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  • マイナンバー制度施行!企業が行うべき準備と対応(4/5)
ii )番号取得の4つのケース

個人番号を取り扱う者には、「個人番号利用事務実施者」と「個人番号関係事務実施者」の2種類があります。前者は主に行政、後者は主に民間企業です。その両者を合わせて「個人番号利用事務等実施者」と称します。
「他人の個人番号を記載した書面の提出そのほかの他人の個人番号を利用した事務を行うものとされた者は、当該事務を行うために必要な限度で個人番号を利用することができる」(9条3項)との条文で記されている通り、法9条に定められた場合以外に企業(個人番号関係事務実施者)が個人番号を利用することはできません。

各企業が従業員および従業員の配偶者等の個人番号を取り扱う際には、本人からの取得と代理人からの取得では必要になる書類が違ってきますので、たとえば、次の2つの場面においては、取り扱う書類や構築する事務によってどのような立場で個人番号を取得する、あるいは提出するかが異なってきます。

1.企業が従業員の配偶者等の個人番号を取得する場合
(1)個人番号関係事務実施者としての従業員から取得する
(2)代理人として従業員から取得する

2.企業が従業員等の個人番号を行政機関に提出する場合
(1)個人番号関係事務実施者として提出する
(2)従業員の代理人として提出する
(3)個人番号利用事務等の受託者として提出する

以上のような取得方法のバリエーションがあることを前提に、代表的な個人番号取り扱いのパターンを挙げてみます。

◆代表的な取り扱いパターン

● 第一のケース:企業が行政機関等に提出する書類に従業員の個人番号を記載する場合

健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格取得届」などがこれに該当します。 この場合、企業が個人番号関係事務実施者に当たりますから、企業が本人確認を行って従業員から個人番号を取得し、それを行政機関に提出する書類に記載することになります。

● 第二のケース:従業員が企業を通じて行政機関に提出する書類において、配偶者等の個人番号が必要になる場合

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」がこれに該当し、当該書類は従業員のみならず配偶者等の個人番号も記載しなければなりません。このケースでは、企業が個人番号関係事務実施者になるのは第一のケースと同様ですが、従業員も個人番号関係事務実施者となります。
したがって、配偶者等の個人番号は従業員が配偶者等に直接本人確認をした上で取得し、企業に提出することになります。その際、企業が配偶者等の個人番号についてあらためて本人確認をする必要はありません(16条で、本人確認が必要なのは「本人から」の取得の場合であると規定している)。

● 第三のケース:従業員の配偶者等が、企業を通じて行政機関に提出する書類に配偶者等の個人番号記載が必要となる場合

「国民年金第三号被保険者資格取得届」がこれに該当します。
企業が従業員の配偶者等から直接個人番号を取得すれば簡単ですが、現実的には困難です。よって、実際には従業員が配偶者等の個人番号を本人に代わって提供することになりますが、この場合は従業員は配偶者等の「代理人」として企業に配偶者等の個人番号を提供することになります。したがって、前述したような「代理人」手続き(決められた書類の提出)が必要になります。
ただし、例外もあります。「代理人と雇用関係にあることその他の事情を勘案し、その者が通知カードまたは住民票の写し等に記載されている個人識別事項等により識別される特定の個人と同一の者であることが明らかであると個人番号利用事務実施者が認める場合」(施行規則9条4項)は代理人の個人番号カードもしくは運転免許証などの身分証明書が不要となります(図表6(2)参照)。

● 第四のケース:従業員が直接行政機関等へ提出する書類を会社が代行する場合

たとえば「健康保険高額療養費支給申請書」などは、書類の内容からして本人が直接行政機関に提出すべきものですが、現在、多くの場合、企業がそれを代行して取り扱っています。マイナンバー法の施行を機に企業が取り扱いをやめるという方策も考えられますが、継続して行う場合は以下の3つの方法が考えられます。

(1)企業が従業員の「代理人」として行政機関に種類を提出する
(2)封書に封入してやり取りを行う
(3)健康保険組合等から個人番号を取り扱う事務の委託を受けて受託者として事務を行う

(1)の場合は、行政機関が本人確認を行う必要があります。企業は代理人である法人として本人確認種類を提出しなければなりませんから留意が必要です(図表6(2)参照)。なお、一度取得した個人番号をその後、多岐の用途で使用することは、取得の際に使用目的を明示しておけばかまわないとされています。

iii )株主、取引先からの個人番号取得

企業は支払調書作成等のために、株主からも個人番号を取得する必要があります。ただし、株式等振替制度の対象で株主を証券保管振替機構が管理している企業は、株主の個人番号は証券会社経由で同機構が取得していますので、企業は同機構から提供されるという流れになります。

同様に、株主が株式名簿管理人(株式事務代行機関)を利用している場合も、個人番号の取得と保管、税務署への支払調書の提出までを株式名簿管理人が行うことが考えられますので、この場合には企業が株主へ直接働きかけることはせず、株式名簿管理人から取得すればよいということになります。

この2つのケース以外は、企業は直接株主から個人番号を取得しなければなりません。方法としては株主総会の招集通知に個人番号の回答用紙を同封するなどの工夫が考えられますが、該当株主全員が個人番号提供を手間と考えず快く提供に応じるほどのインセンティブを備えているとは思えません。中には連絡がつかない株主もいると思います。

しかし税法上、個人番号が抜けていれば法定記載事項が満たされていないという指摘を税務署から受けてしまいますので、企業は何らかの策を講じなければなりません。ここは、各企業が直面する大きな課題の一つになるだろうと考えられます。 なお、株主からの個人番号取得に関しては経過措置があります。たとえば、株主については2016年1月の前に証券会社等に住所、氏名を告知している既存株主に関しては、支払調書への個人番号の記載が3年間猶予されています。

取引先との関係で個人番号が必要になるケースには、税理士や社労士、弁護士などの報酬への支払調書や、賃貸している不動産オーナーに対する支払い(不動産の使用料等の支払調書)等が挙げられるでしょう。

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