総務のトピックス

【税務トピックス】:

地方拠点強化税制の活用

2017-06-02 11:00

制度の概要

 平成27年度税制改正により、地方拠点強化税制(以下「当該税制」という。)が制定されました。制度主旨としては、企業の地方(※)拠点の強化及び移転を支援することにより、地方における良質で安定した雇用創出を通じて、地方への新たな人や物、情報の流れを生み出し、東京一極集中の是正及び地域経済の活性化を実現することを目的としています。

 そこで、企業が本社機能等を東京23区から地方に移転した場合(移転型)又は地方にある企業の本社機能等を拡充した場合(拡充型)における取り組みを支援するため、当該企業の設備投資を促進するためのオフィス等取得減税(特別償却又は税額控除)及び地方における雇用を促進するための雇用促進税制(税額控除)の特例が創設されました。

※ 当該税制の対象地区には定められない地域(地方)もありますので、対象となる地域については、移転・拡充先となる都道府県にご確認ください。


税制措置の拡充による要件の緩和

 平成28年度税制改正において、当該税制で拡充される雇用促進税制の適用を受ける法人等が、その同一事業年度において、所得拡大促進税制を受けられるようになりました。

 さらに平成29年度税制改正においては、ローカルアベノミクスを促進する観点から、オフィス等に係る税額控除率の維持及び雇用促進税制の特例の拡充として、無期・フルタイムの新規雇用に対する税額控除額を上乗せする等の措置が講じられました。
 
 例えば、東京に本社機能をもっている企業が、事業の一元化(拠点強化)のために10億円を投じて地方にオフィスを建設し、当該オフィスで100人の雇用が増えた場合、

  (1)オフィス等に係る税額控除
   7,000万円(10億円 x 7%)の法人税額控除

  (2)雇用促進税制の特例の拡充等
   最大8,000万円(80万円 x 100人)の法人税額控除

 つまり上記合計((1)+(2))で最大1億5,000万円の法人税額控除を受けることができます(但し、雇用促進税制とオフィス等に係る税額控除合わせて当期法人税額等の30%が限度額になります)。

 さらに2年目・3年目においても当該100人の雇用を維持した場合、各年において3,000万円(30万円×100人)の法人税額控除を受けることができます。

 当該税制の適用にあたっては、本社機能等の全てを移転する必要はないことから、本社機能等の一部移転や研究所・研修所を地方に集約することなど、現在の企業体制を見直すことで当該税制を活用することができるかもしれません。但し、適用要件として移転・拡充先となる都道府県知事に対し、「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を申請し、平成30年3月31日までに認定を受けることが必要となります。


 平成29年税制改正「地方拠点強化税制の拡充」については、財務省ホームページのこちらのページを合わせてご参照ください。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei17/02.htm

連載協力:税理士法人AKJパートナーズ
    ( http://www.akj-partners.com/

 

【税務トピックス】:

使途不明交際費の取り扱い

2017-04-17 13:00

 吸収合併によって消滅した法人が、購入した商品券の購入費用を接待交際費として計上した上、交際費等に係る損金算入限度額を超過する部分についてのみを損金不算入として取り扱い申告したところ、原処分庁は、商品券の使途が明らかでないことを理由に、商品券の購入費用の全額を損金に算入することはできないとして更正処分を行った事案があります(東京地方裁判所平成25年(行ウ)第627号)。

 これに対し、消滅法人を吸収合併した合併法人(原告)がその取り消しを求めて提訴しましたが、当該提訴は棄却され、原処分庁の主張が支持される結果となりました。

 本事案において、原告の主張が棄却された主たる理由は下記の通りです。

「本件商品券の使途を具体的に特定する事項を記載した書面等は何ら存在しないところ、商品券の使途に関する原告の主張には中核となる部分において変遷がみられる上、原告がその主張に沿うものとして提出する書証によっても、これを裏付けることはできず、そのほかに、商品券の使途に関する原告の主張及びこれに沿う証人の供述を裏付けるに足りる証拠は見当たらないのであるから、本件全証拠によっても商品券の使途は全く明らかでないというほかはなく、業務の遂行上必要であると認めることはできない以上、本件商品券の購入のための費用は、損金の額に算入することはできない。」

