月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい3月のトピックス

2019-02-26 10:01

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●わが国における司法取引

 2018年11月、日産自動車の代表取締役会長が、自己の報酬について有価証券報告書に虚偽の記載をしたことにより、東京地検特捜部に逮捕されました。同時に会長の懐刀である代表取締役も逮捕されています。そして、同年12月10日には、東京地検が東京地裁に両名を金融商品取引法違反にて起訴しました。
 元会長の逮捕・勾留・起訴に至る過程で大きな役割を担ったのは、2018年6月から施行されている日本版司法取引制度です。組織的な犯罪が横行している現代、談合などの大企業の不正行為を根絶するためには、犯罪の適切な検挙が必要になります。そのためには効率的な捜査が不可欠なことから、刑事訴訟法が改正され、第2編第4章に「証拠収集等への協力及び訴追に関する合意」が新設されて、他者の事件への協力のための合意制度が導入されたのです。
 具体的には、検察官は一定の犯罪事件の被疑者または被告人との間で、他者の刑事事件について、真実の供述や証拠の提出を条件に、起訴しないことや起訴を取り消すことを約束し、書面にて合意をすることができるようになりました。被疑者または被告人がこのような合意をするには弁護人である弁護士の同意が必要です。
 前述の事件では、会社で元会長と極めて近い関係にあった執行役員が検察官の捜査に協力し、証拠を提出して真実を供述したことで、不起訴合意を取り付けたようです。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●労働保険の電子申請義務化

 労働政策審議会は、労働保険の手続きについて電子申請を義務付ける改正省令案を妥当とする答申を行いました。これによると、資本金が1億円を超える等の「特定の法人」は、毎年6月1日から7月10日までの間に提出している「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書」等について、2020年4月から電子申請をしなければならないことになります。これは、2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」に従い行政コスト削減の取り組みの一環として実施されるものです。今後、ほかの手続きについても電子申請の義務化が想定されています。なお、やむを得ない理由がある場合には次回以降の電子申請を促しつつ、書面での申請を受け付けることになっています。

●ゴールデンウイークは10連休

 2018年11月8日、「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案」が参議院本会議で可決・成立しました。これにより、2019年5月1日および10月22日は、それぞれ「天皇の即位の日」および「即位礼正殿の儀の行われる日」として1年限りの祝日となります。「国民の祝日に関する法律」の規定により、祝日と祝日にはさまれた日は休日となりますので、2019年のゴールデンウイークは、4月27日から5月6日までの10連休となる予定です。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●社員旅行の費用の税務上の取り扱い

 社員旅行のために支出した金額について、次のいずれの要件も満たす場合には、その金額は給与として源泉所得税を課税されず、福利厚生費等の費用として計上できるものとされています。
・旅行の期間が4泊5日以内
・旅行の参加人数が全体の50%以上
 ただし、前記を満たしている旅行であっても、不参加者に金銭を支給する場合や、役員のみを対象としたもの、実質的に私的な旅行と認められるものは給与等として取り扱われ、源泉所得税が生じます。

●短期前払費用として損金算入できる場合

 原則、前払費用は支出時に資産計上し、役務の提供を受けたときに損金の額に算入すべきものですが、地代家賃や保険料などで、支払日から1年以内に役務の提供を受けるもの、かつ、当該処理を毎期継続して適用する場合には例外として、支出時に損金の額に算入することが認められます。ただし、次のような場合は認められません
・有価証券等の運用のための借入金に係る支払利子のように収益に対応させるべきものの場合
・支払日から1年を超える支払いの場合(例:4月-翌年3月までの家賃を2月に支払う等)
 また、月払いの契約を年払いするなど契約に基づいていない場合なども、前払費用として処理することとなる点も留意が必要です。


『月刊総務』2019年3月号P7より転載