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  • 「根本から見直すコスト削減の視点」株式会社プロレド・パートナーズ代表パートナー 佐谷 進さん(1/5)

今の時代、利益拡大のためには合理的なコストダウンをはかることが必須である。今年10月、初の書籍『体温の伝わる交渉』を上梓した、コストマネジメントの専門家である株式会社プロレド・パートナーズの佐谷進さんによると、経費削減はやり尽くしたと思っている企業でも、まだまだ削減の余地が残されているという。総務の扱う間接材のコスト削減がいかに重要か、取り組む際の考え方やポイントについて、お話をうかがった。

企業は事業を行う上で、あらゆるコストが発生する。人件費、賃料、電気代、運送代などのコストは事業が拡大するに比例して大きく膨らんでいく。売上からコストを引いたものが利益なのだから、本来、コスト削減は売上伸長と同等に重要視されなければいけない。利益率5%の企業が月額1000万円のコスト削減を実現できれば、年間24億円の売り上げを計上できたのと同じことになるのだ(図表1)。

コスト削減が経営に与える影響

しかし、「コスト削減が利益を生む」ことを肝に銘じて事業活動を行っている企業は少ない。「直接材(製造原材料)を扱う購買部門の担当者の意識は高いと思います。彼らは、1円でも安く物を仕入れるのが主業務であり、その業務におけるプロですから、商品やサービスに関する知識も豊富で交渉力もあり、部門全体が専門家集団として機能しています。

一方、間接材(経費購買品)を扱う総務などの管理部門では、購買業務を管理業務の一環として捉えている場合がほとんどです。費目の検証や交渉を主業務として捉えている企業は少ないのが現状です。商品やサービスを購入するとしても、それを取り扱うサプライヤーと同レベルの情報を持っている担当者はほとんどいません。それでは、適正な価格で購入することができません。間接材は多岐にわたるため、専門的な知識を持つには時間も費用もかかりますが、いちばん問題なのは、情報も知識もないので、高いものを買っていることに気付いていないことです」 佐谷さんはこのように述べる。間接材のコスト削減ができていない企業は9割に達するということだ。「コスト削減を営業活動と同等に重要視し、着実に実行している企業は大手のリーディングカンパニーのほか、PE(プライベート・エクイティ)ファンド傘下の企業など、ほんのわずかです。それらの企業と他の企業とでは、コストに対する意識に大きな差があるように感じます。

日本のある大企業の経営者は、ペン1本の購入価格をチェックし、納得いかなければ担当者を呼んで厳重に注意しているそうです。これは『トップのくせにそんな細かいところまで目を向けなくたって』と批判する話ではありません。要は、大きな事案、たとえば売上向上施策や、М&A、事業部の改編などと、消耗品の購入とを経営活動として同列に考えているということだと思います」

細かい部分をおざなりにしている企業はコスト削減に失敗するケースが多いと佐谷さんは指摘する。「人に対する見方も同様です。細かな部分にまで目を向けられる経営者は、役員や管理職だけではなく、パート職員も同じように重要な存在だと考えています。ペン1本の話と同様です」

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