 なお、租税特別措置法第61条の4第4項において、交際費等の意義として下記の通り規定されています。
「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」

 また、法人税基本通達9-7-20においては、
「法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。」
とされています。

 つまり、本事案においては、商品券を購入し、(恐らく)事業関係者に対して配布したものの、具体的な配布先等を示す書面を保存していなかったためにその使途を明らかにすることができず、結果として「費途が明らかでない交際費」=「業務の遂行上必要であると認めることはできない」と判断されたと考えられます。

 一般的な接待飲食の場合、領収証を入手することによって日付や飲食店舗名が明らかになるとともに、接待相手先についても、当該領収証や仕訳帳の摘要欄に記載していることが多いと思われます。

 一方、一度に多量の商品券を購入し、必要に応じて得意先等に引渡すようなケースの場合、本事案のように、引渡日付や相手先等の適正な管理がなされていないケースも多く見受けられます。

 従って、こういった商品券等を多量に購入した場合においては、引渡日・相手先・使途(引渡理由)・枚数・社内担当者・捺印といった欄を設けた管理簿により管理し、税務調査においても説明できるようにしておくことが望ましいと考えられます。

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【税務トピックス】:

中小企業向け措置法改正の全貌(税務)

2017-02-02 14:00

 平成28年12月22日、「平成29年度税制改正大綱」が閣議決定され、3月末ごろまでに改正法案の成立が見込まれます。この度の大綱は、「我が国経済の成長力の底上げのため、就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から配偶者控除・配偶者特別控除の見直しを行うとともに、経済の好循環を促す観点から研究開発税制及び所得拡大促進税制の見直しや中小企業向け設備投資促進税制の拡充等を行う。」ことなどを指針として、様々な改正が行われようとしています。

 その中でも特に中小企業向けの租税特別措置が大幅に見直されることが見込まれます。本稿では、特に中小企業の皆様に関係する措置法改正の主な内容をピックアップして解説します。


<本稿の内容>

1. 研究開発税制の延長・拡充等
2. 中小企業経営強化税制の拡充措置・創設及び中小企業投資促進税制の延長
3. 法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置の適用停止


1.研究開発税制の延長・拡充等

(1) 第4次産業革命の実現を推進するため、第4次産業革命型の「サービス」の開発が「試験研究費」の定義の対象に追加されます。例)IoT、ビッグデータ、人工知能等

(2) 増加型(試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度)を廃止した上で、総額型(試験研究費の総額に係る税額控除制度)に投資増加インセンティブを組み込み、試験研究費の増減率に応じて現行制度の12%(試験研究費の総額×12%)を12?17%の範囲とする措置を講じ、メリハリがつく仕組みが導入されます。

(3) 「試験研究費の総額に係る税額控除制度」における中小企業向け支援を強化するため、従来の控除率12%・控除上限(法人税額の)25%を維持した上で、試験研究費が5%超増加した場合に控除率(最大17%)・控除上限(法人税額の10%)を上乗せする仕組みが導入されます。

(4) オープンイノベーション型(特別試験研究に係る税額控除制度)の手続要件が企業実務に合わせて緩和されます。

(5) 高水準型(中小企業技術基盤強化税制)の適用期限が2年間延長されます。

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※ 平成29年4月1日以後に開始する事業年度に適用。


2.中小企業経営強化税制の拡充措置・創設及び中小企業投資促進税制の延長

 中小企業の稼ぐ力を向上させる取組みを支援するため、中小企業等経営強化法の計画認定に基づく設備投資を、即時償却等で強力に後押しすることを目的として中小企業経営強化税制が創設されます。

 中小企業経営強化税制の創設のほか、中小企業投資促進税制については、対象資産から器具備品を除外した上、その適用期限を2年延長となります。

 概要は以下の通りです。

(画像をクリックすると大きな画面でご覧いただけます)
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※ 中小企業経営強化税制...平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得等した場合について適用。
※ 中小企業投資促進税制...平成31年3月31日取得等した場合について適用を延長。


3.法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置の適用停止

 法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置について、前3事業年度の所得金額の平均が年15億円を超える事業年度の適用が停止されます。

 平成28年度税制改正大綱で、会計検査院の指摘を踏まえ「資本金1億円以下の法人に対してー律に同一の制度を適用していることの妥当性について、検討を行う。」 とされていたことが影響したものと考えられます。

