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  • マイナンバー制度施行!企業が行うべき準備と対応(1/5)

住民票を持つ者全員を対象に個人番号を付番し、個人を一意に特定することを可能とするマイナンバー法(番号法)が2016年1月から全面施行されることになる。すべての企業は官公署や自治体に提出する書面にマイナンバーの記載が義務付けられ、番号(個人番号と法人番号)を管理する仕組みおよび安全管理への措置が厳しく求められることになるだろう。猶予はあまりない。全面施行までの残された時間で、企業はすぐにでも制度対応に向けた準備をする必要に迫られている。 マイナンバー法全面施行までに企業が行うべき対応と、マイナンバー取り扱いの留意点について、セミナー・講演を多数行っている弁護士の影島広泰さんにおうかがいした。

◆制度の概要

マイナンバー法の施行により、民間企業は、「個人番号関係実務実施者」(マイナンバー法2条13項)として、法令の規定によって、マイナンバーを記載するべき書類の作成および提出業務において必要とされる範囲内でのみ、マイナンバーを取り扱うことになります(同法9条3項)。

代表的なものとしては、税務関連の書類(給与所得の源泉徴収票)が挙げられます。税務署や市区町村に提出する法定調書や各種届けなどに新たにマイナンバーを記載する必要があるのです。また、健康保険、厚生年金保険、雇用保険における被保険者資格の取得・喪失などの届け出の手続きにおいてもマイナンバーの記載が義務付けられています(図表1)。

マイナンバーが利用される場面

さらに、顧問弁護士、税理士、社労士などの外部専門家への報酬や株式の配当、または譲渡による対価の支払いなどが発生した場合の法定調書(支払調書)へも記載が必要となります。

マイナンバー法施行に当たって、まず頭に入れておかなければいけないことは、個人番号が利用できるのは行政手続き、つまり「税務、社会保険の事務」だけに限定されていることです。たとえば、企業が個人番号を使って従業員を統制管理するなどの行為は認められていません。利用制限の厳しい情報であるため、取り扱いには厳重な注意が必要であることも十分に認識しておく必要があります。マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」(個人情報+個人番号)とされ、特定個人情報のファイルの漏えいなどマイナンバー法に違反した行為が認められた場合、現行の個人情報保護法と異なり、厳しい罰則が科されます。

さらに、特定個人情報保護委員会により監視が非常に厳しくなっている点も、従来の個人情報保護法と大きく異なる点です。企業としては、従業員から収集したマイナンバーの漏えい、滅失、毀損などの事故の発生やマイナンバーが不適切に使用されないよう、万全の管理を期さなくてはなりません(図表2)。

個人情報保護法との違い

講じなければならない安全管理措置に関しては2014年12月に公表されたガイドラインの「特定個人情報に関する安全管理措置」に記されています。具体的な項目としては、「基本方針及び取扱規定程等の策定」「組織的安全管理措置」「人的安全管理措置」「物理的安全管理措置」「技術的安全管理措置」が挙げられています。個人情報保護法では適応除外となっていた小規模な事業者であっても、マイナンバー法では例外なく安全管理措置が義務付けられています(33条。ただし、従業員100人以下等の要件を満たす中小規模事業者には軽減措置があります)。

◆個人番号と法人番号

マイナンバー(「個人番号」)は、2015年10月に市区町村から住民票の住所に配送される「通知カード」により本人に通知されます。その番号は原則として一生変わりません。 企業の総務部などの取り扱い担当部門は、マイナンバー通知後、本人に対しマイナンバーの提供を求め、運転免許証などと突き合わせて確実に本人確認を行う必要があります。 もしここで誤った番号を収集し登録してしまうと、行政機関に正しい情報が提供されないこととなり、適正な事務処理の遂行に支障をきたします。また、意図的に番号を偽る「なりすまし」犯罪の温床にもなりかねません。

個人番号、法人番号を取得する必要がある書類・手続の例

個人とは別に、法人にも13桁の法人番号が指定されます。2016年1月から順次、社会保障や税分野の申告書類や法定調書を提出する際に、それらの書類への個人番号・法人番号記載が求められます(図表3)。

個人番号の利用範囲は「社会保障」「税」「災害対策」の3分野に限られますが、法人番号には制限がありません。法人番号は国税庁の法人番号サイトで公表され、官民問わずさまざまな領域や用途で活用することができます。

法人番号は一法人につき一番号が指定され、支店や事業所等が独自の番号を持つことはありません。登記されている法人は、法務省から提供される商業登記法に基づく12桁の会社法人番号の前に、一桁の検査用数値が加わった形となります。通知は個人番号の場合とは違い、通知カードが発行されるわけではなく、書面にて通知される予定になっています。法人番号を通知する書面の届け先は、設立登記法人が登記されている所在地となりますから、移転したにもかかわらず、所在地の変更手続きを行っていない法人には通知が正しく届かない可能性がありますので、事前の更新手続きが求められます。

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