月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい5月のトピックス

2019-04-26 14:43

2019.May

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●弁護士秘匿特権

 「弁護士秘匿特権」とは、依頼者が弁護士に対して法的助言を求めた場合、双方のやり取りを捜査や証拠開示の対象としないとする制度であり、欧米の司法制度では認められています。
 2018年、東京地検特捜部と公正取引委員会が合同で捜査を進めていたリニア中央新幹線談合事件の捜査過程において、会社に依頼された弁護士が、役職員から聴取した書面や弁護士のパソコンを、特捜部が証拠として押収したことに抗議し、検察側は対決姿勢を取りました。
 弁護士側の主張は、弁護士と依頼者には秘匿特権があり、それが認められなければ被疑者の正当な防御活動ができないというもの。相談を受けた弁護士の書面等が刑事事件の証拠とされると、被疑者が弁護士に対して真実を述べる機会が失われるからです。米国では、依頼者と弁護士との相談メール等も刑事事件の証拠として押収されることはなく、民事事件における証拠開示(ディスカバリー)の対象にもなりません。
 わが国でも昨年から司法取引が認められ、本年の通常国会にて審議される独占禁止法の改正法案には、弁護士秘匿特権を直接認める規定は置かれないものの、規則や指針で整備し、独占禁止法違反事案について弁護士に相談しやすい環境を作ることとされているようです。カルロス・ゴーン元会長の刑事事件で、わが国の刑事司法の異常性が欧米から批判されている今日、弁護士秘匿特権の運用が注目されています。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●残業平均時間の算出と前年度の三六協定

 4月1日から施行された改正労働基準法は、特別条項付きの36協定に3つの上限時間を設けました。会社は原則としてこれを守らなければなりません。3つの上限時間は、(1)年間720時間以内(休日労働を含まない)、(2)単月100時間未満(休日労働を含む)、(3)2-6か月を平均して80時間以内(休日労働を含む)です。ここでは、平均時間の考え方に注意が必要です。
 たとえば、2021年4月から2022年3月までの1年間を36協定の対象期間と考えます。そのとき、2021年4月について6か月の平均を計算するためには、直前の5か月分の実績も対象になります。つまり、平均を算出するためには、前年度の36協定の対象期間を含めるケースが出てくるのです。なお、経過措置の期間については上限規制が適用されないため、平均の算定に含める必要はありません。

●一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大へ

 女性活躍推進法は、常用労働者301人以上の会社に対して一般事業主行動計画の策定を義務付けています。2月14日に開催された労働政策審議会は、この策定義務を101人以上の会社に拡大すること等を定めた法律案の要綱について、「おおむね妥当」と答申しました。
 この法案が成立した場合には、現在、計画の策定を努力義務とされている中小企業も、遵守義務の対象になることになります。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●自由に選択できる永年勤続者表彰記念品

 永年勤続(おおむね10年以上)した役員や使用人の表彰にあたり、記念品の支給により、その役員や使用人が受ける利益(記念品)が一定の要件を満たす場合には、給与所得として課税の対象としなくて差し支えありません。
 ただし、カタログなど、自由に記念品とする品物を選択できる場合には、会社から支給された金銭でその品物を購入した場合と同様の効果をもたらすものと認められるため、記念品の金額の大小にかかわらず、その品物の価額を給与等として課税することとなります。

●建設仮勘定の仕入税額控除の時期

 消費税法における仕入税額の控除は、課税仕入れを行った日の属する課税期間において行うこととされています。
 したがって、工事の発注から完成引き渡しまでの期間が一般的に長期に及ぶ建設工事に関しては、建設仮勘定として計上される場合であっても、原則として、その役務の提供や資材等の課税仕入れを行った日の属する課税期間において、仕入税額控除を行うこととなります。
 ただし、例外として、前記のようにその役務の提供や資材等の仕入れに関して、その都度課税仕入れとして処理せずに、工事の目的物すべての引き渡しを受けた日の属する課税期間において、課税仕入れとして処理する方法も認められています。

『月刊総務』2019年5月号P7より転載