 法人税関係の中小企業向けの租税特別措置のうち主なものは以下となります。
 【上乗せ措置】
  ・研究開発税制
  ・所得拡大促進税制
 【中小企業限定の措置】
  ・軽減税率
  ・中小企業投資促進税制
  ・商業・サービス業・農林水産業活性化税制
  ・少額減価償却資産の特例

 すでに租税特別措置の適用を受けることを前提にした投資計画などを行っている中小企業も想定されるため、施行までには2年間の経過措置が設けられます。

※ 平成31年4月1日以後開始事業年度について適用。

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【税務トピックス】:

税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組

2016-12-13 13:00

 国税庁では、大企業を対象に「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」を進めており、このたび、平成28年6月14日付けでその事務運営指針を示しました。

1.趣旨

 大企業の税務コンプライアンスの維持・向上には、トップマネジメントの積極的な関与・指導の下、大企業が自ら税務に関するコーポレートガバナンスを充実させていくことが重要かつ効果的であることから、その充実を促進するとともに、効果的・効率的な調査事務運営を推進することを趣旨としています。

2.取組の背景

 本取組を実施するに至った背景には、以下のようなものが挙げられます。

 (1) 我が国全体の税務コンプライアンスの維持・向上の観点から、大企業の税務コンプライアンスの維持・向上は重要であること。
 (2) 近年、国内外において、コーポレートガバナンスの充実が重要との認識が高まり、法整備を含め、その充実のための環境整備が進展していること。
 (3) 税務当局の国際的な会議等において、税務に関するコーポレートガバナンスの充実が大企業の税務コンプライアンスの向上に重要との指摘がなされていること。

3.取組の概要

(1)税務に関するコーポレートガバナンスの確認

 「国税局特別国税調査官所掌法人」を対象法人とし、当該対象法人に係る実地調査の機会を利用して、対象法人に「税務に関するコーポレートガバナンス確認表」の記載を依頼します。当該確認表によって、下記のような項目がチェックされます。

 (1) トップマネジメントの関与・指導
 (2) 経理・監査部門の体制・機能の整備・運用
 (3) 内部牽制の働く税務・会計処理手続の整備・運用
 (4) 税務に関する情報及び再発防止策の社内への周知
 (5) 不適切な行為の抑制策の整備・運用

(2)税務に関するコーポレートガバナンスの判定

 調査によらずとも適正申告を期待することができるか否かを念頭に置き、調査への対応状況や帳簿書類等の保存状況も勘案して各確認項目の判定が行われます。なお、法人の取組が形式的なものではなく、実効性が確保されているかなどの観点から評価・判定はなされ、評価する項目について、確認表に記載がない場合や、取組に係る運用状況が明確でないものについては、法人にその状況を聴取し、評価されることとなります。

(3)トップマネジメントとの面談

 トップマネジメントがリーダーシップを発揮して税務に関するコーポレートガバナンスの充実に取り組んでいくことを促すため、調査結果の概要を説明し、その是正事項の再発防止に向けた取組を含め、税務に関するコーポレートガバナンスの評価が低かった事項について、効果的な取組事例を紹介しつつ、トップマネジメントとの意見交換が行われます。なお、前事務年度までにトップマネジメントとの面談を行っている法人については、前回の面談の実施状況等を踏まえて、具体的な改善策を提示するなど、さらなる充実が図られるよう意見交換が行われます。

(4)判定結果の活用

 調査法人の税務に関するコーポレートガバナンスの判定結果は、当該調査法人の調査必要度の重要な判断材料の一つとして活用されることとなります。


4.税務に関するコーポレートガバナンスの状況が良好な法人への対応

 税務に関するコーポレートガバナンスの状況が良好であり、調査結果に大口・悪質な是正事項がなく、調査必要度が低いと判断される法人については、一般に国税当局と見解の相違が生じやすい取引を自主的に開示し、当局がその適正処理を確認することを条件に、次回調査までの調査間隔が1年延長されます。
 なお、自主開示は、調査間隔を延長した結果、一回の調査の事務負担が法人及び国税当局双方にとって過重にならないようにするために実施するものであり、主な自主開示事項としては、申告済の事業年度に係る以下に掲げる取引等の処理で、取引金額が多額のものとなります。

