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  • 小島豪洋の酒場談義(1)ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子さん(1/4)

情熱的な演奏スタイル、艶やかで広がりのある音色。美しきジャズ・ヴァイオリニスト、寺井尚子さんは、人を酔わせ、その世界観の中へと引き込む「ヴァイオリンの魔術師」だ。だが、ここまでのサウンドを奏でるには、生半可な取り組み方では不可能。限りなく己を高め続ける姿勢には、どの仕事にも共通する「プロとしてのこだわり」を感じる。寺井さんはどうやって自分の技術を磨き、国際的なジャズ・ヴァイオリニストに上り詰めたのか。ワークスアプリケーションズの人事総務担当ゼネラルマネジャーとして、数々のビジネスパーソンを見てきた小島豪洋さんが、寺井さんの生き方にひそむ「成功の条件」を探った。

(取材協力:西麻布・葡呑
(文:高野朋美)

小島: 東京スタジアム(当時)で開かれた「第一回東京ジャズ」で、Cobaさんとジョイントする寺井さんを見て「ヴァイオリンって、こんな弾き方ができるんだ」と思ったのが最初。それがきっかけで、寺井さんのライブに通い始めました。

寺井: ありがとうございます。

小島: 確か、デビューは名古屋でしたね。

寺井: はい。でも出身は神奈川県で、そのあと千葉へ引っ越し、4歳のときにヴァイオリンを始めました。母がヴァイオリン好きで、どうやら私は、母のお腹の中にいたときからヴァイオリンを聞いていたらしんです。そんな環境で育ったためか、私が初めて触れた楽器もヴァイオリン。3歳のときには、絵本と定規でヴァイオリンを弾く真似をしていたそうですよ。

小島: 生まれたときからヴァイオリンに親しんでいたんですね。

寺井: そうですね。レッスンを始めたときも、上手にできれば花丸をもらえるので、うれしくて毎日練習していました。そして6歳のとき、NHKのテレビ番組「ヴァイオリンのお稽古」のオーディションに合格。1年間渋谷のスタジオに通うことになりました。この番組で私たちにヴァイオリンを教えてくれた先生が、プロの女性ヴァイオリニスト。クールでとても素敵な方でした。

小島: すでに練習、練習の日々だったのでしょうか。

寺井: はい。母はただ厳しかったわけではなく、熱心という表現がぴったり。私もほかの何よりもヴァイオリンを優先していたので、友達と遊ぶときも「今日はあと30分ね」と、子どもながら自分で時間調整していたくらいです。

小島: NHKの番組に出たことが、プロになるきっかけになったのでしょうか。

寺井: いいえ。直接のきっかけになったのは、先生をされていたヴァイオリニストのコンサートに行ったときのことです。知っている人が舞台に立つなんて初めての体験だったので、ステージを見たとき「わぁ!」と思いました。そして「自分もプロの演奏家になろう」と心に決めました。

小島: ライブに行くたびに思いますが、寺井さんのジャズチームは熱い。演奏を聴くたびに「すごい!」と感じます。

寺井: うれしいです。思えば、私がプロになる夢を育めたのは、周囲の環境のおかげですね。演奏家になると決めたときから、プロを育てる先生のもとで学んだので、私の周囲にはプロを目指す人ばかり。それに、小学4年生ごろから、コンクールに出場するという経験をさせてもらえました。そこに年一回の発表会が加わるので、コンクールと発表会を目標にひたすら練習し、その成果を披露するという生活をずっと続けていました。

ところが、中学二年生のとき、腱鞘炎になってしまったんです。手が腫れ上がり、さすがの私も「休まなきゃ」と思ったんですが、コンクールを控えていた時期に、周囲にはとてもそんなことは言えない。「やるだけやって、コンクールが終わったら休もう」と自分の心の中だけで決めて、痛み止めの注射を受けてまでコンクールに臨みました。あのときは、もうヴァイオリンを弾けなくなるんじゃないかと思いました。

小島: 練習のし過ぎですか。

寺井: というより、必然です。不自然な姿勢で同じ部分ばかり使って演奏するわけですから。スポーツ選手の故障と同じで、演奏家にもよくあることです。

寺井 尚子さん

ヴァイオリニスト
Photo by Masamitsu Tomita

4歳のときからヴァイオリンを習い始め、16歳でジャズの道へ。1988年にジャズ・ヴァイオリニストとしてプロデビューを果たす。ケニー・バロンのアルバムにゲストとして参加。これがメジャーレーベル初レコーディングとなる。日本だけでなく世界各地でコンサートを開催する国際的ヴァイオリニストとなる。2004年に日本ゴールドディスク大賞ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー、2010年に平成21年度文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど受賞歴も多数。そして2016年3月、メジャーデビュー以来初のセルフプロデュースとなるアルバム「トワイライト」をリリース。
●寺井尚子さん公式ウェブサイト: http:// http://www.t-naoko.com/


小島 豪洋さん

株式会社ワークスアプリケーションズ
ビジネスサポートインフラグループ
ゼネラルマネジャー

1985年立教大学社会学部卒。 千代田火災、横河ヒューレット・パッカードを経て、2000年ワークスアプリケーションズ入社。 「問題解決能力発掘インターンシップ」など同社の革新的な人事制度の構築・運用に携わる。
●株式会社ワークスアプリケーションズ ホームページ: 
http:// www.worksap.co.jp/




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