総務のトピックス

【税務トピックス】:

【税務】未払使用人賞与の損金算入時期に注意!

2015-10-28 12:34

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【税務トピックス】は税理士法人AKJパートナーズ(東京都港区。代表パートナー 公認会計士・税理士 山本成男)の協力により配信しています。
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法人税法上、使用人に対する賞与は「実際に支給した日の属する事業年度」において損金算入することを原則としていますが、下記(1)または(2)のような例外規定が設けられています(法人税法施行令第72条の3)。

(1) 労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので、かつ、当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る。)

   ⇒ 当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度

(2) 下記に掲げる要件のすべてを満たす賞与
(i) その支給額を各人別にかつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること
(ii) (i)の通知をした金額を、通知をしたすべての使用人に対し、通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること
(iii) その支給額につき、(i)の通知をした日の属する事業年度において損金経理していること

   ⇒ 使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度


これに関連して、翌事業年度初めに支給予定であった使用人賞与につき、当事業年度で損金算入することについて争われた事件に係る東京地裁の判決が出ました(東京地裁平成25年(行ウ)第181号)。

この事件は、社団法人から公益社団法人へ移行した法人(原告)が、その運営する施設に勤務する職員及び医師に対して移行後に支給した賞与等の合計額22億8118万9407円を、移行前の事業年度の損金の額に算入して確定申告をしたところ、処分行政庁が当該賞与等を損金の額に算入することを否認するなどし、原告に対して更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分をしたため、原告が各処分の取消しを求めたのが発端です。

原告側は、給与規程等に従った金額の賞与が支給されることを職員は了知しており、支給額を自ら計算することが可能な状況であったことから、「支給額を使用人に対して通知していること」と同様の状況にあるとして争っていました。

しかし判決は、「法人において個々の使用人ごとの具体的な賞与の支給額を最終的、確定的に決定した上、これを使用人に表示することを要するというべきである。」・「病院の業績等によっては、賞与の支給割合が変更される余地も残されているとも判断できる」とし、単に給与規程等による所定の計算式が存在することを知っているだけでは賞与の支給額を通知したとは言えないとして原告の訴えを棄却しました。

法人税法上、使用人賞与はその支給日に損金算入することを原則とし、前述の一定の要件を備えているもの、換言すると、債務が確定していることが判断できる状態にあるものに限って「例外的に」未払賞与の損金算入を認めています。

従って、「使用人に対して支給額を通知していること」といった所定の要件は厳密に満たす必要があるので注意が必要です。


連載協力: 税理士法人AKJパートナーズ
      ( http://www.akj-partners.com/

 

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