう。

■祝日法第3条
(1)「国民の祝日」は休日とする。
(2)「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
(3)その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る)は、休日とする。

 2019年のカレンダー(図表1)を見てください。祝日法第3条の(1)により、5月1日は1年限りの祝日になります。また(3)により、4月30日と5月2日が休日、さらに(2)によって、5月6日は振替休日となることがわかると思います。

img01.png

img02.png

 就業規則(図表2)で祝日法の定め通りの「休日」としている事業場では、来年のゴールデンウイーク期間中は10連休となる事業場も多いことでしょう。もっとも、サービス業を中心とした事業場では10連休は現実的に困難であり、土・日・祝日勤務をしている従業員も多いはずです。

 企業で定める休日ルールは祝日法ルールとは全く別物です。今回の祝日法改正のタイミングは自社就業規則による「休日」ルールを再確認するのに良い機会です。ぜひこの機会に見直してみてください。

企業の「休日」は就業規則で定める

 ここからは、今まで解説してきた祝日法改正というテーマから頭を切り替えてください。民間企業は自社の就業規則の中で休日がどのように定義されているかをまず確認することです。就業規則は労働基準法を守って作成しなければなりません。まずは法令による定義を確認しましょう。

■労働基準法第35条
(1)使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
(2)前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 労働基準法では何曜日を休日とするか、あるいは国民の祝日を休日とするかについては、なんら規定はありません。また、1週間の中で何曜日を休日にしても、週によって異なる曜日を休日にしても問題ありません。勤務実態に合わせ、労働者ごと異なる日に交替で休日を与えることも可能です。

 さらに労働基準法第32条により、労働時間は1日8時間まで、週40時間まで(特例事業は除く)とされていることから、法令を遵守するため、就業規則で週休2日制としている事業場が多く存在しているのです。

 なお、実際の就業規則では図表2のように、年末年始、夏季等を追加で休日と規定している事業場も多いことでしょう。

割増賃金の計算基礎となる1時間当たりの時間単価が変わる

 祝日法改正により、自社の就業規則で休日日数が増加することになったら、各社員の時間単価も変動します。割増賃金の計算を正しく行うため忘れずチェックしてください。

(1)1時間当たりの賃金
 月給制社員の割増賃金の計算基礎となる1時間当たりの賃金計算方法は図表3を参照してください。

(2)年間所定休日(毎年変更)
 図表3は、就業規則で年間所定休日を122日と定めている例です。就業規則で祝日を休日と定めている場合には、祝日法改正により休日が増加しますから当然計算結果も変わることになるため要注意です。

img03.png

 また、そもそも図表2の例だと祝日が土曜日と重複したり、年末年始が土日に重なったりすることもありますから年間所定休日は毎年変わります。加えて、曜日配列により夏季、年末年始の日数が毎年変わる場合も年間所定休日は毎年変わります。これらを踏まえ、休日のカウントを間違えないようにしておきましょう。

改元対応と同時に働き方改革を進めよう

 さらに、改元の1か月前、2019年4月から、働き方改革法が順次施行されます。そのことにも注視しなければなりません。本稿は、改元に伴う祝日法の改正の留意点、休日に焦点を当てて解説しましたが、労働時間の適正管理、休日・休暇の在り方をワークライフバランスの観点から考えていくことも大切です。そして、2019年はそれを実現していく絶好のタイミングの年でもあるのです。



日本橋人事労務総研・社会保険労務士小岩事務所 代表
特定社会保険労務士
小岩和男さん

1982年中央大学法学部法律学科卒業後、東武不動産株式会社(東武鉄道グループ)に入社。以降、不動産営業マンを経て人事総務業務に従事。2004年、社会保険労務士試験合格後独立。現在、日本橋人事労務総研代表・特定社会保険労務士として、企業の労務顧問・講演・執筆業務で経営者を支援している。主な著書に『社員10人までの小さな会社の総務がよくわかる本』(明日香出版社)がある。