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企業経営:

企業の共有価値創造(CSV)戦略が分かる!『協創力が稼ぐ時代』

2015-10-16 11:15

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『協創力が稼ぐ時代 ビジネス思考の日本創生・地方創生』
笹谷秀光著(株式会社伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長)
ウィズワークス株式会社(Nanaブックス)発行

創刊52年の雑誌『月刊総務』を発行するウィズワークス株式会社は2015年10月2日、株式会社伊藤園常務執行役員CSR推進部長笹谷秀光氏による2作目の著書、『協創力が稼ぐ時代 ビジネス思考の日本創生・地方創生』を発行しました。
本書は、笹谷秀光氏による『月刊総務』での連載「経営感度を磨く社会の読み方」をベースに、連載でご紹介してきたさまざまな企業を含む豊富で身近な成功事例を体系立ててまとめたものです。

著者、笹谷秀光氏のプロフィールは、こちらからご確認ください;
 <株式会社伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長 笹谷秀光氏 プロフィール

インバウンド対応、「クールジャパン」、さまざまなソリューションやサービスが実現される最新ICTの活用、そしてICTやソーシャルネットワークの発展に伴い重視されるようになった国際的に通用する価値観の理解。日本企業にとっての事業機会は大きく変化しつつあります。こうした事業機会を的確に捉え、企業成長に着実につなげている成功企業が存在します。そのような企業の戦略をよく観察してみると、本業を生かして、利益と社会価値の同時実現を目指すという姿勢が浮き彫りにされます。成功企業は、社会課題に真摯に向き合い、社内・社外のさまざまな関係者との連携で気づきを得て、イノベーションにつなげているのです。
笹谷秀光氏はこれを「協創」と捉え、これからの時代、協創力の差が企業価値の差となって顕著に現れるようになったと論じています。

確かに、「CSV」「共有価値創造戦略」という語が最近になってようやく日本でも、ビジネスパーソンや学者、学生の間で話題に上るようになりました。これは、2011年にハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授が「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌において提唱した競争戦略に関する考え方で、社会価値と経済価値の同時追求こそ、次世代の資本主義の目指すべき姿であると論じられています。社会課題を解決することによって新たな価値が創造され(ソーシャル・イノベーション)、それが経済的リターンを生み、経済成長を実現する。そうしたソーシャルとエコノミーの強い正の循環を創ることこそ、資本主義の本来の役割であるということです。

多くのビジネスパーソンがこのCSVを理解し実践しようと試みていますが、マイケル・ポーター教授が最初に提唱してから5年近くが経過するものの、未だCSVの本質をわかりやすく解説する書がなく、日本のビジネスパーソンにおいては実践に展開するというレベルにまで理解が進んでいないというのが現状です。
笹谷秀光氏は、日本全国のさまざまな成功事例を現地に赴いて調査、ヒアリングし、米国発の「共有価値創造(CSV)」という概念を日本の事例に落とし込み、整理して、「日本型共有価値創造(CSV)戦略」としてまとめ直しました。

本書を読み進めると、身近な事例がことごとく「協創力」、「共有価値創造(CSV)」という体系にあてはめられ、見事に整理されることが分かります。
トヨタ自動車、パナソニック、セブン&アイ、三菱地所、東京海上日動火災保険、パイロット、ローソン、イオン、森永製菓、東武鉄道、・・・・・・。本書で事例として紹介している企業の一部です。関係者との連携・協働、すなわち、「協創力」により成功している事例が日本国内にも既にこれだけ多く存在しているのです。

これらの企業のこうした動きを「日本型共有価値創造(CSV)戦略」「協創力」として体系立てて整理した書は、本書が初めてのものでしょう。

そして、「協創力が稼ぐ時代」は、総務部門にとっての大きなチャンスとなります。
顧客や取引先、地域のコミュニティなどとの関係性を深め、解決すべき社会課題を抽出し、社内外の関係者の連携と協創を働きかける。これは正に総務部門が果たすことのできる役割でしょう。
プロダクトアウト型の製商品・サービスが中心だったこれまで、商品企画やマーケティングなどの事業部門が担っていた役割を、社会課題解決、ソーシャルイノベーション型のこれからの時代には、総務部門が企業価値をダイレクトに向上させることに関わることができるのです。
こうした役割、チャンスを認識し、協創力が稼ぐ時代に適応する総務部門を持つ企業が、持続可能な企業活動、企業価値向上を実現することになるでしょう。

総務部門の新たな役割を考える好書であると言えます。


『協創力が稼ぐ時代 ビジネス思考の日本創生・地方創生』
笹谷秀光著(株式会社伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長)
ウィズワークス株式会社(Nanaブックス)発行