月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい4月のトピックス

2019-03-29 10:25

2019.April

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●裁量労働制の不適正運用・指導と企業名の公表

 2019年1月25日、「裁量労働制の不適正な運用が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長による指導の実施及び企業名の公表について」という通達が厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに出されました(基発0125第1号)。
 概要は、複数の事業場を有する社会的な影響力の大きい企業(中小企業を除く)による裁量労働制の不適正運用が認められた場合、当該企業の本社を管轄する労働局長が企業のトップに対し、早期に全社的な是正をはかるよう指導し、指導を行ったことを公表するというものです。具体的な指導と公表の要件は、次の(1)-(3)の実態が認められることです。
 (1)裁量労働制の対象労働者の約3分の2以上が、対象業務に該当しない業務に従事していること。(2)(1)に該当する労働者の約半数以上に、労働基準法が定める労働時間、休日労働または割増賃金の違反が認められること。(3)(2)に該当する労働者の1人以上に、1か月当たり100時間以上の時間外・休日労働が認められること。
 要件に該当する企業は、本社管轄の労働局長による指導(代表取締役等経営トップが労働局に呼び出されて局長から指導書を交付される)が行われ、かつ、企業名等(裁量労働制の不適正な運用や労働基準法違反の実態、指導書交付の事実、当該企業の早期是正に向けた取組方針も含む)が公表されることになります。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●有給休暇時季指定義務の就業規則記載義務

 2019年4月1日から働き方改革関連法がスタートします。厚生労働省は、改正法を周知するためにQ&Aやパンフレットを公開しています。中でも「労働基準法の解釈について」(基発1228第15号)と「労働安全衛生法等の解釈について」(基発1228第16号)の2つの通達は、Q&A形式で記載されていますので、法律を理解する上で大変参考になります。
 また、厚生労働省のパンフレット「わかりやすい解説」は、時間外労働と年次有給休暇について詳細に解説しており、実務に役立ちます。
 これらの中で指摘されていますが、「年次有給休暇の時季指定義務」は、就業規則へ記載する義務がありますので、パンフレットに記載のあるモデル条文を確認するとよいでしょう。


●同一労働同一賃金ガイドライン最終版

 2018年12月28日、厚生労働省告示第430号として、ついに「同一労働同一賃金ガイドライン」が公表されました。以前から公表されていたガイドライン案から大きく変更されたわけではありませんが、定年後再雇用者の考え方等が付け加えられています。これは、2018年6月の最高裁判決を踏まえたものといわれています。このガイドラインをもって春闘に突入することになりますが、依然として難解なものであり混乱することも予想されますので、労使交渉の動向を注視する必要があるでしょう。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●輸入手続きを委託した場合の仕入税額控除

 商品・製品等を輸入するにあたり、その輸入手続きを国内の他社に委託し、その他社が輸入貨物の引き取り者(輸入者)として、いわゆる「限定申告」が必要ではない輸入申告を行い、保税地域からの引き取りに係る消費税(以下、「輸入消費税」)を納付した場合、たとえ当社がその他社の納付した輸入消費税相当額を負担していたとしても、その他社において輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることとなります。
 そのため、当社においてはその輸入消費税相当額を輸入消費税ではなく、国内における課税仕入として「輸入消費税額の8%相当額」が仕入税額控除の対象となるため、注意が必要です。


●就職支度金に係る源泉徴収の取り扱い

 会社が人材確保のために転職者等に支払う就職支度金等は、就職に伴う転居のための引っ越し代かつ、その転居等のために通常必要な範囲での実費弁済的性格を持つと認められるものについては、源泉徴収が不要となります。
 ただし、通常必要な範囲を超えている部分や実費弁済の性格を有さないものについては、税務上は役務の提供を約することにより一時に取得する「契約金」に該当することとなります。この場合は「雑所得」としての取り扱いとなり、100万円以下の部分の金額については10.21%、100万円超の部分の金額については20.42%の源泉徴収が必要となります。


『月刊総務』2019年4月号P7より転載