総務のトピックス

【労務トピックス】:

最低賃金改定に伴う実務上の留意点

2019-02-28 10:00


 毎年10月1日に見直される最低賃金ですが、今回も予想通り引き上げられました。 本稿では、最低賃金の改定に伴い、実務上留意すべき点を解説いたします。

1.最低賃金とは

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

・使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者の範囲及びこれらの労働者に係る最低賃金額、算入しない賃金等を周知する必要があります。
・最低賃金額よりも低い金額での雇用契約は、法律上無効となり、最低賃金額で雇用契約を結んだとされます。
・最低賃金額以上の金額を支払わない場合、最低賃金法及び労働基準法に罰則が定められています。
(地域別最低賃金:50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金:30万円以下の罰金)

1-1.地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金

 最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

・特定(産業別)最低賃金は地域別最低賃金よりも高い金額水準となっています。
・地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
(10月に改正された地域別最低賃金が、特定最低賃金を上回る場合、その後、特定最低賃金が改正される12月までの期間においては金額の高い地域別最低賃金が適用されます。)


2.最低賃金の確認

 1.の最低賃金は毎年10月に改定となるため注意が必要なのですが、最低賃金を確認する際の留意点について解説いたします。

・本社のほか、支店等がある場合
  支店の労働者は支店所在地の最低賃金が適用されます。
・派遣労働者
  派遣先の最低賃金が適用されます。
・最低賃金に含まれる賃金・手当
  ここでは月給を例にすると、最低賃金は時給での表記(一部除き)となっていますので、「月給÷1箇月平均所定労働時間」で時給換算します。
  上記の「月給」に含めない手当は制限列挙されています。

【最低賃金の対象とならない賃金】
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午後5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

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    (厚生労働省 最低賃金特設ページより)

残業単価計算と比較すると、計算から除く賃金が異なります。

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下線の手当は、最低賃金計算では含めて計算をします。

・固定残業手当の見直し
  時間あたりの単価が変わりますので、固定残業手当を支給している場合、改定後の賃金で算出、もしくは、固定残業手当に含まれる相当時間数を見直す必要があります。


3.最低賃金を変更した際に付随する業務・留意点

・労働者への通知  
 給与改定通知や辞令等の労働者への通知方法の検討。給与明細にて通知する方法が多数と考えられますが、辞令等でいつから変更となるのか明示しておくことは後々のトラブルを防ぐことにもなります。 ・社会保険の月額変更の確認  
 給与(時給)変更があった際は、月額変更に該当する可能性があります。 3ケ月経過時に注意が必要です。 ・扶養の確認  給与(時給)が改定され年収が上昇した場合、所得税や社会保険の扶養の範囲外となってしまうことも考えられますので留意しておく必要があります。


 最低賃金はニュースでも取り上げられ、注目されるところです。  どこまで賃金額が上昇するかに集中してしまうところですが、上記留意点につき、確認対応も忘れないよう行うことが大切です。

連載協力:税理士法人AKJパートナーズ     ( http://www.akj-partners.com/