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  • マイナンバー制度施行!企業が行うべき準備と対応(3/5)

i )従業員の個人番号の取得


それでは、マイナンバー取り扱いに当たって、各企業は具体的にどのような対応をしなければいけないのか、注意すべき点はどこなのかを見ていきましょう。実際、企業が個人番号を取り扱うことになった際、問題になる点は主に3つあると考えられます。

1つ目は取得の時期の問題。「いつ、どのタイミングで収集するか」です。従業員との関係でいえば、源泉徴収票等の書類は毎年提出されるものですから、毎年取得しなければならないのか、それとも入社時に取得しそれを毎年利用できるのかが問題となります。
株主との関係においても同様で、配当の際には支払調書を出しますが、その時点で取得するのか、あるいは株主になったときに取得してしまってよいのか、という問題が想起されます。
結論としては、従業員に対しては入社時に一度取得すればそれを毎年使うことができ、株主においても、株主になった時点で取得することができるとされています。つまり、入社したばかりや、株主になりたての時期であっても、将来源泉徴収票や支払調書を作成することが予定されているのであれば、前もって取得してもかまわないとされています。

2つ目は利用目的の特定です。企業が所有している個人情報は個人情報保護法にのっとり運用されますが、それに個人番号が付加された途端にその情報は「特定個人情報」となり、マイナンバー法の厳しい規制を受けることになります。しかし、従来の個人情報保護法も同時に適用され、そこには「利用目的をできる限り特定しなければならない」(15条1項)とうたわれています。民間企業の場合、ガイドラインに示された個人番号関連事務である「源泉徴収票作成義務」や「健康保険・厚生年金届出事務」などが利用目的と考えられ、それを個人情報保護法18条に従って、本人へ通知・公表するということになります。

◆どう本人確認を行うか

3つ目が「本人確認を行わなければならない」との規定への対応で、これが最難関だと思われます。個人番号を提供される場合、企業側は、必ず従業員である提出側の人物がその番号を所有する本人であることを確認する必要があります。確認は(1)番号確認、(2)身元(実在)確認の2点において実行されなくてはなりません。番号確認は、従業員が出してきた個人番号が正しいかどうかの確認で、身元(実在)確認は、窓口にやってきた従業員が実在する人物かどうかの確認です。

この(1)(2)に対する確認方法は3つあります。1番目は「個人番号カードの提示」です。個人番号カードはプラスチック製のICチップの入ったカードで、写真も表示されています。個人番号カードは行政機関に出向き手続きを行わないと発行されません。注意したいのは今年の10月に送られてくる「通知カード」との混同です。通知カードはただ番号を知らせるだけの役割のもので、身分(実在)確認には使用できません。
2番目は通知カードと運転免許証またはパスポートの提示、3番目は番号カードを紛失した場合は住民票の写し(来年の1月以降住民票にも個人番号が記載される)と運転免許証またはパスポートの提示です。この3つの方法のいずれかによって本人確認を行います。

◆代理人がいる場合

また、本人ではなく代理人(配偶者等)から個人番号を提供することもできます。その際企業側は、(1)代理権の確認、(2)代理人の身元(実在)の確認、(3)本人の番号確認を行わなければなりません。方法としては、委任状の提出、代理人の個人番号カードや運転免許証またはパスポートの提示、本人の個人番号カードや通知カード(または住民票の写し)の提示が求められます(図表6)。

この本人確認を、従業員すべてに対し実施しなければなりませんから、それを自社で行うとなると従業員数の多い大企業などは相当の労力を費やさなければなりません。

実際、従業員が全国に広く分布しその総数が2万人というある大企業では、本社の総務部が一括して本人確認を行うことにしました。しかし、遠隔地にいる従業員を含め、全員の通知カードと運転免許証を収集し、個人番号と照らし合わせて確認するのは膨大な時間を有する作業となります。人員を確保し、いろいろとシミュレーションを行い対応の手立てを考えているそうです。外部に委託するという方法もありますが、それなりのコストが発生しますから、やはりこの事案に関しては各企業が切実な問題として認識せざるを得ません。実際、私どもへも多くの質問、相談等の問い合わせをいただきます。

本人確認の詳細

◆個人番号収集を誰が行うか

また、全国各地で直営の飲食店を展開している企業等の場合、それぞれの店の店長以下全員がアルバイトであるというケースもあります。果たしてアルバイトに個人番号の収集を任せて大丈夫なのかという心配の声も聞かれます。結論としては、個人番号の収集者はアルバイトであってもかまいません。書類の受け渡しだけの担当者を配置してもよいとガイドラインに記されていますので、遠隔地の店舗でアルバイト店長が個人番号を収集し、それを本部で照合するという方法は認められています(その際、現場の収集者がその場で番号の書き間違いなどのチェックくらいはしてもよいことになっています)。

また、本部では現実的に従業員全員の収集・照合対応が不可能である場合は、職務の権限を分担させる、つまり、各現場ごとに任せるというやり方もあります。法人のどの部署の誰が実施してもよいことになっていますので、たとえば支店、営業所、工場、あるいは飲食店等なら店ごとに責任者を決めてその者が収集および本人確認を行い、本人確認が終了したら通知カードと運転免許証等は従業員へ返却し、各現場でエクセルファイル化して本部に送るという方法を取ることも可能です。

さらには、通知カードと運転免許証等の写しを電子メールに添付して送るという方法や、クラウドシステムを使ってデータをアップロードするという電子システムを活用するというやり方も認められていますので、臨機応変に適切な対応方法をセレクトし、早めに準備に取りかかることが肝心です。

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