月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい5月トピックス

2021-04-27 10:05

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●改正会社法の解説(3)役員選任議案関係

 役員選任議案に関する改正事項は、(1)取締役や監査役等の選任議案に補償契約と役員等賠償責任保険(D&O保険)関連の記載の追加、(2)取締役・監査役候補者と親会社等との関係の記載拡充、(3)社外取締役候補者に期待される役割の概要の記載、(4)社外取締役を置くことが相当でない理由の記載削除の4点です。
 改正により、会社が役員に対して株主代表訴訟等の防御費用および第三者に対する損害を賠償した場合の賠償金や和解金を補償する契約が認められました。また、従来から取締役会の決議など一定の手続きの下に認められていたD&O保険が会社法に規定され、取締役会の決議をもって会社が保険料を負担することが認められました。役員選任議案には、会社補償契約やD&O保険の概要等の記載が求められています。
 次に、特に上場子会社において親会社等の役員が当該子会社の役員候補者とされた場合、子会社の少数株主保護の観点から記載するとされていたところ、施行規則の改正によって、親会社等における対象期間が5年間から10年間に延長されました。さらに、社外取締役の役割の重要性に鑑みて、社外取締役に期待される役割の概要を選任議案に記載することとなりました。
 (1)(3)は、役員選任議案に関する追記情報、(2)は改正前の対象期間の倍加による記載事項の拡充、(4)は上場会社等には、社外取締役の選任が必須となったので、記載不要とされたものです。

■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●改正高年齢者雇用安定法

 2021年4月1日、改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会を確保する努力義務が設けられました。以前から65歳までの雇用確保措置として、「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のうち、いずれか1つを実施する義務がありました。
 今回の改正は、高年齢者の就業機会の確保について、さらに5年間延長することを目指しています。3つの雇用確保措置に加えて、高年齢者と業務委託契約を締結する制度や、社会貢献事業へ従事させる制度など雇用によらない措置(創業支援等措置)が加えられました。
 なお、努力義務ですので定年の70歳への引き上げ等を義務付けるものではありません。

●改正労働施策総合推進法

 2021年4月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、常時雇用する労働者数が300人超の企業では、正規雇用労働者の中途採用比率の公表が義務化されました。中途採用比率は、求職者が容易に閲覧できる形で、直近の3事業年度の各年度について、おおむね年に1回公表した日を明らかにして、インターネットなどの方法で行うことになります。
 なお、厚生労働省のQ&Aでは、定年後の継続雇用者は中途採用者に含めず、非正規雇用労働者から転換した者は、中途採用者として取り扱うことが示されています。

■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●税務関係書類の押印の見直し

 2021年度税制改正において、下記(1)(2)を除いた、税務関係書類の押印が不要となります。
(1)担保提供関係書類および物納手続関係書類のうち、実印の押印および印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税および贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
 そのため、所得税の確定申告書および法人税の確定申告書ならびに異動届出書等については押印が不要となります。押印漏れによる再提出を求められることがなくなりますので、事務手続きの利便性が向上するものと考えられます。

●在宅勤務(レンタルオフィス)の費用

 在宅勤務をするスペースが自宅にない従業員に対し、自宅近くのレンタルオフィスで勤務することを認めている会社もあるでしょう。このレンタルオフィス代を会社が負担した場合、在宅勤務に通常必要な費用と認められるため、従業員に対する給与課税をする必要はありません。
 この費用については、(1)従業員が立て替え払いをして後日精算する方法、(2)会社が従業員に対して金銭の仮払いをし、後日精算する方法、このいずれの方法においても、給与課税を行う必要はありません。
 ただし、レンタルオフィス代として毎月定額を渡し切りで支給する場合には、給与課税を要することになります。


『月刊総務』2021年5月号P7より転載