会社が試練のときこそ「ありがとう」を増やす
それが総務の役割

  • 豊田現在、日産自動車は企業として試練のときにあるかと思いますが、そうした中で総務はどういった役割を果たそうとされていますか?
  • それはもう、総務の仕事は何か、ということですよね。当社の場合、「コーポレートサービス」という部署名が表すように、総務はサービス部門なわけです。ユーザー(お客さま)は、役員も含む社員全員。ですからやることは明快です。今、総務のお客さまは少しつらい状況にある。だからこそ少しでも盛り上げて、元気づけましょう、と。それがわれわれの仕事ですし、本質だと思っています。
  • 豊田それは、社員に積極的に声をかけるといったことでしょうか。
  • 声を張り上げるというより、そういう気持ちで接しましょう、ということです。たとえば、いつもよりも迅速なサービスを心掛ける。空調の温度に一層気を配る。「ありがとう」の数を増やす感じです。「ありがとう」は、いった方も気持ちがいいですよね。「ありがとう」の数が増えれば、多少でも停滞感がなくなり、前向きになれると思うのです。これは、総務にしかできない仕事です。
    また、私たち総務自身も、そうすることで前向きになれる。「どんなときでも社員が快適に元気に仕事ができるよう、自分たちがまず元気に振る舞うのが総務の仕事なんだ」と気持ちを切り替えられます。
  • 豊田サプライヤーとも同じ思いを共有したのですか?
  • はい。社員食堂のスタッフさんに、よりホスピタリティーを持って接していただいたり、ガードマンさんの「おはようございます」の声が、いつもより穏やかな調子になっていたり。そうしたことは社員にも伝わります。喜ばれます。これは確かに成果として出ているのですが、データとして出せないのがつらいところです。
  • 豊田それでは、金さんの考える、これからの総務とは?
  • 日本の人事システムが変わっていかないと実現は難しいのですが、まずは仕事が楽しくなる仕組み作りがいちばん大事だろうと考えています。それには「総務」という職種を、異動を前提としない専門職にして、パフォーマンスを最大限に発揮できるようにすることです。もちろんこれは、総務の仕事が好きな人、向いている人でなければダメです。総務の仕事に向いているのは「人が喜ぶと自分がうれしい」人。総務という職で生きていくと腹をくくれば、専門性はどんどん磨かれていくでしょう。
  • 豊田そうなると今後、総務で生きていくと決めた人のためのスキルアップや、キャリアプランを考えるセミナーなども必要になりそうですね。
  • はい。総務の中にも、福利厚生系の仕事もあれば、オフィス作りもある。気持ちさえあれば仕事の幅が広がるのですが、今はそれに気付かないまま時間が流れてしまっている。そこをちょっと変えていけたらいいですね。

ずっと同じではない。
常に「変化」するから総務は楽しい

  • 豊田ところで今号の特集テーマが、「総務のモチベーションアップ」なのですが、どういったことが総務のモチベーションにつながると思いますか?
  • 人によって違うでしょうが、前述した、総務に多い「人が喜んだら自分もうれしい」というタイプは、シンプルです。「人を喜ばせたい」は、「問題を解決してあげたい」のと同じこと。ユーザーの問題解決をすることがモチベーションになる。その解決のためのソリューションの引き出しを増やそうと、サプライヤーの力を借りたり、外部のセミナーに参加したり、自然と外に対して長(た)けた人になっていきます。つまり、「ユーザーの課題を解決してあげたい」という気持ちがある限り、モチベーションは保たれます。
  • 豊田人によって違うでしょうが、前述した、総務に多い「人が喜んだら自分もうれしい」というタイプは、シンプルです。「人を喜ばせたい」は、「問題を解決してあげたい」のと同じこと。ユーザーの問題解決をすることがモチベーションになる。その解決のためのソリューションの引き出しを増やそうと、サプライヤーの力を借りたり、外部のセミナーに参加したり、自然と外に対して長(た)けた人になっていきます。つまり、「ユーザーの課題を解決してあげたい」という気持ちがある限り、モチベーションは保たれます。
  • 総務の中にもいろいろな仕事がありますから、対人の仕事に向いていない人は、たとえば、電気・空調設備のメンテナンスや、財務計画、オフィス計画、セキュリティなど、ハードの方にフォーカスしたらいいかもしれません。そうした人は、分析力など、対人ではないところに得意とするものを持っています。その得意なことにじっくり集中して何かを改善する、というようなところに、楽しみを見つけてもらえたらいいですね。
  • 豊田最後に、金さんご自身にとっての総務の楽しさとは?
  • 一言でいうと「変化」です。世の中で起きている変化や進化を、いかに自社のユーザーサービスに活用するか。それを考えるのが楽しいです。
    中でも私が今、いちばん楽しみにしているテーマは、健康です。健康経営も、ウェルビーイングも、その人が活力を持って仕事に集中でき、成果を出せる状態、ハピネスな状態を、健康と定義付けていますよね。そのソリューションとして、アクティビティ・ベースド・ワークプレイス(ABW)といったものが、当然必要とされます。スペース的なコストは削減しつつ、健康が保たれ、成果が出せ、結果的に残業も減る。そういうオフィスが、すでにグローバルにはあって、日本にも出始めてきました。これは、おもしろいです。世の中は常に変化しています。アンテナを張っているとその変化が見えて楽しくなり、総務をもっとやろう、という気持ちになります。
  • 豊田世の中が変化すれば、総務の仕事も進化する。そこに楽しさがあるということですね。本日はありがとうございました。

1

2