月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい7月のトピックス

2019-06-28 12:24

2019.July

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●民事裁判手続きのIT化

 政府の「未来投資戦略2017」において、裁判に係る手続等のIT化を推進する方策について速やかに検討、結論を得るとされたことを受け、2017年10月に「裁判手続のIT化検討会」が設置され、2018年3月30日に「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」が公表されました。
 取りまとめにおける民事裁判のIT化とは、(1)e提出、(2)e事件管理、(3)e法廷の「3つのe」の実現です。(1)は訴状等の提出を24時間365日可能なオンライン提出にすること、(2)はオンライン上での裁判期日等の調整や主張・証拠へのオンラインアクセスを可能にすること、(3)はウェブ会議の導入・テレビ会議の拡大や口頭弁論期日の見直しなどが例示されています。
 民事裁判IT化のロードマップは、前記3つのeについて実現可能なものから、速やかに段階的に導入し、かつ確実に進めていくとされています。具体的には、フェーズ1で現行法の下でウェブ会議の導入とテレビ会議の拡大をはかり(3)を実現。フェーズ2で民事訴訟法を改正し、改正法に基づく弁論・争点整理等を運用して(3)を完了。フェーズ3で新たなシステムを採用し、オンライン申し立て等の運用を開始して、(1)(2)を実現します。
 法務省は、今年度中に法制審議会に諮問し、2021年の臨時国会に民事訴訟法の改正法案を提出、2022年度に施行するとしています。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●是正勧告の方向性

 厚生労働省は毎年11月を「過重労働解消キャンペーン」とし、事業場の臨検(立ち入り調査)を実施しています。今般、公表された昨年のキャンペーンのうち、労働基準関係法令違反があった事業場は全体の約七割で、時間外労働に関するものがもっとも多くなっています。
 一方、厚生労働省は通達「当面の労働時間対策の具体的推進について」を2019年4月1日に発し、今後の方針を示しています。引き続き時間外労働に関するものが重視されていますが、注目すべきは年次有給休暇の取得促進です。通達の中で「指導」という文字が使われている箇所が、年次有給休暇の取得促進に関する部分でもっとも多くなっています。改正労働基準法では、年次有給休暇の時季指定義務が設けられたので、今後、年次有給休暇に関する法違反に注意が必要でしょう。

●改正労基法対応のモデル就業規則

 厚生労働省のモデル就業規則が、2019年3月版として更新されました。周知の通り、働き方改革の一環として、2019年4月1日から改正労働基準法が施行されています。法改正に対応するため、モデル就業規則では「年次有給休暇の時季指定義務」や「長時間労働者に対する面接指導」などの条文が新たに記載されています。また、各種ハラスメントに関する条文も整理されているので参考になります。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●個人事業主の事業承継税制

 2019年度税制改正により、個人版の事業承継税制が新たに創設されました。これにより、個人事業主が事業用の土地や建物のほか、事業用資産である一定の減価償却資産を後継者に相続または贈与した場合、これらに係る相続税または贈与税の全額の納税が猶予されます。
 対象は、2019年1月1日から2028年12月31日までの間に行われる相続または贈与です。適用するためには、2019年4月1日から2024年3月31日までの間に、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて「承継計画」を作成し、都道府県からの認定や、納税猶予額相当の担保提供が必要になるなど、一定の要件を満たす必要があります。

●給与等に係る経済的利益(商品等の値引販売)

 役員や使用人に対して自己の商品や製品等の値引販売をした場合、その値引分は経済的利益となり、原則、役員等に対する給与とみなされて所得税の課税対象となります。ただし、次の要件すべてに該当する場合には、課税しなくてよいこととなっています。
 (1)値引販売価額が取得価額以上、かつ通常の販売価額の約70%以上。(2)値引率を役員や使用人の全部につき一律、または地位や勤続年数等に応じ合理的なバランスの範囲内の格差で定めている。(3)値引販売をする商品等の数量が、一般的に通常消費する程度と認められること。


『月刊総務』2019年7月号P7より転載