 (1) 組織再編における適格組織再編か否かの判定
 (2) 特別損失計上取引の処理
 (3) 仮受金又は仮払金計上取引の処理 等

5.「申告書の自主点検と税務上の自主監査」に関する情報(調査課所管法人向け)

 前述の取組の対象となる法人はいわゆる「大企業」ということになりますが、その他にも納税者に自発的な適正申告を促す取組を充実させていくことを目的として、国税庁は、申告書の自主点検や税務上の観点からの自主監査を行う際に活用するための「確認表」を作成・公表しています。これらを有効に活用し、適正な申告を行うことが望まれるものと思われます。

(参考URL)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/hojin/sanko/tk.htm

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役員給与の取り扱いについて
== 過大役員報酬と過大役員退職給与 ==

2016-11-16 11:34

 ある泡盛の酒造会社【原告】につき、役員4名に支給した役員報酬ないし役員給与【論点1】及び代表取締役を退任した者に対して支給した退職給与【論点2】について、いずれも不相当に高額な部分があり、当該金額は損金の額に算入されないとして法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことについて、当該役員報酬ないし役員給与及び退職給与の支給額はいずれも適正であるとして、原処分の取消しを求める事案につき、地方裁判所の判決が下されました(原告控訴中)。

 原処分庁側は、役員の職務の内容や法人の収益及び使用人に対する給与の支払状況、類似法人の役員報酬等の支給状況に照らし、類似法人の中から更に比較法人を抽出した上、複数の比較法人の役員給与の最高額を抽出し、これらを平均した額を超える部分は、不相当に高額であると主張して、原告の請求を棄却するよう求めていましたが、

【論点1について】
役員報酬については、地方裁判所は、役員らの職務の内容は、酒類の製造及び販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務内容を超えているとは認められず、また、原告の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況については、各事業年度において、その前に比して売上総利益、営業利益、経常利益はいずれも減少し、使用人に対する給与の状況に変化はないのに、役員給与総額のみが上昇していること、そして、原処分庁において抽出した類似法人の役員給与等の状況等にも照らすと、類似法人の役員給与の最高額を超える部分は、不相当に高額(過大役員報酬)であるとの判断を下し、原告の請求を棄却する一方、

【論点2について】
役員退職給与については、原処分庁は、「功績倍率法により不相当に高額な部分を判断する上で、退職する役員の「最終月額給与」相当額につき、抽出した複数の比較法人それぞれの役員給与の最高額を平均した額を超える部分は不相当に高額である」と主張していたところ、地方裁判所は、「比較法人の平均額については、比較法人間に通常存在する諸要素の差異やその個々の特殊性が捨象され、平準化された数値であると評価することは困難であると言わざるを得ない」と指摘し、その上で、退職した代表取締役の原告における従前の職務の内容等に照らすと、原告の経営や成長等に対する相応の貢献があったというべきであって、その職務の内容等が代表取締役として相応のものであるとはいえない特段の事情があるとは認められないから、比較法人の平均額を超える部分が不相当に高額な部分であるとすることはできないとの判断を下しました。


 法人税法においては、役員報酬のうち、当該役員の職務の内容や法人の収益、使用人に対する給与の支給状況、類似法人の役員給与の支給状況等に照らし、不相当に高額な部分の金額は損金不算入とされることとなっています。

 また、役員退職給与のうち、その法人の業務に従事した期間や退職の事情、類似法人の役員退職給与の支給状況等に照らし、不相当に高額な部分の金額は損金不算入とされることとなっています。

 このように、役員報酬・役員退職給与ともに、過大部分の有無につき「類似法人の支給状況」が判断要素の1つとされていますが、一方で、特に中小企業については上記判例にあるような類似法人に関する情報を正確に入手することは困難であることも少なくなく、こういった原処分庁でなければ入手しえない情報を基に課税処分が行われることに強い抵抗感が無いわけではありません。

 しかし、役員報酬や役員退職給与の金額につき、少なくとも、どのような過程で金額が算定されたのかを議事録等において残し、税務調査において説明ができる状況を作っておくとともに、役員報酬については、会社の売上や営業利益、使用人に対する給与の支給状況等に照らして、定期的に見直す必要はあるものと思われます。

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